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経済学・経済政策

標準

雇用統計

完全失業率、労働力人口、就業者、非労働力人口の関係を押さえる。

この章で覚えておきたいこと

雇用統計は、用語の定義とグラフの読み方を先に固めると失点しにくくなります。特に、完全失業率の分母、就業者と非労働力人口の切り分け、有効求人倍率の分子分母を混同しないことが大切です。

雇用統計で最初に押さえたい指標の関係をまとめた手書き風図解
  • 労働力人口は、就業者 + 完全失業者 です。
  • 完全失業率は、分母は労働力人口 で計算します。
  • 学生や専業主婦(夫)は、属性名ではなく、就業と求職の有無で判定します。
  • 有効求人倍率は、有効求人数 ÷ 有効求職者数 です。
  • グラフ問題では、高さだけでなく、景気悪化時の振れ幅まで見ます。

基本知識

労働力人口と完全失業率

雇用統計の入口は、15歳以上人口をどう分けるかです。まず、15歳以上人口を 労働力人口非労働力人口 に分け、さらに労働力人口を就業者と完全失業者に分けます。

15歳以上人口から就業者と完全失業者を切り分ける流れを示す手書き風図解
  • 労働力人口 = 就業者 + 完全失業者
  • 非労働力人口 = 15歳以上人口 - 労働力人口
  • 完全失業率 = 完全失業者 ÷ 労働力人口 × 100

就業者は、正社員だけではありません。パート、アルバイト、自営業者も含みます。したがって、大学生でもアルバイトで働いていれば就業者です。学生でも就業していれば労働力人口 です。

完全失業者は、仕事がなく、仕事を探していて、仕事があればすぐ就ける人です。働いていない人すべてを完全失業者とは呼びません。求職していない人は非労働力人口に入ります。

専業主婦(夫)、通学だけをしている学生、就業を希望していない高齢者などは、就業も求職もしていなければ非労働力人口です。試験では、肩書きで判断させるひっかけよりも、就業と求職の有無で整理すると安定します。

グラフ問題の読み方

雇用統計のグラフ問題では、最新値を丸暗記するより、系列の高さ振れ幅を先に見ます。年齢階級別でも国際比較でも、この2点でかなり絞れます。

若年層、日本、アメリカ、EUの失業率グラフの見分け方を示す手書き風図解

年齢階級別の完全失業率では、15〜24歳が他の年齢層より高く出やすく、景気悪化時に上がりやすいのが基本形です。最も高い位置にあり、上下の振れも大きい線を先に疑います。

国際比較では、日本は低位安定、EUは高め、アメリカは振れが大きい と押さえると見分けやすくなります。日本は相対的に低い位置で安定しやすく、EUは高い水準が残りやすいです。アメリカは景気後退で急に悪化しやすく、戻りも速いという特徴があります。

グラフ問題で迷ったら、次の順に見ると整理しやすいです。

  1. いちばん高い線はどれか。
  2. 景気悪化時にいちばん大きく跳ねる線はどれか。
  3. 低い位置で比較的安定している線はどれか。

雇用形態と有効求人倍率

雇用統計では、完全失業率だけでなく、雇用形態の変化や有効求人倍率も問われます。ここは、定義暗記だけでなく、企業行動と結び付けて読むのがコツです。

非正規雇用の増加要因と有効求人倍率の見方を整理した手書き風図解

有効求人倍率は、有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数 です。新規求人数ではなく、有効求人数を使います。倍率が1を超えると求人が求職者を上回る状態ですが、職種や地域のミスマッチがあるため、完全失業率がゼロになるわけではありません。

非正規雇用の増加は、人数の増減だけでなく、企業がどのように労働を使いたいかと結び付きます。景気変動への対応、人件費の抑制、規制緩和による柔軟な雇用の広がりが代表的です。非正規化は人件費抑制と調整のしやすさ と結び付けると、選択肢を切りやすくなります。

この論点では、次の誤りがよく出ます。

  • 正規と非正規で賃金や処遇に差がないと読む。
  • フリーターの減少が非正規雇用の増加要因だと読む。
  • 有効求人倍率が1超なら失業率はゼロだと読む。

この章のまとめ

雇用統計では、まず人口区分の定義を確認し、その次にグラフの高さと振れ幅、最後に求人倍率や雇用形態の背景へ進むと読みやすくなります。

雇用統計の問題で確認する順番をまとめた手書き風図解
  • 最初に 就業者 / 完全失業者 / 非労働力人口 を切り分けます。
  • 完全失業率では、分母は労働力人口 を確認します。
  • グラフでは、若年層の高さ、日本・EU・アメリカの位置関係、景気悪化時の振れ幅を見ます。
  • 有効求人倍率は、有効求人数 ÷ 有効求職者数 です。
  • 非正規雇用の論点は、規制緩和、人件費、雇用調整のしやすさで読みます。

一次試験過去問での出方

  • 2007年 第2問: 正規雇用と非正規雇用の推移を読み、規制緩和と企業の人件費抑制を結び付けて判断させました。
  • 2013年 第1問: 年齢階級別の完全失業率から、15〜24歳の系列を高さと振れ幅で選ばせました。
  • 2017年 第1問: 日本、アメリカ、EUの失業率の推移を、低位安定、高水準、景気感応度の違いで対応づけさせました。
  • 2021年 第11問: 労働力人口、非労働力人口、有効求人倍率の定義を、学生や専業主婦(夫)を使ったひっかけで問いました。

最近の出題は、定義の丸暗記だけでなく、「誰が労働力人口か」「失業率の分母は何か」「どの系列が景気に敏感か」を組み合わせて判定させる形が中心です。