経済学・経済政策
補助その他経済学・経済政策に関する事項
既出論点を要点確認する。
この章で覚えておきたいこと
このトピックは、他章に分類しにくい経済用語や政策制度を確認するための補助論点です。出題参照は少ないため、ここで新しい暗記項目を増やすより、金融政策、雇用、情報の不完全性、貿易政策で学んだ内容を横断的に使えるかを確認します。
- 量的緩和は、短期金利操作だけではなく、資産買入れとマネタリーベースの増加を伴う政策として読みます。
- 賃金の下方硬直性は、名目賃金が容易に下がらない性質です。
- モラルハザードは、制度や保険の存在によって事後の行動が変わる問題です。
- コメ輸入制度のような政策制度は、単純な「関税と数量上限」だけで断定していないかを疑います。
- 「最も不適切なもの」を選ぶ問題では、正しい用語説明を消去し、制度説明の雑な単純化を残します。
基本知識
量的緩和はマネタリーベースで読む
量的緩和政策は、政策金利を下げる余地が小さい局面で、中央銀行が資産を買い入れてマネタリーベースを増やす政策です。通常の短期金利操作だけでなく、国債以外の資産買入れが説明に含まれる場合もあります。
試験では、「量的緩和 = 金利を下げる政策」とだけ覚えると判断が粗くなります。低金利局面、中央銀行の資産買入れ、マネタリーベース増加がそろっていれば、量的緩和の説明として読めます。
賃金の下方硬直性は名目賃金の下がりにくさ
賃金の下方硬直性とは、景気悪化や物価下落があっても、名目賃金が下がりにくい性質です。労働契約、労使関係、生活維持への配慮などにより、企業が賃金をすぐに引き下げにくい状況を表します。
ここで注意するのは、上がりにくさではなく下がりにくさを見ることです。雇用と物価水準、ケインズ的な失業、デフレ局面の説明とつなげると、選択肢の方向を間違えにくくなります。
モラルハザードは制度による行動変化
モラルハザードは、保険、扶助、保証、監視の弱さなどがあることで、当事者の事後的な行動が変わる問題です。日常語の「道徳的に悪いこと」という意味だけで判断するのではなく、制度の存在と行動変化の関係で読みます。
情報の非対称性の章で学ぶ逆選択と混同しないことも重要です。逆選択は契約や取引の前に起こりやすい問題、モラルハザードは契約や制度利用の後に行動が変わる問題として区別します。
政策制度は単純化された断定を疑う
政策制度の選択肢では、用語そのものよりも制度説明の単純化がひっかけになります。コメ輸入制度では、ミニマムアクセスや関税割当などの枠組みが関係するため、単純に「関税と輸入量の上限規制」とだけ断定すると不適切になります。
制度名を細かく暗記しきれなくても、選択肢が「これだけで説明できる」と断定している場合は慎重に読みます。特に、貿易政策、農業政策、保護政策の説明では、関税、数量制限、割当、制度上の輸入機会を分けて考える姿勢が必要です。
この章のまとめ
このトピックは低頻度なので、細部を広げすぎず、横断問題の処理手順を固めます。
- まず、選択肢を「用語の定義」と「制度の説明」に分けます。
- 用語の定義は、金融政策、雇用、情報の不完全性など既存章の基本知識へ戻します。
- 量的緩和なら、資産買入れとマネタリーベース増加を確認します。
- 賃金の下方硬直性なら、名目賃金が下がりにくい説明かを確認します。
- モラルハザードなら、制度や保険の存在による事後の行動変化かを確認します。
- 制度説明は、単純な断定や「上限規制だけ」といった言い切りを疑います。
過去問では、量的緩和、賃金の下方硬直性、モラルハザードの説明は正しい選択肢として出され、コメ輸入制度を単純化した説明が不適切肢になりました。マクロ経済理論と経済政策の金融政策・雇用、国際経済と経済政策の貿易政策、組織と戦略の経済学の情報の不完全性を一通り学んだあとに、確認用として読む位置づけで十分です。
一次試験過去問での出方
2013年 第22問では、経済用語や経済政策に関する4つの記述から、最も不適切なものを選ぶ形式で出題されました。量的緩和、賃金の下方硬直性、モラルハザードは基本定義に沿った説明であり、コメ輸入制度を「関税と輸入量の上限規制」と単純化した記述が不適切でした。