経済学・経済政策
体系補助その他
関連章の確認用として使う。
この章で覚えておきたいこと
このトピックは、国際経済と経済政策の体系補助です。現時点で独立した過去問参照はないため、新しい暗記項目を増やすより、比較生産費と貿易理論、貿易政策、国際収支と為替レート、国際マクロ経済の理論と政策の判断軸を横断して確認します。
- 比較優位は、絶対的な生産性ではなく機会費用の小ささで判断します。
- 貿易政策では、価格上昇による余剰の移転と死荷重を分けます。
- 国際収支と為替では、財の取引か資金の取引かを先に分けます。
- 開放経済の政策効果は、為替制度と資本移動の前提で変わります。
- 円高・円安、通貨高・通貨安の向きを取り違えないことが重要です。
基本知識
国際経済は3つの市場を分けて読む
国際経済の問題では、国内市場だけで考えず、次の3つの市場を分けて読みます。
| 市場 | 確認すること | 関係する主な論点 |
|---|---|---|
| 財市場 | 国際価格、輸出入、国内需要・国内供給 | 比較優位、自由貿易、関税 |
| 資金市場 | 国内外の利子率・収益率、資本流入・資本流出 | 国際収支、資本移動 |
| 為替市場 | 自国通貨が買われるか売られるか | 円高・円安、固定相場制、変動相場制 |
財市場では、国際価格が国内価格より高ければ輸出財、低ければ輸入財として考えます。資金市場では、国内外の利子率や収益率の差が資本移動を生みます。為替市場では、自国通貨が買われると通貨高、自国通貨が売られると通貨安になります。
貿易理論と貿易政策のつなぎ方
比較優位の問題では、まず機会費用を計算します。必要労働量の表なら、ある財1単位を作る労働で他方の財を何単位作れたかを考えます。生産量の表なら、同じ時間で作れる他方の財の量を比べます。
一方、関税や輸入数量制限の問題では、比較優位そのものより、政策によって国内価格と数量がどう変わるかを見ます。自由貿易から関税へ移ると、輸入財の国内価格は上がり、国内生産は増え、国内消費は減り、輸入量は縮小します。
ここで重要なのは、損失の全部が社会的損失ではないことです。消費者余剰の減少の一部は、生産者余剰や政府収入へ移ります。社会全体の純損失は、移転されずに消える死荷重です。
国際収支と為替レートのつなぎ方
国際収支と為替の問題では、「財・サービスの取引」と「金融資産の取引」を分けます。
輸出が増えて経常収支の黒字が拡大すると、輸出代金を受け取るために外貨が円へ交換されやすくなり、円買いが増えます。これは円高圧力です。
一方、海外の金融資産の収益率が高くなり、国内資金が海外へ向かう場合は、円を売って外貨を買う動きが増えます。これは円安圧力です。
同じ「国際取引」でも、経常収支を見ているのか、金融収支を見ているのかで為替の向きが変わります。選択肢では、黒字・赤字の言葉だけで判断せず、円買いか円売りかまで戻って確認します。
開放経済の政策効果を読む
マンデル=フレミング・モデルでは、閉鎖経済のIS-LMに、国際収支均衡を表すBP曲線を加えます。小国・完全資本移動を前提にすると、国内利子率は世界利子率に一致しやすく、政策効果は為替制度で大きく変わります。
変動相場制では、金融政策が効きやすく、財政政策は効きにくくなります。金融緩和は国内利子率を下げ、資本流出、自国通貨安、純輸出増加を通じてGDPを増やします。財政拡大は国内利子率を上げ、資本流入、自国通貨高、純輸出減少によって効果が打ち消されやすくなります。
固定相場制では、財政政策が効きやすく、金融政策は効きにくくなります。財政拡大で自国通貨高圧力が生じると、通貨当局は自国通貨売り・外貨買い介入を行い、貨幣供給が増えて効果を補強します。金融緩和で自国通貨安圧力が生じると、自国通貨買い・外貨売り介入で貨幣供給が戻され、効果が相殺されやすくなります。
初見問題で戻る順番
国際経済の初見問題では、細かい制度名から入るより、次の順に戻ると整理しやすくなります。
- 財の取引か、資金の取引かを分けます。
- 財の取引なら、国際価格と国内価格、輸出入の向きを確認します。
- 資金の取引なら、国内外の利子率・収益率、資本流入・資本流出を確認します。
- 為替が絡むなら、自国通貨が買われるのか売られるのかを確認します。
- 政策問題なら、変動相場制か固定相場制かを最初に確認します。
この順番は、比較優位、関税、国際収支、為替、国際マクロ政策を横断して使えます。
この章のまとめ
このトピックで新しい個別論点を厚く暗記する必要はありません。国際経済と経済政策の得点源は、比較優位、貿易政策、国際収支・為替、マンデル=フレミングです。
確認すべきことは、次の4点です。
- 比較優位は、生産量の多さではなく機会費用で判断できるか。
- 関税の図で、消費者余剰、生産者余剰、政府収入、死荷重を分けられるか。
- 経常収支と金融収支を分け、円高・円安の向きを説明できるか。
- 変動相場制と固定相場制で、財政政策・金融政策の効果を逆にしていないか。
迷ったら、問題が「財」「資金」「為替」「政策」のどれを中心にしているかを先に決めます。体系補助論点に時間をかけすぎず、頻出の4トピックへ戻って復習することが大切です。
一次試験過去問での出方
このトピック単独の過去問参照はありません。国際経済と経済政策では、2024年 第22問の比較生産費、2025年 第18問の関税効果、2024年 第9問・2025年 第11問の為替、2024年 第10問のマンデル=フレミングのように、比較生産費と貿易理論、貿易政策、国際収支と為替レート、国際マクロ経済の理論と政策の頻出論点として出題されます。