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経済学・経済政策

標準

景気動向指数

先行、一致、遅行系列と景気の山谷の読み方を押さえる。

この章で覚えておきたいこと

景気動向指数は、細かい採用系列名を丸暗記する論点ではありません。まずは 先行・一致・遅行の役割の違い と、CI は方向、DI は 50% が境目 という2本柱を押さえると解きやすくなります。

景気動向指数の全体像を、先行・一致・遅行と CI・DI の役割で整理した手書き風図解
  • 先行系列は、景気に 先んじて動く指標 です。
  • 一致系列は、景気の 足元の動き を映します。
  • 遅行系列は、景気の 結果が遅れて出る指標 です。
  • CI は上昇と低下の向き を見ます。
  • DI は 50% が境目 で、改善系列が多数かどうかを見ます。

試験では、2023年度第1回のように一致系列を1つ選ばせる問題、2023年度第2回のように先行系列の組み合わせを選ばせる問題、2018年のように CI と DI の読み方を問う問題が中心です。系列名を個別に暗記するだけでなく、「その統計は景気より早いか、同時か、遅いか」で整理します。

基本知識

先行・一致・遅行は「景気より早いか同時か遅いか」で分ける

景気動向指数は、複数の経済指標をまとめて景気局面を把握する仕組みです。各指標が景気に対して動くタイミングの違いで、先行系列、一致系列、遅行系列に分かれます。

先行系列、一致系列、遅行系列を代表例つきで比較した手書き風図解
  • 先行系列は、受注、株価、資金供給、採用計画のように景気より先に動きやすい指標です。
  • 新規求人数と M2 は先行系列 です。
  • 一致系列は、生産、出荷、稼働率、雇用の逼迫度のように現在の景気を映す指標です。
  • 有効求人倍率は一致系列 です。
  • 遅行系列は、利益、税収、失業率のように結果が後から表れやすい指標です。

覚え方は、求人関連を縦に並べると整理しやすいです。企業がまず募集を出すので新規求人数は先行、その需給バランスが有効求人倍率として現れ、その後に完全失業率が動きやすい、という順番です。

CI と DI は「量感」と「改善の広がり」で役割が違う

景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があります。両方とも景気判断に使いますが、見ている対象は同じではありません。

CI と DI の違いを、量感と改善系列の割合で比較した手書き風図解
  • CI は、採用した系列の変化量を合成した指数です。
  • CI は上昇と低下の向き を見て、景気が拡張方向か後退方向かを判断します。
  • DI は、改善している系列が全体の何割かを示す指数です。
  • DI は 50% が境目 で、50% を上回れば改善系列が多数、下回れば悪化系列が多数です。

2018年の問題では、この違いを混同させる選択肢が並びました。CI を 50% で読む、DI を上昇率で読む、といった取り違えをしないことが重要です。

山と谷は CI の方向転換と DI の 50% 跨ぎで読む

景気の山と谷は、単に指数の水準が高いか低いかではなく、どこで向きが変わるかで判断します。ここは選択肢で逆にされやすいので、機械的に判定できるようにします。

景気の山と谷を CI の方向転換と DI の 50% 跨ぎで読む手書き風図解
  • 上昇から低下で山 です。
  • 低下から上昇で谷 です。
  • CI 一致指数は、上昇か低下かで景気の向きを読みます。
  • DI 一致指数は、50% 未満から 50% 超へ変わると改善系列が多数派になり、谷に対応しやすいです。

したがって、「CI 一致指数が上昇から低下へ変わるとき景気は谷である」のような選択肢は誤りです。上昇から低下へ変わる点は山であり、谷ではありません。

この章のまとめ

最後は、選択肢を見た瞬間に切り分ける順番を1枚にまとめます。迷ったら、系列分類、CI、DI、山谷の順に戻ると整います。

景気動向指数の系列分類と CI・DI・山谷の判定手順をまとめた手書き風図解
  • 先行系列は、受注、株価、新規求人数と M2 は先行系列 という形で覚えます。
  • 一致系列は、生産、稼働率、有効求人倍率は一致系列 と結びつけます。
  • 遅行系列は、利益、税収、失業率のような実績値を置きます。
  • CI は上昇と低下の向きDI は 50% が境目 と役割を分けます。
  • 上昇から低下で山低下から上昇で谷 を最後に確認します。

一次試験過去問での出方

  • 2009年 第5問: 実質機械受注を先行系列、稼働率指数を一致系列として選ばせる空欄補充問題でした。
  • 2012年 第1問: 先行系列の代表例として実質機械受注を見分けさせる問題でした。
  • 2017年 第6問: 東証株価指数、有効求人倍率、完全失業率の並びから、先行・一致・遅行の組み合わせを判定させました。
  • 2018年 第3問: CI は方向、DI は 50% 基準という違いと、山谷の読み方を問う問題でした。
  • 2023年度 第1回 第6問: 有効求人倍率は一致系列 と判断できるかを問う問題でした。
  • 2023年度 第2回 第4問: 新規求人数と M2 は先行系列 と見抜けるかを問う問題でした。

最近の出題は、系列名の丸暗記よりも、景気に対して早いか同時か遅いか、CI と DI のどちらで読むべきかを切り分けられるかを重視しています。雇用関連と CI・DI の読み方を優先して固めると得点しやすいです。