財務・会計
補助その他
簿記基礎の周辺論点を、過去問で出た範囲に絞って整理する。
本支店会計の周辺論点
この章で覚えておきたいこと
- このトピックは、簿記の基礎の周辺論点のうち、過去問で実際に問われた本支店会計の入口だけを整理する章です。
- 本店の支店勘定と支店の本店勘定は対応する勘定であり、整理後は金額が一致し、借方と貸方が逆になります。
- 未達事項では、取引の内容を先に読むのではなく、どちらの帳簿の残高を求めているかを最初に確認します。
- 本店が支店のために支払う、商品を送る、支店のための資金を出す場合は、本店側の支店勘定は借方に増えやすいです。反対に、支店が本店の債務を払う、本店の債権を回収する場合は貸方に増えやすいです。
- 本店集中計算制度と支店分散計算制度は、どちらも本支店間の内部取引を本店勘定・支店勘定で結びます。一次試験では制度の細かい定義よりも、内部勘定の増減方向を問う形が中心です。
基本知識
支店勘定と本店勘定の対応
本支店会計では、本店と支店を別の帳簿単位として扱います。そのため、本支店間で商品や現金が動いたときも、外部取引ではなく内部取引として整理します。
本店の帳簿では、支店との関係を支店勘定で記録します。支店の帳簿では、同じ関係を本店勘定で記録します。両者は対応関係にあるため、決算整理後は次のように考えます。
- 本店の支店勘定が借方残高なら、支店の本店勘定は同額の貸方残高になります。
- 本店の支店勘定が貸方残高なら、支店の本店勘定は同額の借方残高になります。
- 問題で本店側の残高が与えられたら、先に本店側で整理し、最後に反対側の支店本店勘定へ読み替えると安全です。
2014年の過去問では、本店の支店勘定を整理したあと、対応する支店の本店勘定貸方残高を答えさせる形で問われました。まず片側の整理を確定させることが基本です。
内部取引で借方と貸方が動く典型パターン
本支店会計は、仕訳の形を丸暗記するより、誰のための支払いか、誰に帰属する債権かで判断した方が安定します。本店側の支店勘定でみると、典型パターンは次のとおりです。
- 借方に増える例
- 本店が支店の広告宣伝費や運送費を支払うとき
- 本店が商品を支店へ送付するとき
- 本店が支店に現金を送るとき
- 貸方に増える例
- 支店が本店の買掛金や費用を立て替えて支払うとき
- 本店が支店の売掛金を回収するとき
- 支店から本店へ送金が行われるとき
2018年の過去問では、月初残高ゼロから4つの内部取引を順に集計し、本店の支店勘定残高を求めさせました。ここでは未達事項がないため、各取引を借方か貸方へ素直に振り分ければ解けます。低頻度論点ですが、典型パターンを押さえていれば短時間で得点できます。
未達事項はどちらの帳簿に未記帳かで決まる
未達事項とは、一方の帳簿では記帳済みでも、他方ではまだ記帳されていない事項です。したがって、未達事項の問題では取引の事実だけで加減せず、出発点の残高を持つ帳簿にその事項が未記帳かどうかを確認します。
整理の手順は次の順が実戦的です。
- 求める残高が本店の支店勘定か、支店の本店勘定かを確認します。
- 借方残高か貸方残高かを確認します。
- 各未達事項について、どちらが先に記帳した取引かを判定します。
- 求める側の帳簿で未記帳の事項だけを加減します。
- 必要なら反対側の勘定残高へ読み替えます。
2008年の過去問では、本店帳簿上の支店勘定残高が与えられ、未達事項整理後の計算式を選ばせました。このとき本店から支店へ発送した商品や、本店が支店売掛金を回収した取引は、本店側で記帳する側の事項なので、与えられた本店の支店勘定をさらに直す材料にはなりません。逆に、支店から本店への送金や、支店による本店費用の立替払いは、本店側で未記帳なら支店勘定を減らす調整になります。
本店集中計算制度と支店分散計算制度の入口
一次試験では、制度の細かな説明よりも、制度のもとでどの帳簿から残高を組み立てるかが問われます。入口として次の違いを押さえれば十分です。
- 本店集中計算制度
- 本店が計算の中心になります。
- 問題では、本店帳簿の支店勘定残高から整理させる形が出やすいです。
- 支店分散計算制度
- 支店でも独立して帳簿記録が進みます。
- ただし決算時には、本店の支店勘定と支店の本店勘定を対応させる点は同じです。
2014年の過去問は支店分散計算制度でしたが、解き方の本質は変わりませんでした。与えられた本店の支店勘定借方残高から、未記帳の立替払いと債権回収を加減し、最後に対応する支店の本店勘定貸方残高へ読み替えれば解けます。制度名に引っ張られず、内部勘定の増減方向へ集中することが重要です。
この章のまとめ
- 本店の支店勘定と支店の本店勘定は、整理後に同額逆側になります。
- 本店が支店のために支払う、商品を送る、現金を送るときは、本店側の支店勘定は借方に増えやすいです。
- 支店が本店の債務を払う、本店の債権を回収する、支店から本店へ送金する場合は、本店側の支店勘定は貸方に増えやすいです。
- 未達事項では、取引内容そのものよりも、求める側の帳簿で未記帳かどうかを優先して判定します。
- 本店集中計算制度と支店分散計算制度は、名称よりも内部勘定の整合が重要です。一次試験では制度論を深追いせず、残高の組み立てを確実にします。
一次試験過去問での出方
- 2008年 第1問では、本店帳簿の支店勘定残高を前提に、未達事項のうち本店側で未記帳のものだけを調整できるかが問われました。
- 2014年 第4問では、支店分散計算制度のもとで本店の支店勘定を整理し、対応する支店の本店勘定貸方残高へ読み替えられるかが問われました。
- 2018年 第3問では、未達事項なしで本支店間取引を借方・貸方へ集計し、本店の支店勘定残高を作れるかが問われました。
- いずれも細かな制度暗記より、支店勘定・本店勘定の増減方向と、未達事項の二重計上を避ける判断が得点ポイントでした。