企業経営理論
補助組織開発
組織開発の考え方を短く整理する。
この章で覚えておきたいこと
組織開発(OD)は、組織の有効性と従業員のウエルネスを高めるために、人間的・民主的な価値観にもとづいて計画的に組織変革へ介入する考え方です。
試験では細かな技法名よりも、ODが重視する価値観を見分けることが大切です。押さえる軸は次のとおりです。
- 人間を、責任感・誠実さ・思いやりを持つ存在として尊重します。
- 階層的な権威や支配に過度に依存しません。
- 信頼、開放性、協力的な関係を重視します。
- 変革の影響を受ける人を意思決定と実行に参加させる。
- 結果だけでなく、組織内の相互作用や意思決定のプロセスにも介入します。
試験で問われる形
過去問では、組織開発が重視する価値観として不適切なものを選ばせる形で出題された。
典型的には、信頼、参加、開放性、人間尊重は正しい方向です。一方で、「プロセスを重視する」を「結果にはこだわらない」と言い換えた選択肢は誤りになります。
基本知識
組織開発は、制度や組織図を一方的に変更するだけの変革ではない。行動科学の考え方を背景に、組織内の人間関係、コミュニケーション、参加、協働のあり方へ働きかける。
ODのねらいは、組織の成果を高めることと、働く人の心身の健全さを高めることの両立です。そのため、メンバーを単なる命令の受け手として扱わず、変革に関わる主体として参加させる。
ここでいうプロセスへの介入とは、会議での発言のされ方、部門間の協力、上司と部下の信頼関係、意思決定への参加などを改善することです。成果を無視するという意味ではない。
この章のまとめ
解き方・判断手順
- まず、選択肢が「人間尊重」「信頼」「参加」「開放性」「協力」を肯定しているかを見る。
- 次に、権威や支配を強める方向か、民主的な参加を広げる方向かを確認します。
- 最後に、「プロセス重視」が「結果軽視」にすり替えられていないかを確認します。
ODはプロセスを重視するが、組織の有効性やウエルネスの改善を目指す手法です。したがって、結果にこだわらない、成果はどうでもよい、という表現は切る。
ひっかけポイント
- 「プロセスを重視する」は正しいが、「問題解決の結果にはこだわらない」は誤り。
- 「参加させる」は正しい。変革の影響を受ける人を排除して上層部だけで決める方向はODらしくない。
- 「権威や支配にこだわらない」は正しい。無秩序にするという意味ではなく、対話と協働を重視するという意味で読む。
- 「従業員ウエルネス」は、福利厚生だけの話ではなく、組織の健全性や働く人の良好な状態と結び付けて理解します。
一次試験過去問での出方
2015年第18問では、組織開発が重視する価値観として最も不適切なものが問われた。正解は「問題解決の結果にはこだわらず、取り組みのプロセスを重視する」という選択肢です。
信頼関係、開放性、協力的な環境、人間尊重、変革への参加はODの価値観として適切です。誤りは、プロセス重視を結果軽視にまで言い過ぎている点にある。
最後に確認すること
- ODは、人間的・民主的価値観にもとづく計画的な組織変革への介入です。
- 信頼、開放性、協力、参加、人間尊重はODの正しいキーワードです。
- プロセスへの介入は重要だが、結果を軽視するわけではない。
- 出題頻度は高くないため、2015年第18問の判断軸を短く押さえればよい。