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スワップ(金利スワップ、通貨スワップ)

金利スワップと通貨スワップの基本構造を短く整理する。

スワップ

この章で覚えておきたいこと

スワップでこの章で覚えておきたい要点を整理する図解
  • スワップは、将来の一定期間にわたって キャッシュフローを交換する取引 です。
  • 金利スワップ は、通常、同一通貨の名目元本を基準に利払いを交換し、元本自体は交換しません。
  • 通貨スワップ は、通常、異なる通貨の元本と利息を交換します。
  • 変動金利借入の金利上昇リスクを避けたいときは、固定金利支払・変動金利受取 の形で実質固定化します。
  • 「通常の取引」と書かれたら、まずは標準形を思い出し、断定的な選択肢を慎重に見ます。

基本知識

スワップ取引の基本構造

2つの企業が将来のキャッシュフローを交換するスワップ取引の基本構造の図解

スワップは、2者が将来のキャッシュフローを交換する契約です。デリバティブの中でも、現物を売買するというより、金利条件や通貨建ての資金の流れを組み替えるために使われます。

診断士試験では、複雑な価格理論よりも、何を交換する取引なのか、どのリスクを管理するのかを問う問題が中心です。したがって、金利スワップと通貨スワップの違いをはっきり分けて覚えることが重要です。

金利スワップ

固定金利支払と変動金利受取で変動金利借入を実質固定化する金利スワップの図解

金利スワップは、同一通貨の名目元本を前提に、固定金利と変動金利などの利払いを交換する取引です。名目元本は利息計算の基準にすぎず、通常は元本そのものを受け渡ししません。

たとえば変動金利で借りている企業が金利上昇を避けたいなら、固定金利を支払い、変動金利を受け取るスワップを組み合わせます。借入側で支払う変動金利と、スワップで受け取る変動金利が相殺され、実質的に固定金利負担へ変わります。

2011年第21問では、この交換方向と、通常の金利スワップでは元本交換をしない点が問われました。固定受取・変動支払にすると金利上昇リスクを消せる、と逆に覚えると誤りやすいので注意が必要です。

通貨スワップ

通貨スワップで異なる通貨の元本と利息を交換し満期に元本を再交換する図解

通貨スワップは、通常、異なる通貨の元本を交換し、期間中はそれぞれの通貨建て利息を交換し、満期時に元本を再交換する取引です。円とドルのように通貨そのものが違うため、金利条件だけでなく通貨建て資金の調達条件も組み替えられます。

2025年第24問では、通常の通貨スワップについて、異なる通貨の元本と金利を交換するものを正答にする形で出題されました。これに対し、通常の金利スワップで元本交換を行うとする選択肢は誤りでした。

過去問でのひっかけ

スワップ問題で通常形と断定表現と元本交換の有無を確認する判断軸の図解

スワップの問題では、「通常」「必ず」「行われない」のような強い表現がひっかけになりやすいです。標準形としては、金利スワップは元本交換なし、通貨スワップは元本交換ありで整理します。

一方で、実務には変動金利同士を交換するベーシス・スワップのような形態もあります。そのため、2025年第24問のように「変動金利同士を交換する取引は行われない」という断定は誤りになります。低頻度論点ですが、強い言い切りを切る材料として知っておくと有効です。

この章のまとめ

金利スワップと通貨スワップの違いと断定表現の判断軸を確認する図解
  • 金利スワップは 同一通貨の利払い交換、通貨スワップは 異通貨の元本と利息の交換 です。
  • 通常の金利スワップでは、元本は名目上の計算基準であり、実際には交換しません。
  • 変動金利借入を固定化したいときは、固定支払・変動受取を組み合わせます。
  • 試験では、交換の向き、元本交換の有無、断定表現の正誤がよく問われます。

一次試験過去問での出方

2011年第21問では、金利スワップの基本構造として、比較優位のある市場で調達してからスワップする考え方、変動借入を固定化する交換方向、通常は元本交換をしない点が問われました。2025年第24問では、金利スワップと通貨スワップの違いを問う形で、通常の通貨スワップは異なる通貨の元本および金利を交換すること、通常の金利スワップは元本を交換しないことが正答判断の軸になりました。