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NARITAI

企業経営理論

標準

製品の概念(製品の分類、製品の価値、プロダクト・ミックス)

製品分類、製品価値、プロダクト・ミックスを扱う。

製品の概念

この章で覚えておきたいこと

製品は、工場で作られた物そのものだけを指す言葉ではありません。マーケティングでは、顧客が得る便益、品質、デザイン、ブランド、保証、アフターサービス、利用体験まで含めた価値の束として製品を捉えます。

一次試験では、製品分類、顧客価値、プロダクト・ミックスの違いが問われます。特に、製品ライン、製品アイテム、幅、長さ、深さ、一貫性を取り違える選択肢が出やすいです。

基本知識

製品は価値の束である

マーケティング上の製品は、有形の商品に限りません。顧客が問題を解決するために受け取る便益、サービス、ブランドの信頼、購入後の保証、使うときの経験を含みます。

たとえば、同じ家電でも、性能だけでなく、操作しやすさ、設置サービス、保証、ブランドへの安心感、使っているときの満足感が製品価値になります。試験では「製品は物理的な商品だけである」という限定表現を疑います。

消費財と生産財

製品分類では、誰が何のために購入するかを見ます。

  • 消費財: 最終消費者が自分や家庭で使うために購入する製品です。
  • 生産財: 企業や組織が事業活動、生産活動、販売活動のために購入する製品です。

有形か無形かだけで分類しないことが重要です。業務用ソフトウェアや保守サービスのように無形性が強いものでも、企業活動に使われるなら生産財として考えます。

最寄品・買回品・専門品

消費財は、購買行動で整理します。

  • 最寄品: 購買頻度が高く、比較検討が少ない製品です。日用品や食品などが典型です。
  • 買回品: 価格、品質、デザイン、機能を比較して購入する製品です。
  • 専門品: 特定ブランドや特定性能へのこだわりが強く、消費者が努力して購入する製品です。
  • 非探索品: 消費者が普段は積極的に探さない製品です。必要性の認知を促す工夫が重要になります。

最寄品は「安い製品すべて」ではありません。専門品も「専門家だけが使う製品」ではありません。購買頻度、比較検討、こだわりの強さで判断します。

顧客価値の種類

顧客価値は、顧客が得る便益と負担の比較で考えます。価値は機能だけではありません。

  • 機能的価値: 性能、品質、耐久性、効率のように、製品の働きから生まれる価値です。
  • 感覚的価値: 色、香り、手触り、デザイン、印象のように、五感や情緒に関わる価値です。
  • 経験価値: 購入、利用、共有、サポートを通じて得られる体験価値です。
  • 文脈価値: 利用場面、顧客の状況、周囲との関係によって変わる価値です。

過去問では、文脈価値、経験価値、感覚的価値を切り分ける問題が出ています。機能だけで顧客価値を説明し切らないことが得点につながります。

プロダクト・ミックス

プロダクト・ミックスは、企業が提供する製品全体の組み合わせです。次の4つで整理します。

  • : 製品ラインの数です。何系列の製品群を持つかを見ます。
  • 長さ: 製品アイテムの総数です。全体で何品目あるかを見ます。
  • 深さ: 各製品ライン内のバリエーションです。サイズ、色、容量、仕様などの種類を見ます。
  • 一貫性: 製品ライン間の関連性です。用途、販路、技術、生産方法、顧客層が近いかを見ます。

製品ラインは、相互に関連する製品群です。製品アイテムは、ライン内の個別製品です。試験では、幅と深さ、ラインとアイテムを入れ替える選択肢に注意します。

製品ラインの広げ方

製品ラインは、上方拡張、下方拡張、双方向拡張で広げられます。高価格帯へ広げるとブランドの上位化を狙えますが、既存顧客との距離が開くことがあります。低価格帯へ広げると顧客層は広がりますが、既存ブランドの印象を弱めることがあります。

ライン拡張は便利な手段ですが、在庫、販売管理、販促、チャネル管理を複雑にします。増やせば必ずよいと考えないことが大切です。

この章のまとめ

製品の概念では、まず製品を価値の束として読むことが出発点です。物理的な商品だけでなく、サービス、ブランド、保証、経験を含めて考えます。

製品分類では、消費財か生産財かを、誰が何のために買うかで判断します。消費財の中では、最寄品、買回品、専門品、非探索品を購買行動で区別します。

プロダクト・ミックスでは、次の対応を最後に確認します。

  • ライン数なら、幅です。
  • アイテム総数なら、長さです。
  • ライン内のバリエーションなら、深さです。
  • ライン間の関連性なら、一貫性です。

ひっかけは、「製品を物そのものに限定する」「専門品を専門家向け製品と読む」「プロダクト・ミックスの幅と深さを入れ替える」という形で出やすいです。

一次試験過去問での出方

2023年度第1回 第28問では、顧客価値の種類が問われました。文脈価値は利用状況、経験価値は体験、感覚的価値は印象や情緒に関わる価値として読み分けます。

2023年度第2回 第32問では、製品概念やプロダクト・ミックスに関わる判断が問われました。製品ライン、製品アイテム、幅、長さ、深さ、一貫性の対応づけが重要です。

2020年度 第32問設問2では、製品や価値を顧客視点で捉える問題が出ています。Product の論点は、価格、流通、プロモーションと組み合わされて問われることがあります。