企業経営理論
体系補助その他
関連章の確認用として使う。
この章で覚えておきたいこと
このトピックは、国際経営戦略の追加暗記ではなく、C_05全体を横断して読むための確認ページです。
国際経営戦略の過去問は、論点が一つだけで完結しないことがあります。海外進出形態を問う選択肢に統制やノウハウ流出の話が混ざり、戦略類型を問う選択肢に本社と海外子会社の権限配分が混ざります。
最初に、次の流れで整理します。
- 海外進出形態は、海外市場へ入る方法を問う論点です。
- グローバル統合とローカル適応は、進出後に何を共通化し、何を現地に合わせるかを問う論点です。
- 国際経営戦略の類型は、統合と適応の組み合わせを整理する論点です。
- 国際経営戦略と組織は、選んだ戦略を実行するための組織設計を問う論点です。
- 本社-海外子会社のマネジメントは、権限、統制、知識移転をどう配分するかを問う論点です。
基本知識
進出前と進出後を分ける
国際経営の問題では、まず「海外市場にどう入るか」を聞いているのか、「入った後にどう運営するか」を聞いているのかを分けます。
進出前の方法を聞いている場合は、輸出、ライセンス供与、フランチャイズ、委託生産、合弁、海外直接投資などを比較します。ここでは、投資負担、統制、現地パートナーへの依存、ノウハウ流出、撤退しやすさが判断軸になります。
進出後の運営を聞いている場合は、グローバル統合、ローカル適応、戦略類型、組織、本社-子会社管理を使います。ここでは、標準化、現地対応、権限配分、知識移転、子会社の自律性が判断軸になります。
同じ「統制」という語でも、進出形態では「自社で活動を握るか」、進出後の運営では「本社がどこまで意思決定を握るか」という意味で使われます。設問の段階を取り違えないことが大切です。
統制・リスク・資源投入・現地適応で読む
C_05の選択肢は、次の4つの軸で読むと整理しやすくなります。
統制は、自社や本社がどの程度活動を管理できるかです。海外直接投資や本社集権は統制を強めやすく、輸出やライセンス供与、子会社分権は統制の性質が異なります。
リスクは、投資回収、撤退困難性、為替、政治・法制度、品質問題、技術流出などです。低投資の形態は始めやすい一方、品質やノウハウの統制が弱くなることがあります。
資源投入は、資金、人材、管理能力、現地情報、研究開発力をどれだけ投入するかです。海外直接投資は資源投入が大きく、輸出やライセンス供与は相対的に軽く始めやすいです。
現地適応は、現地の所得水準、嗜好、制度、流通、競合、人材に合わせる力です。新興国市場や国ごとの差が大きい市場では、現地販売網、現地人材、現地仕様の製品が重要になります。
戦略類型を横断して確認する
国際経営戦略の類型は、名称ではなく、統合圧力と適応圧力の組み合わせで読みます。
グローバル型は、統合圧力が高く、適応圧力が低い場合に合います。本社集中、標準化、規模の経済、世界共通という語が手がかりです。
マルチナショナル型は、統合圧力が低く、適応圧力が高い場合に合います。現地子会社の自主性、国別対応、現地ニーズ、権限分散という語が手がかりです。
インターナショナル型は、本国のコア能力を海外へ移転して活用する考え方です。本国で開発された技術やノウハウを海外拠点が適用する、という知識の流れを見ます。
トランスナショナル型は、統合と適応を同時に追求します。各国拠点の相互依存、専門化、共同開発、知識共有という語が手がかりです。
過去問では、類型名よりも「資産や能力はどこにあるか」「知識はどこで開発されるか」「海外子会社は実行拠点か、自律拠点か、ネットワーク拠点か」を問う形が多いです。
強い言い切りを疑う
国際経営では、国、製品、産業、規制、現地パートナー、企業の資源によって適切な選択が変わります。そのため、選択肢の強い言い切りには注意します。
たとえば、次のような表現は慎重に読みます。
- 海外進出では必ず海外直接投資を行う。
- 現地化には日本人だけによる運営が望ましい。
- ライセンス供与ではノウハウ流出のリスクは生じない。
- 現地適応を重視する場合でも、本社がすべての意思決定を行う。
- トランスナショナル型では、本社から海外子会社へ一方向に知識を移すだけでよい。
もちろん、断定表現が常に誤りとは限りません。しかし、C_05では「条件によって変わる」論点が多いため、断定が設問条件と合っているかを確認します。
この章のまとめ
C_05を横断して解くときは、次の順で読みます。
- まず、設問が「進出形態」なのか「進出後の運営」なのかを分ける。
- 進出形態なら、輸出、ライセンス供与、フランチャイズ、合弁、海外直接投資を、投資負担と統制で比較する。
- 進出後の運営なら、統合と適応のどちらを重視しているかを読む。
- 戦略類型なら、グローバル、マルチナショナル、インターナショナル、トランスナショナルを、知識の流れで見分ける。
- 組織や本社-子会社関係なら、戦略に合う権限配分になっているかを確認する。
復習では、間違えた選択肢を「進出形態の取り違え」「統合と適応の逆転」「戦略類型の混同」「本社と子会社の権限配分の矛盾」「知識移転の一方向理解」に分けると、次の演習で修正しやすくなります。
一次試験過去問での出方
このトピック自体の直接参照はありません。C_05全体では、海外進出形態、I-Rフレームワーク、4つの国際経営戦略類型が横断的に問われます。過去問演習後は、個別知識を増やすより、選択肢をどの判断軸で切ったかを確認するために使います。