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消費者行動への影響要因

この章で覚えておきたいこと

消費者行動への影響要因の全体像の図解

消費者行動は、消費者本人の好みだけで決まるわけではありません。文化、社会、家族、年齢、所得、価値観、ライフスタイル、他者の目などが重なって、何を買うか、どのブランドを選ぶか、どのように使うかが変わります。

このトピックでは、まず影響要因を大きく整理します。

一次試験では、準拠集団を「所属している集団だけ」と限定する選択肢、バンドワゴン効果とスノッブ効果を逆にする選択肢、ライフサイクルとライフコースを混同する選択肢がよく出ます。用語を暗記するだけでなく、誰の影響か、何の属性か、欲求が増えるのか減るのかを判断軸にしてください。

基本知識

文化的要因は価値観と生活様式の土台になる

文化的要因と生活様式の図解

文化的要因は、消費者が当たり前だと感じる価値観や生活様式を形づくります。食べ物、衣服、住まい、贈答、余暇、ブランドへの感じ方などは、文化や社会階層の影響を受けます。

代表的な文化的要因は次のとおりです。

社会階層は、日本では意味がないと切り捨てるものではありません。所得や職業だけでなく、価値観や生活様式の違いとして消費行動に表れるため、セグメンテーション変数として使われます。

準拠集団は所属集団だけではない

準拠集団は所属集団だけではないことの図解

準拠集団とは、消費者が態度や行動を決めるときに基準にする個人や集団です。実際に所属している集団だけでなく、憧れる集団、距離を置きたい集団、専門家、有名人、SNS上の発信者も参照点になりえます。

準拠集団は、次のように整理します。

試験では、「準拠集団とは、個人が直接・間接に所属している集団である」というように、準拠集団を所属集団へ狭く限定する記述が誤りになりやすいです。

準拠集団の影響は見える商品ほど強い

見える商品と準拠集団の影響の図解

準拠集団の影響は、商品やブランドが他人から見えやすいほど強くなります。服、時計、車、バッグ、SNSに投稿する料理や旅行などは、自己表現や他者評価に関わるため、集団の影響を受けやすいです。

一方で、他人の目に触れにくい私的な商品では、準拠集団の影響は相対的に弱くなります。もちろんゼロではありませんが、公共的に使う商品ほど強い、と押さえてください。

判断するときは、次の順に見ます。

1. その商品は他人から見えるか。 2. ブランドや所有が自己表現になるか。 3. 周囲からの賞賛や批判を受けやすいか。

この3つがそろうほど、準拠集団の影響は強くなります。

情報的・功利的・価値表出的影響を分ける

情報的・功利的・価値表出的影響の図解

準拠集団の影響は、何に効いているかで分けると理解しやすくなります。

功利的影響は報酬や罰、価値表出的影響は自己表現、と短く覚えると混同しにくいです。

弱いつながりと情報発信者を区別する

弱いつながりと情報発信者の図解

消費者間ネットワークでは、家族や親友のような強いつながりだけでなく、知人程度の弱いつながりも重要です。弱いつながりは、異なる集団を橋渡しし、新しい情報を広く伝えやすいからです。

また、情報発信者にも種類があります。

「オピニオンリーダー=イノベーター」と単純に置き換える選択肢や、「インフルエンサー=後期多数採用者」とする選択肢は慎重に読んでください。

家族と家計は分析単位が違う

家族と家計の分析単位の図解

消費行動の分析では、個人だけでなく、家族や家計が基本単位になります。家族人数や世帯構成によって、食費、住居費、教育費、耐久消費財、余暇支出の比重が変わるからです。

家族と家計は、次のように分けます。

家族の問題では、誰が買うかだけでなく、誰が使うか、誰が支払うか、誰が意思決定に影響するかを分けると読みやすくなります。

ライフサイクルとライフコースを混同しない

ライフサイクル・ライフコース・ライフスタイルの図解

家族ライフサイクルは、独身、新婚、子育て、子どもの独立、老年期といった家族の発達段階に沿って消費の変化を見る考え方です。子どもがいるフルネスト段階では、食料、住居、教育、子ども関連支出などが高まりやすいと考えます。

ライフコースは、個人や家族がたどる人生経路の多様化に注目します。晩婚、未婚、DINKS、再就学、転職、再婚、介護、婚活、社会人教育など、選択の分岐が増えるほど新しい消費機会が生まれます。

違いは次のように押さえます。

個別家族に固有な出来事や人生選択の多様化を重視する記述は、ライフサイクルよりもライフコースに近いです。

デモグラフィックとサイコグラフィックを分ける

デモグラフィックとサイコグラフィックの図解

市場を分ける変数には、人口統計的な属性と心理・生活面の属性があります。

デモグラフィック変数は、客観的に把握しやすい人口統計的属性です。性別、年齢、年収、職業、家族構成、社会的地位、ライフステージなどが含まれます。

サイコグラフィック変数は、心理や生活様式に関わる属性です。趣味、価値観、関与、パーソナリティ、ライフスタイル、活動、関心、意見などが含まれます。

試験では、年齢や年収をサイコグラフィックに入れたり、価値観やライフスタイルをデモグラフィックに入れたりする選択肢が出ます。客観属性か、心理・生活様式かで切り分けてください。

バンドワゴン・スノッブ・ヴェブレン効果の向きを押さえる

バンドワゴン・スノッブ・ヴェブレン効果の図解

他者の消費行動や価格そのものが、消費者の欲求を変えることがあります。ここでは、効果の向きが最重要です。

バンドワゴンは「みんなが持つから欲しい」、スノッブは「みんなが持つならいらない」、ヴェブレンは「高いからこそ欲しい」と整理します。バンドワゴン効果とスノッブ効果は、欲求の向きが逆です。

アサエルの購買行動分類は関与とブランド差で見る

アサエルの購買行動分類の図解

アサエルの購買行動分類は、関与水準とブランド間の知覚差異の2軸で購買行動を整理します。

4つの型は次のとおりです。

一次試験では、特にバラエティ・シーキングが問われます。低関与かつブランド差が大きいときに起こりやすい、と押さえてください。

近年の消費スタイルは所有から利用・経験へ向かう

所有から利用・経験へ向かう消費の図解

近年のデジタル社会では、所有よりも利用、経験、共有、発信を重視する消費スタイルが問われています。

代表概念は次のとおりです。

リキッド消費を「永続的、所有ベース、物質主義的」と説明する選択肢は逆です。快楽消費に合理的判断や実用性を中心に含める選択肢も、功利的価値との混同として疑ってください。

社会的アイデンティティと自己高揚を読む

社会的アイデンティティと自己高揚の図解

消費者は、自分をどう見せたいか、どの集団に属していると思われたいかによってブランドを選びます。これが社会的アイデンティティや自己概念に関わる論点です。

自己高揚は、自分に対する否定的評価を避け、肯定的評価を得たい欲求です。自己高揚が強い消費者は、現在の所属集団よりも、理想とする願望集団で使われているブランドとの結びつきを強めることがあります。

拒否集団をイメージさせるブランドは避けられやすく、その傾向は他者の目がある公的場面で強くなりやすいです。見られていない場面でより強くなる、とする記述は不自然です。

また、単にその場にいるだけの他者でも、消費者の行動に影響を与える場合があります。他者が明確に説得しようとしているときだけ影響がある、とは限りません。

この章のまとめ

消費者行動への影響要因のまとめの図解

このトピックは、選択肢の用語を分類し、効果の向きを確認する問題が中心です。最後に次の点を確認してください。

解くときは、まず選択肢が文化的要因、社会的要因、個人的要因、心理的要因のどれを扱っているかを決めます。次に、用語の範囲が狭められていないか、効果の向きが逆になっていないかを確認します。特に準拠集団、バンドワゴン/スノッブ、ライフサイクル/ライフコース、デモグラフィック/サイコグラフィックは、ひっかけが作られやすい組み合わせです。

一次試験過去問での出方

2007年度第32問、2012年度第27問、2017年度第35問、2020年度第33問、2022年度第27問では、準拠集団、公共的消費、弱いつながり、自己高揚、情報的・功利的・価値表出的影響が問われました。

2013年度第25問設問1では、準拠集団、イノベーター、キャズム、マーケットメイブンの用語対応が問われました。

2014年度第30問設問1から3では、家族と家計、ライフサイクル、ライフスタイル、ライフコースの違いが問われました。

2024年度第38問設問1・2では、デモグラフィック/サイコグラフィック、バンドワゴン/スノッブ/ヴェブレン、アサエル分類が問われました。

2022年度第35問、2025年度第35問では、脱物質主義、顕示的消費、リキッド消費、快楽消費など、近年の消費スタイルが問われました。