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NARITAI

企業経営理論

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戦略論の周辺事項を短く扱う。

この章で覚えておきたいこと

このトピックは、戦略論の周辺事項を大量に暗記する場所ではありません。経営計画と経営管理で学んだ分析フレームワークを、まとめて見分けるための補助トピックです。

  • PESTは、政治、経済、社会、技術というマクロ外部環境を見ます。
  • VRIOは、自社の経営資源が競争優位につながるかを見ます。
  • 3Cは、顧客、競合、自社をそろえて市場や事業の状況を見ます。
  • バリューチェーンは、価値を生む活動の連鎖を主活動と支援活動に分けて見ます。
  • 5フォースは、業界の収益性や競争圧力を見ます。
  • 迷ったときは、フレームワーク名ではなく、何を分析する道具かを先に確認します。

出題頻度は高くありませんが、基本フレームワークの役割を取り違えると、知っている用語でも失点します。特に「外部環境か内部資源か」「顧客・競合・自社か」「業界構造か価値活動か」を分けることが重要です。

基本知識

分析フレームワークは対象で見分ける

戦略論のフレームワークは、名前を覚えるだけでは不十分です。試験では、選択肢の説明文にわざと別のフレームワークの要素を混ぜてきます。

まず、分析対象を次のように分けます。

  • マクロ外部環境を見るなら、PESTです。
  • 業界構造や競争圧力を見るなら、5フォースです。
  • 顧客、競合、自社をそろえて見るなら、3Cです。
  • 自社の経営資源を見るなら、VRIOです。
  • 価値を生む活動の流れを見るなら、バリューチェーンです。

同じ外部環境でも、PESTと5フォースは対象が違います。PESTは政治、経済、社会、技術という大きな環境変化を見ます。5フォースは、既存企業間の競争、新規参入、代替品、買い手、売り手という業界内外の圧力を見ます。

PESTはマクロ外部環境を整理する

PESTは、企業を取り巻く外部環境を、政治、経済、社会、技術の4つの観点で整理する枠組みです。

  • Political: 法規制、政策、税制、行政の動きなど。
  • Economic: 景気、金利、為替、所得、物価など。
  • Social: 人口動態、価値観、ライフスタイル、社会意識など。
  • Technological: 技術革新、デジタル化、生産技術、研究開発など。

PESTは、自社の強みや弱みを直接評価する枠組みではありません。内部資源の分析と混同しないことが重要です。

VRIOは内部資源を競争優位で判定する

VRIOは、自社の経営資源や能力が競争優位につながるかを判定する枠組みです。

  • Value: 経済的価値があるか。
  • Rarity: 希少性があるか。
  • Imitability: 模倣困難性があるか。
  • Organization: 活用できる組織体制があるか。

2022年第3問では、「4条件のうち1つでも満たせば持続的競争優位に資する」とする選択肢が誤りでした。VRIOでは、価値だけ、希少性だけで判断しません。持続的競争優位には、価値、希少性、模倣困難性に加え、それを活用する組織が必要です。

3Cは顧客・競合・自社をそろえて見る

3Cは、Customer、Competitor、Companyの3つから市場や事業の状況を整理する枠組みです。

  • Customer: 顧客、市場、ニーズ、購買行動を見ます。
  • Competitor: 競合の戦略、強み、弱み、動きを見ます。
  • Company: 自社の資源、能力、強み、弱みを見ます。

ひっかけになりやすいのは、3CのCをCapitalとする説明です。3Cに資本を入れる整理は、診断士試験の基本理解としては誤りです。

バリューチェーンは主活動と支援活動を分ける

バリューチェーンは、企業がどの活動で価値を生んでいるかを、活動の連鎖として見る枠組みです。単に組織図を見るのではなく、価値がどこで加わるかを確認します。

主活動には、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスなどが入ります。支援活動には、全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達活動などが入ります。

2022年第3問では、販売・マーケティングを支援活動とする選択肢が誤りでした。販売・マーケティングは、顧客へ価値を届ける主活動として押さえます。

5フォースは業界の競争圧力を見る

5フォースは、業界の収益性に影響する競争圧力を整理する枠組みです。

  • 既存企業間の競争
  • 新規参入の脅威
  • 代替品の脅威
  • 買い手の交渉力
  • 売り手の交渉力

5フォースは、業界の成長性そのものを決定する枠組みではありません。成長市場でも競争圧力が強ければ収益性は低くなりえます。逆に、成長性が低くても参入障壁や買い手・売り手との力関係によって収益性が保たれる場合があります。

この章のまとめ

このトピックでは、各フレームワークの細部を増やすより、分析対象の取り違えを防ぐことを優先します。

解くときの確認順

  1. 選択肢が「外部環境」「内部資源」「顧客・競合・自社」「価値活動」「業界構造」のどれを説明しているかを確認します。
  2. 政治・経済・社会・技術ならPESTです。
  3. 価値、希少性、模倣困難性、組織ならVRIOです。
  4. 顧客、競合、自社なら3Cです。
  5. 主活動と支援活動ならバリューチェーンです。
  6. 新規参入、代替品、買い手、売り手、既存競争なら5フォースです。

ひっかけを避ける

  • VRIOは、1条件だけで持続的競争優位と判断しません。
  • 3Cは、顧客、競合、自社であり、資本ではありません。
  • バリューチェーンでは、販売・マーケティングは主活動です。
  • 5フォースは、成長性ではなく、業界の収益性や競争圧力を見る枠組みです。
  • PESTは、内部資源ではなく、マクロ外部環境を整理します。

最後に、選択肢の中に「それらしい用語」が出ても、すぐに正しいと判断しないことが大切です。用語と説明の組み合わせがずれていないかを確認します。

一次試験過去問での出方

  • 2022年 第3問: PEST、VRIO、3C、バリューチェーン、5フォースの役割を横断的に区別する問題でした。正解は、PESTを政治、経済、社会、技術の観点から外部環境を分析する枠組みとする記述です。
  • 同問では、VRIOを1条件だけで持続的競争優位とする誤り、3Cに資本を入れる誤り、販売・マーケティングを支援活動とする誤り、5フォースを成長性の決定要因とする誤りが出ました。