企業経営理論
補助その他
周辺論点を短く扱う。
この章で覚えておきたいこと
- このトピックでは、CSRやガバナンスの周辺論点として、危機管理、リスクマネジメント、サステナビリティ、ESG情報開示を短く整理します。
- リスクマネジメントは、予測可能なリスクを事前に把握し、発生確率や影響を下げる管理です。
- クライシスマネジメントは、不測の事態が起きた後に、被害を抑え、事業と社会的信頼を回復する対応です。
- SDGs、サステナビリティ、ESG情報開示は、社会課題への姿勢を外部に説明し、ステークホルダーから評価される材料になります。
基本知識
リスクマネジメントとクライシスマネジメント
リスクマネジメントは、事故、災害、情報漏えい、法令違反、サプライチェーン停止などのリスクを事前に洗い出し、発生可能性と影響度を評価して対応を準備する管理です。対応には、回避、低減、移転、受容があります。
クライシスマネジメントは、危機が実際に発生した後の対応です。不測の事態では、平時の手順だけでは足りないことがあります。経営トップ、法務、広報、技術担当、必要に応じて外部専門家を含む危機管理チームを作り、情報を集約しながら迅速に判断します。
試験では、事前予防ならリスクマネジメント、発生後対応ならクライシスマネジメントと整理します。
危機時の権限配分と情報伝達
危機時には、危機管理本部や危機管理センターが方針、優先順位、資源配分を示します。ただし、現場での実行方法まで細かく集権的に決めると、変化の早い状況に対応しにくくなります。
重要なのは、本部が「何を優先するか」を示し、現場が「どのように実行するか」を状況に応じて調整できる分担です。あわせて、通常の連絡網が使えない場合に備え、代替の情報ネットワークを確保します。
情報に変化がない場合でも、発信を止めると不安や憶測が広がります。従業員、顧客、取引先、地域社会に対して、継続的に状況を説明することが重要です。
サステナビリティとSDGsの位置づけ
サステナビリティは、企業が環境、社会、経済の持続可能性を考えながら事業を続ける考え方です。SDGsは国際的な目標であり、企業は自社事業と関係の深い課題を選び、製品、サービス、調達、人材、地域連携に反映させます。
ここでのひっかけは、すべての目標に均等に取り組むことが望ましい、あるいは利益を考えずに社会課題だけを追求する、という説明です。企業経営では、自社の強みや影響範囲と結びつけ、社会価値と経済価値の両面から考えます。
ESG情報開示と外部評価
ESG情報開示では、環境、社会、ガバナンスに関する取り組みやリスクを外部に説明します。統合報告書やサステナビリティ報告では、財務情報だけでなく、人的資本、知的資本、気候変動対応、サプライチェーン、人権、ガバナンス体制などの非財務情報も扱われます。
ただし、実態を伴わない見せかけの環境配慮は、グリーンウォッシュとして信頼を損ねます。ESG開示は、広告ではなく、投資家や社会が企業の中長期的な価値創造を判断する材料です。
この章のまとめ
このトピックでは、まず「事前予防か、発生後対応か」を確認します。事前予防ならリスクマネジメント、発生後対応ならクライシスマネジメントです。危機時には、中央が方針と優先順位を示し、現場に実行上の裁量を残すことが重要です。
SDGs、サステナビリティ、ESG情報開示は、CSRやCSVと重なりますが、ここでは周辺論点として、外部への説明と評価の材料である点を押さえます。社会課題への取り組みを、寄付や広報だけに限定せず、事業活動、リスク管理、情報開示と接続して理解します。
一次試験過去問での出方
2016年度第18問では、組織の危機管理が問われました。危機管理本部は優先順位を示す必要がありますが、現場での実行方法まで細かく集権的に決めると、変化の早い状況に対応しにくくなります。危機時の自由裁量、経営トップ・法務・広報・外部専門家を含む体制、継続的な情報発信、代替情報ネットワークを押さえます。