企業経営理論
補助消費者の価格判断における文脈効果(トレードオフ・コントラスト、カテゴライゼーション)
文脈効果、トレードオフ、コントラストを短く扱う。
消費者の価格判断における文脈効果
この章で覚えておきたいこと
- 消費者の価格判断は、商品そのものだけでなく、比較対象、カテゴリー、購入状況に影響されます。
- カテゴライゼーションにより、同じ商品でも「どのカテゴリーの商品として見るか」で受容価格が変わります。
- トレードオフ・コントラストでは、選択肢の追加により比較基準が変わり、選ばれやすい価格帯が変わります。
- 端数価格は、切りのよい価格より少し低く見せる心理的価格設定であり、イメージ・プライシングとは区別します。
- メンタル・アカウンティングでは、消費者は支出を心の中で別々の勘定として扱います。
基本知識
カテゴライゼーション
カテゴライゼーションは、消費者が商品をどのカテゴリーに分類して理解するかです。同じ商品でも、健康食品として見れば高価格を受け入れやすく、普通の菓子として見れば高く感じることがあります。
カテゴリーは、価格の期待水準を作ります。ホテルのコーヒー、専門店のコーヒー、食堂のコーヒーでは、同じ価格でも高いか安いかの感じ方が変わります。
トレードオフ・コントラスト
消費者は選択肢を単独で評価せず、他の選択肢との比較で評価します。低価格、中価格、高価格の3つがあると、中価格が妥協案として選ばれやすくなることがあります。高価格帯を追加すると、既存の中価格帯が相対的に手頃に見える場合もあります。
この論点では、「価格帯を増やすと必ず最低価格が選ばれる」とは判断しません。選択肢の組み合わせによって、比較の基準が変わるからです。
メンタル・アカウンティング
メンタル・アカウンティングは、消費者が支出を心の中の別々の勘定で扱う考え方です。高額商品を買った直後に、関連する小物の支出が相対的に小さく感じられることがあります。反対に、同じ予算枠の中では小さな支出にも敏感になることがあります。
「心理的財布」という言い方で出る場合もあります。重要なのは、客観的には同じ金額でも、どの予算枠の支出として見るかで重さが変わる点です。
端数価格とイメージ・プライシング
端数価格は、1,000円ではなく980円、10,000円ではなく9,800円のように、切りのよい価格より少し低く設定する方法です。消費者に割安感を与えやすい心理的価格設定です。
イメージ・プライシングは、商品やブランドのイメージ、自己表現欲求、顕示欲求に合う価格を設定する考え方です。高級感やプレステージを価格で示す場合に関係します。
試験では、端数価格をイメージ・プライシングと呼ぶ説明が不適切になりやすいです。少し安く見せる端数価格と、ブランドイメージに合う価格を設計するイメージ・プライシングを分けます。
この章のまとめ
文脈効果の問題では、価格だけを単独で見ず、消費者が何と比較しているか、どのカテゴリーに入れているか、どの支出枠として見ているかを読みます。
判断手順は次のとおりです。
- 商品がどのカテゴリーとして認識されているかを確認します。
- 比較対象が追加されたことで、低価格、中価格、高価格の見え方が変わっていないか読みます。
- 端数価格、イメージ価格、威光価格など、似た価格用語を区別します。
- 高額商品の直後の支出は、同じ心理的財布か別の心理的財布かを考えます。
- 「常に低価格が選ばれる」といった断定は疑います。
ひっかけとしては、価格帯を増やすと必ず最低価格が選ばれるという説明、端数価格をイメージ・プライシングと呼ぶ説明、文脈効果を製品の客観的品質だけで説明する選択肢に注意します。
一次試験過去問での出方
2018年度第34問では、健康効果が期待される菓子を健康食品として認識する場合と嗜好品として認識する場合の価格受容差が問われました。
同問では、価格帯追加による選択の変化、端数価格、心理的財布も選択肢として出ました。価格判断は、商品単体ではなく購買文脈で読むことが重要です。