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NARITAI

企業経営理論

補助

その他経営戦略論に関する事項

経営戦略論の周辺事項を過去問で出た範囲に絞る。

この章で覚えておきたいこと

この章は、経営戦略論の中で他章に分類しにくい周辺論点を、過去問で問われた範囲に絞って確認する項目です。出題数は多くないため、細かい理論を広げるより、選択肢の正誤を切るための対応関係を短く押さえます。

  • 品質経営では、TQC/TQM、シックス・シグマ、マルコム・ボルドリッジ賞の目的を区別します。
  • 失われた10年は、国内不況だけでなく、グローバル化による競争優位の縮小として読めることがあります。
  • 自動車史では、カール・ベンツは発明、ヘンリー・フォードは移動組立ラインによる大量生産と対応させます。

基本知識

品質経営に関する用語

TQCはTotal Quality Control、TQMはTotal Quality Managementの考え方です。品質を製造現場だけの問題にせず、全社的な管理・改善活動として扱う点が重要です。

シックス・シグマは、統計的な考え方を用いて工程のばらつきを小さくし、欠陥や不良を減らす改善手法です。試験では、「不良品の発生頻度を96%以内に抑える」のように、目的や数値の意味を取り違えた選択肢が出ます。名称だけで判断せず、工程改善と欠陥低減の手法かどうかを確認します。

マルコム・ボルドリッジ賞は、米国の品質経営や経営体質の改善を促す国家品質賞として押さえます。研究開発力だけを高める制度、あるいは経営体質の改善や国際競争力向上に機能しなかった制度、と説明されていれば誤りです。

なお、クロス・ファンクショナル・チームは部門横断で課題解決を進める組織です。目標管理制度とQC活動の短期志向を取り除くための制度、と限定する説明は不自然です。

失われた10年と競争優位の変化

1990年代の失われた10年は、企業経営理論では、国内景気の停滞だけでなく競争環境の変化として問われることがあります。グローバル化により熟練技能者や生産技術が韓国・中国などの企業にも広がると、日本企業が持っていた技術面の優位は模倣されやすくなります。

この論点では、原因と結果のつながりを見ます。熟練技能や生産技術の移転によって国際格差が縮まり、日本企業の競争優位が弱まった、という説明は筋が通ります。一方で、選択と集中をしたから多くの企業が市場適応能力を失った、海外生産がGDPの50%に達した、低金利で中小企業の廃業が減った、といった極端な説明は疑います。

自動車史の人物対応

自動車産業史では、発明と量産方式の担い手を分けて覚えます。カール・ベンツは、ガソリンエンジンを搭載して自力で走行する自動車の発明者です。ヘンリー・フォードは、移動組立ラインによる大量生産を実現した人物です。

空欄補充では、空欄の前後にある言葉を先に読みます。「ガソリンエンジンを搭載して自力で走行する自動車」ならベンツ、「移動組立ライン」「大量生産」ならフォードです。アルフレッド・スローンなど他の人物名に引っ張られず、技術と人物を対応させます。

この章のまとめ

この章は低頻度論点です。細かい周辺知識を広げすぎず、過去問で実際に問われた判断軸を優先します。

  1. 品質経営では、TQC/TQMは全社的品質管理、シックス・シグマは工程のばらつき低減、マルコム・ボルドリッジ賞は品質経営の促進と整理します。
  2. 失われた10年は、グローバル化により熟練技能や生産技術の差が縮まり、日本企業の競争優位が弱まったという文脈で読めます。
  3. 自動車史では、ベンツは発明、フォードは移動組立ラインによる大量生産です。

選択肢を読むときは、説明が極端でないか、用語の目的を取り違えていないかを確認します。特に、品質管理用語を研究開発制度にすり替える説明や、失われた10年を一面的な原因だけで説明する選択肢に注意します。

一次試験過去問での出方

2007年 第1問では、目標管理や経営計画に関する選択肢の中で、TQC/TQM、シックス・シグマ、マルコム・ボルドリッジ賞、クロス・ファンクショナル・チームの説明が問われました。

2008年 第9問では、失われた10年について、熟練技能労働者や生産技術の海外移転により、日本企業の競争優位が縮小したという説明を選ぶ問題が出ました。

2009年 第8問 設問1では、ガソリンエンジン自動車の発明者をカール・ベンツ、移動組立ラインによる大量生産の担い手をヘンリー・フォードと対応させる問題が出ました。