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NARITAI

経済学・経済政策

補助

為替レート

円高・円安、名目・実質、輸出入への影響を最小限押さえる。

この章で覚えておきたいこと

為替レートは、異なる通貨を交換するときの比率です。一次試験では理論を広く覚えるよりも、円高・円安の向き輸出入価格の換算実質実効為替レートの読み方を確実に判定できることが重要です。

為替レートで先に覚えるべき6つの確認点を中央の為替レートから放射状に整理した手書き風図解
  • 1ドル=100円から80円になれば円高です。1ドルを買うのに必要な円が少なくなるからです。
  • 1ドル=100円から120円になれば円安です。1ドルを買うのに必要な円が多くなるからです。
  • 輸入財の円建て価格は、ドル建て価格 × 為替レートで考えます。
  • 輸出財のドル建て価格は、円建て価格 ÷ 為替レートで考えます。
  • 円高は輸入品や輸入原材料の円建て価格を下げやすく、円安は上げやすいです。
  • 円安は、円建て価格が一定なら輸出財のドル建て価格を下げやすく、海外から見ると割安になりやすいです。
  • 実質実効為替レートは、物価調整後かつ複数の貿易相手国を加味した通貨価値です。

基本知識

円高・円安の向き

日本の試験問題では、為替レートが 1ドル=何円 の形で与えられることが多いです。この表示では、数値が小さくなるほど円高、数値が大きくなるほど円安です。

1ドル=何円の表示で、数値低下が円高、数値上昇が円安になる向きを整理した手書き風図解
変化呼び方意味
1ドル=100円 → 80円円高・ドル安同じ1ドルを少ない円で買える
1ドル=100円 → 120円円安・ドル高同じ1ドルを買うのに多くの円が必要

この論点で最も多い失点は、「為替レートが上がる」という日本語を、そのまま円高と読んでしまうことです。1ドルあたり円表示では、為替レートの数値上昇は円安です。まず表示方法を確認し、そのあとで通貨価値の上昇か下落かを判断します。

輸出入価格の換算

輸入財は、外国で決まったドル建て価格を日本円へ換算して読む場面が基本です。たとえば 10 ドルの商品なら、1ドル=100円では 1,000 円、1ドル=120円では 1,200 円になります。したがって、円安は輸入財の円建て価格を上げやすく、円高は下げやすいです。

輸入財は掛け算、輸出財は割り算で換算する違いを整理した手書き風図解

一方、輸出財は、日本企業が決めた円建て価格を海外でドル建てに直して読む場面が基本です。たとえば 12,000 円の商品なら、1ドル=100円では 120 ドル、1ドル=120円では 100 ドルです。したがって、円建て価格が一定なら円安でドル建て価格は下がります

対象基本式試験での読み方
輸入財の円建て価格ドル建て価格 × 為替レート円安なら上がりやすい
輸出財のドル建て価格円建て価格 ÷ 為替レート円安なら下がりやすい

ここで大事なのは、どちらの通貨建て価格を一定にしているかです。輸入財のドル価格を固定するのか、輸出財の円価格を固定するのかで、円高・円安に対する調整方向が変わります。選択肢を読む前に、固定されている価格へ印を付けると取り違えにくくなります。

名目為替レートと実質実効為替レート

名目為替レートは、ニュースで見る 1ドル=何円 のような表示そのものです。これに対して実質為替レートは、国内外の物価を調整して、財やサービスの購買力で見た通貨の強さを表します。

名目為替レートと実質実効為替レートの違いと、グラフの軸の読み方を整理した手書き風図解

さらに実質実効為替レートは、特定の 1 国との関係だけでなく、複数の貿易相手国との為替関係を加重平均し、物価変動も調整した指標です。したがって、単なるドル円の上下ではなく、平均的に見た通貨の強さを表しています。

グラフ問題では、縦軸の説明を必ず読みます。問題文に「上方ほど通貨価値が高い」と書かれていれば、上昇は通貨高、低下は通貨安です。これは 1ドル=何円 の数値の読み方と一致しないことがあるため、グラフの軸説明を無視してはいけません。

この章のまとめ

為替レートの確認ポイントを5つの縦並びカードで総復習できる手書き風図解
  • 1ドル=何円の表示では、数値低下が円高、数値上昇が円安です。
  • 輸入財は ドル建て価格 × 為替レート、輸出財は 円建て価格 ÷ 為替レート で換算します。
  • 円高は輸入コストを下げやすく、円安は輸入コストを上げやすいです。
  • 円安で輸出財の円建て価格が一定なら、ドル建て価格は下がります。
  • 実質実効為替レートは、物価調整後かつ複数国加重の通貨価値です。
  • グラフ問題では、縦軸の説明を先に読むことが最優先です。
  • 「為替レートが上がる」という表現だけで円高と決めつけないことが、典型的なひっかけ回避になります。

一次試験過去問での出方

2015年第9問では、円高・円安と輸出財・輸入財の価格換算が問われました。特に、円安でも輸出財の円建て価格が一定ならドル建て価格は低下する、という換算関係をそのまま使えるかがポイントでした。

2016年第3問では、円・人民元・ドルの実質実効為替レートの推移グラフを読み分ける問題が出ました。縦軸の上方ほど通貨価値が高いという条件を先に確認し、上昇・低下の向きと変動幅から通貨を対応させる出題でした。