N
NARITAI

経済学・経済政策

体系補助

不均衡

価格規制や調整過程の補助として扱う。

この章で覚えておきたいこと

不均衡を均衡価格との上下、超過需要と超過供給、少ない側の取引量で読む図解
  • 不均衡とは、ある価格で需要量と供給量が一致していない状態です。
  • 価格が均衡価格より高いと、供給量が需要量を上回る超過供給が生じます。
  • 価格が均衡価格より低いと、需要量が供給量を上回る超過需要が生じます。
  • 不均衡では、実際の取引量は少ない側の数量で決まります。
  • 価格上限制や価格下限制は、市場価格の調整を止めるため、不足、売れ残り、死荷重につながります。

基本知識

不均衡は均衡から外れた価格で起こる

均衡価格から外れた価格で超過需要と超過供給が生じることを示す図解

市場均衡では、需要曲線と供給曲線の交点で、需要量と供給量が一致します。これに対して不均衡は、価格がその交点から外れ、買いたい数量と売りたい数量が一致しない状態です。

試験では、「価格が高いか低いか」を先に見ます。均衡価格より高ければ、買い手は減り、売り手は増えるので超過供給です。均衡価格より低ければ、買い手は増え、売り手は減るので超過需要です。

超過需要では不足が生じる

低すぎる価格で需要量が供給量を上回り不足が生じることを示す図解

超過需要は、需要量が供給量を上回る状態です。価格が安すぎると、買いたい人は多くなりますが、売りたい人は少なくなります。そのため、品不足、行列、抽選、配給のような状態が起こりやすくなります。

代表例は、均衡家賃より低い水準で上限価格を置く家賃規制です。この場合、借りたい人は増えますが、貸し出される住宅は減ります。実際に取引される住宅数は、需要量ではなく供給量で制約されます。

超過供給では売れ残りが生じる

高すぎる価格で供給量が需要量を上回り売れ残りや失業が生じることを示す図解

超過供給は、供給量が需要量を上回る状態です。価格が高すぎると、売りたい人は多くなりますが、買いたい人は少なくなります。そのため、売れ残りや在庫、労働市場なら失業が生じやすくなります。

代表例は、均衡価格より高い水準で下限価格を置く最低賃金や価格支持政策です。労働市場で最低賃金が均衡賃金より高く設定されると、働きたい人の数が企業の雇いたい人数を上回り、超過供給としての失業が生じます。

取引量は需要量と供給量の小さい方で決まる

不均衡時の取引量は需要量と供給量の小さい側で決まることを示す図解

不均衡で最も間違えやすいのは、需要量や供給量をそのまま取引量として読むことです。実際の取引は、買い手と売り手の両方がそろって初めて成立します。

したがって、超過需要では供給量が取引量になります。超過供給では需要量が取引量になります。余剰や死荷重を読むときも、まず実際の取引量を確定させてから面積を考えます。

価格規制は拘束的なときだけ効く

価格上限と価格下限が拘束的になる位置関係を示す図解

価格上限制は、価格を一定水準より上に行かせない制度です。ただし、均衡価格より高い上限価格なら、市場価格は均衡価格に落ち着けるため、規制は実質的に効きません。価格上限制が効くのは、均衡価格より低い上限が置かれたときです。

価格下限制は、価格を一定水準より下に行かせない制度です。ただし、均衡価格より低い下限価格なら、市場価格は均衡価格に落ち着けるため、規制は実質的に効きません。価格下限制が効くのは、均衡価格より高い下限が置かれたときです。

この「拘束的かどうか」は、価格規制問題の最初の判定です。名称だけで不足や売れ残りを決めず、規制価格が均衡価格の上か下かを必ず確認します。

価格調整と数量調整を分ける

超過需要と超過供給による価格調整圧力と数量調整の遅れを示す図解

市場が自由に調整できる場合、超過需要は価格を上げる圧力になり、超過供給は価格を下げる圧力になります。この考え方は、価格が動いて均衡へ近づくワルラス的な調整として出ます。

一方で、蜘蛛の巣理論のように、生産量の調整が遅れて価格と数量が周期的に動く論点もあります。一次試験では、まず「いま超過需要か超過供給か」を読み、そのうえで価格が上がるのか下がるのかを判断できれば十分です。

この章のまとめ

不均衡問題で均衡価格、規制価格、超過需要と超過供給、取引量、余剰を順に確認する図解

不均衡の問題は、次の順で処理します。

  1. 需要曲線と供給曲線の交点から均衡価格を確認します。
  2. 指定された価格や規制価格が、均衡価格より上か下かを見ます。
  3. 価格が上なら超過供給、価格が下なら超過需要と判断します。
  4. 実際の取引量は、需要量と供給量の小さい方で読みます。
  5. 余剰や死荷重を問われたら、実際の取引量までの面積だけを対象にします。

価格上限は「価格を上げる制度」ではなく、上に行かせない制度です。価格下限も「価格を下げる制度」ではなく、下に行かせない制度です。名称の印象ではなく、均衡価格との位置関係で判断します。

価格規制後の余剰分析では、消費者余剰や死荷重が一意に決まらない場合があります。特に家賃規制のような超過需要では、誰が実際に財を得るかという配分条件がないと、消費者余剰を機械的に断定できません。

一次試験過去問での出方

このトピック自体には、カテゴリインデックス上の独立した出題参照はありません。ただし、2012年度第12問では超過供給は価格低下圧力、超過需要は価格上昇圧力として問われました。2016年度第14問では、均衡より高い価格で超過供給が生じ、価格調整で均衡へ近づくことが問われました。

2010年度第10問では、最低賃金や価格支持政策のような価格下限制により、取引量が減って死荷重が生じることが問われました。2023年度第1回第13問では、均衡家賃より低い価格上限制のもとで、取引量、生産者余剰、供給者収入、死荷重を読む力が問われました。