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原価計算の種類と方法

この章で覚えておきたいこと

原価計算の種類と方法を個別原価計算、総合原価計算、標準原価計算の3本柱で整理する図解

基本知識

個別原価計算は指図書ごとに集計します

個別原価計算で指図書別に原価を集計し、月末状態で仕掛品・製品・売上原価へ振り分ける図解

個別原価計算は、製品や注文ごとに仕様が異なる生産に向く方法です。製造指図書ごとに、直接材料費、直接労務費、直接経費を集計し、製造間接費を配賦して製品原価を求めます。

個別原価計算で見る順番は次のとおりです。

1. 指図書ごとの直接材料費を集計します。 2. 指図書ごとの直接労務費と直接経費を集計します。 3. 製造間接費の配賦基準と配賦率を確認します。 4. 指図書へ製造間接費を配賦して、指図書別原価を求めます。 5. 月末状態に応じて、仕掛品、製品、売上原価へ振り分けます。

月末状態の判定は定番です。

試験では、完成しただけで売上原価へ振り替えてしまう誤りが多いです。引渡済みかどうかまで必ず確認します。

総合原価計算は完成品換算量が中心です

総合原価計算で材料費と加工費の完成品換算量を分けて考える図解

総合原価計算は、同種製品を大量に連続生産する場合に、一定期間の総原価を完成品と月末仕掛品へ配分する方法です。月末仕掛品は未完成なので、完成品換算量を使って評価します。

最初に確認するのは数量関係です。

この式で数量が合っていないと、その後の計算がすべて崩れます。先に必ず数量をそろえます。

材料と加工費は、同じように換算しません。

たとえば、完成品600個、月末仕掛品200個、加工進捗度50パーセント、材料始点投入なら、完成品換算量は次の考え方になります。

ここで材料費にも50パーセントを掛けると誤りです。進捗度を掛けるのは加工費だと固定してください。

平均法と先入先出法の違い

平均法は月初仕掛品原価を合算し、先入先出法は当月加工分を切り出す違いの図解

総合原価計算では、平均法と先入先出法の違いも頻出です。

平均法は、月初仕掛品原価と当月投入原価をまとめて扱います。したがって、単位原価は「期首分と当月分をならした平均値」になります。

先入先出法は、月初仕掛品を先に完成させたものとして扱い、当月に追加加工した分と当月着手分を分けて考えます。したがって、月初仕掛品原価をそのまま持ち込み、当月発生原価で追加加工分を計算する点が平均法と異なります。

見分け方は次のとおりです。

月初仕掛品原価を当月投入原価へ混ぜます。

月初仕掛品原価は区分して残し、当月加工分だけを別計算します。

問題文で「平均法」とあれば、月初仕掛品原価も原価計算の分子へ入ります。逆に「先入先出法」では、月初仕掛品完成に必要な当月加工量を切り出す必要があります。

標準原価計算は差異の式を使い分けます

標準原価計算で価格差異・数量差異・賃率差異・作業時間差異を使い分ける図解

標準原価計算は、あらかじめ定めた標準原価と実際原価を比較し、差異の原因を分析する方法です。一次試験では、材料費差異と労務費差異が中心です。

材料費差異は、次の2つに分けます。

実際数量を使って、実際価格と標準価格の差を見ます。

標準価格を使って、実際数量と標準数量の差を見ます。

覚え方は単純で、価格差異は数量を固定し、数量差異は価格を固定するです。

労務費差異も同じ考え方です。

実際作業時間を使って、実際賃率と標準賃率の差を見ます。

標準賃率を使って、実際作業時間と標準作業時間の差を見ます。

ひっかけは次の2つです。

有利差異か不利差異かは、実際原価が標準原価より小さいか大きいかで判断します。実際価格が標準価格より低い、または実際数量が標準数量より少ないなら、有利差異です。

公式は「標準 - 実際」で置くと、有利差異がプラスになり、判断しやすくなります。

| 差異 | 公式 | 固定する要素 | |---|---|---| | 材料価格差異 | (標準価格 - 実際価格) × 実際消費量 | 実際消費量 | | 材料数量差異 | (標準消費量 - 実際消費量) × 標準価格 | 標準価格 | | 賃率差異 | (標準賃率 - 実際賃率) × 実際作業時間 | 実際作業時間 | | 作業時間差異 | (標準作業時間 - 実際作業時間) × 標準賃率 | 標準賃率 |

この表ではプラスが有利、マイナスが不利です。問題文が「実際 - 標準」型で式を置いている場合は符号が逆になるため、最後は必ず有利・不利の言葉で確認します。

製造間接費は配賦率と差異の意味を切り分けます

製造間接費を予定配賦率で配賦し、予算差異と操業度差異を切り分ける図解

製造間接費は製品へ直接ひも付けにくいため、配賦基準を使って配賦します。典型的な配賦基準は、直接作業時間、機械時間、直接労務費などです。

予定配賦率の考え方は次のとおりです。

各製品への配賦額は、予定配賦率に各製品の配賦基準量を掛けて求めます。

差異問題では、予算差異と操業度差異を切り分けます。

実際発生額と、実際操業度に対応した予算額との差です。

実際操業度で配賦した額と、基準操業度ベースの固定費負担との差です。

公式法変動予算が出るときは、固定費と変動費を分けて考えます。

したがって、予算差異では、実際操業度に対応した変動予算額を使う必要があります。基準操業度のまま比べると誤ります。

公式法変動予算では、次の関係式を使います。

| 項目 | 公式・意味 | |---|---| | 予定配賦率 | 製造間接費予算額 ÷ 基準操業度 | | 予定配賦額 | 予定配賦率 × 実際操業度 | | 変動予算額 | 固定費予算額 + 変動費率 × 実際操業度 | | 予算差異 | 変動予算額 - 実際発生額 | | 操業度差異 | 予定配賦額 - 変動予算額 |

上の置き方では、プラスなら有利、マイナスなら不利として読みます。製造間接費差異は、どの金額同士を比べているかを図で追うより、まず「実際発生額」「変動予算額」「予定配賦額」の3点を並べると安定します。

正常仕損・減損は負担させる相手を確認する

総合原価計算では、仕損や減損を「なかったもの」として無視するのではなく、正常な範囲なら良品に負担させるのが基本です。一次試験では、詳細な会計処理よりも、どの完成品換算量に含めるか、誰に負担させるかが問われます。

| 発生点 | 基本処理 | 判断軸 | |---|---|---| | 工程の終点で発生 | 完成品に負担させる | 月末仕掛品は通常、負担しません | | 工程の途中で発生 | その発生点を通過した完成品・月末仕掛品に負担させる | 月末仕掛品の進捗度が発生点を超えたかを確認します | | 異常仕損 | 原価計算から切り離して異常損失として扱う | 正常仕損と混ぜません |

度外視法では、正常仕損の数量を分母から除くことで、良品側の単位原価に負担を含めます。問題文が平均法か先入先出法かを指定している場合は、その方法で完成品換算量を作ったうえで、仕損・減損の負担関係を乗せます。

部門別個別原価計算とABCは補助論点です

部門別個別原価計算とABCで間接費を部門や活動ごとに配賦する図解

部門別個別原価計算では、補助部門費を製造部門へ配賦してから、各製造部門の間接費を製品へ配賦します。一次試験では、直接配賦法のような基本的な配賦手順が問われます。

ABC、活動基準原価計算は、間接費を活動ごとに集計し、コスト・ドライバーで製品へ配賦する方法です。伝統的な単一基準配賦よりも、間接費の因果関係を反映しやすい点が特徴です。

ただし、この章の主戦場はあくまで個別、総合、標準です。ABC や部門別個別原価計算は、間接費配賦の発展論点として整理すれば十分です。

この章のまとめ

原価計算の種類と方法を個別・総合・標準の3本柱として整理するまとめ図解

一次試験過去問での出方

2009年 第6問、2012年 第7問、2015年 第7問、2021年 第7問、2024年 第10問では、個別原価計算が出ています。製造指図書別に原価を集計し、完成、未完成、引渡済みを振り分ける形です。

2011年 第10問、2013年 第11問、2017年 第8問、2023年第1回 第10問、2025年 第12問では、総合原価計算が出ています。材料始点投入、加工進捗度、平均法、先入先出法、正常仕損や減損の扱いが定番です。

2013年 第10問、2016年 第7問、2017年 第9問、2023年第2回 第10問、2025年 第11問では、標準原価計算や原価差異が出ています。価格差異と数量差異、賃率差異と作業時間差異の式の使い分けが問われました。

2018年 第8問では部門別個別原価計算、2018年 第9問では公式法変動予算による製造間接費差異、2020年 第14問では活動基準原価計算が出ています。主論点に比べれば補助ですが、間接費配賦の考え方を問う問題として押さえておきたいです。

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