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運営管理(オペレーション・マネジメント)

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物流情報システム

バーコード、電子タグ、GTIN-14、トレーサビリティを扱う。

この章で覚えておきたいこと

  • JAN は主に店頭販売単位の商品識別、ITF はケースなどの物流単位の識別に使います。
  • GS1-128GS1 QRコード は、商品識別コードだけでなく、日付、ロット番号、数量などの属性情報も表せます。
  • AI(01) は GTIN、AI(10) はロット番号、AI(11) は製造日です。AI(11) の日付は YYMMDD で表し、和暦は使いません。
  • GTIN-14 の先頭の インジケータ は荷姿や包装形態の違いを表します。入力ミス防止は末尾の チェックデジット の役割です。
  • RFID は非接触で読み取れ、複数タグの一括読取にも向きますが、一般にバーコードより導入コストが高くなりやすいです。
  • EPC は電子タグに書き込む識別コード群の総称、SGTIN は GTIN にシリアル番号を付けて商品個体を識別するコードです。
  • トレーサビリティ は単なる表示ではなく、原材料から販売までの履歴を追跡、遡及できる仕組みです。

基本知識

バーコードと物流情報システムの全体像

物流情報システムでは、商品や荷物を機械で正しく識別し、その結果を在庫管理、検品、入出庫管理、履歴追跡に結びつけます。試験では、コードの名称だけではなく、何を識別する仕組みかどの場面で使うか を切り分ける力が問われます。

まずは次の対応を整理します。

  • JAN: 店頭販売単位の商品識別に使います。POS で読み取る代表的なコードです。
  • ITF: 段ボールケースなど、物流で扱う集合包装単位の識別に使います。
  • GS1-128: GTIN に加えて、ロット番号、製造日、期限、数量、発注番号なども表せます。
  • GS1 QRコード: GS1 標準の情報を2次元シンボルで表します。商品別の情報提供や Web 連携にも向きます。

ここでのひっかけは、商品コードそのものと、その周辺情報の違いです。JAN は商品識別が中心ですが、GS1-128 や GS1 QRコードは、商品識別に属性情報を追加して表せる点が重要です。

GS1アプリケーション識別子の読み方

GS1アプリケーション識別子は、後ろに続くデータの意味を示す番号です。近年はこの論点が頻出で、2022年、2024年にも出題されています。

必ず押さえるべきものは次の3つです。

  • AI(01): GTIN を表します。AI で表すときは 14桁 で扱います。
  • AI(10): ロット番号を表します。英数字のロット番号も扱えます。
  • AI(11): 製造日を表します。日付は YYMMDD です。

試験では、表記ルールをそのまま問う問題が出ます。たとえば GTIN-13 を AI(01) で表す場合は、先頭に 0 を付けて 14 桁にします。また、2024年5月10日の製造日を AI(11) で表すなら 240510 であり、和暦表記にはなりません。

さらに、AI は固定長のデータしか扱えないわけではありません。2022年の出題では、可変長の項目もある こと、GS1 QRコードでも AI を利用できる こと、国際標準として国内外で利用できる ことが問われました。したがって、AI は GS1 データマトリックス専用でも、国内専用でもありません。

GTIN-14とインジケータ

GTIN は商品識別コードの総称で、物流情報システムでは GTIN-14 が重要です。GTIN-14 は、物流センターでの入出庫管理や在庫管理、集合包装の管理と結びつけて出題されます。

2025年の出題では、GTIN-14 の先頭にある インジケータ が何を表すかが問われました。ここで大切なのは、インジケータとチェックデジットを混同しないことです。

  • インジケータ: 同一商品の中で、包装形態や荷姿、販売促進用包装などの違いを表します。
  • チェックデジット: 入力ミスや読み誤りを検出するための数字です。

したがって、価格、原産国、製造日、入力ミス防止などをインジケータの役割として示す選択肢は切ります。荷姿の違いか、誤読防止かを分けて考えるのが基本です。

また、2021年には、単品の JAN を変えずに集合包装用商品コードだけを変更すべきケースも問われました。判断軸は、単品そのものが変わったのか、それとも集合包装のまとまり方だけが変わったのか です。ケース入数だけが変わるなら、物流単位で使う GTIN-14 側の見直しが中心になります。

RFIDと電子タグ

RFID は、電波を使ってタグ情報を読み取る仕組みです。電子タグ、ICタグ、RFタグ、無線タグという言い方で出ることもあります。

RFID の強みは次のとおりです。

  • 非接触 で読み取れます。
  • 複数タグを 一括読取 しやすいです。
  • 検品、入出庫、棚卸、在庫可視化を効率化できます。
  • 識別情報を履歴管理に結びつけることで、トレーサビリティ強化に使えます。

一方で、弱みや注意点もよく問われます。

  • 一般にバーコードより 導入コストが安いとはいえません
  • 金属や水分の影響を受けやすく、読取条件に制約があります。
  • タグを付けただけで、物流トラブルの原因が自動的に分かるわけではありません。

2012年は、RFID によって検品時間短縮やトレーサビリティ強化は期待できるが、バーコードより安価になるとはいえない点が問われました。2016年は、金属で被覆しても通常読み取れるとする選択肢が誤りでした。利点だけでなく、読取環境の制約までセットで覚える必要があります。

EPC、GTIN、SGTINの関係

電子タグによる個体管理では、EPC、GTIN、SGTIN の関係が重要です。2021年には、この対応そのものが空欄補充で問われました。

  • EPC: 電子タグに書き込む識別コード群の総称です。
  • GTIN: 商品種別を識別する標準コードです。
  • SGTIN: GTIN にシリアル番号を付けて、同じ商品でも1個ずつ識別できるようにしたコードです。

この関係を言い換えると、GTIN は「同じ種類の商品」を識別し、SGTIN は「その商品の1つ1つ」を識別します。個体管理、修理履歴管理、回収対象の特定など、個品単位で追う場面では SGTIN の考え方が重要です。

なお、SSCC は物流単位の識別コードであり、商品個体識別用の SGTIN とは役割が違います。試験では、商品個体、物流単位、資産識別のコードを混同させる選択肢が出やすいので注意します。

トレーサビリティの本質

トレーサビリティは、原材料、製造、加工、物流、販売の履歴を追跡、遡及できる仕組みです。食品分野でよく問われますが、小売業だけの仕組みではなく、サプライチェーン全体で成り立ちます。

ここで誤りやすいのは、トレーサビリティを単なる表示制度と考えることです。

  • 原産地表示や製造工場名の表示だけでは、トレーサビリティそのものとはいえません。
  • カーボンフットプリントは別概念です。
  • 食品安全を自動的に保証する仕組みでもありません。

本質は、どこから来て、どこへ渡ったかを追えること にあります。そのためには、識別単位を決めて記録を残す必要があります。代表的な管理方法は次の2つです。

  • ロット管理: 同一条件で製造されたまとまり単位で追います。
  • シリアル管理: 個体ごとに追います。

2012年は、ロットナンバー管理とシリアルナンバー管理がトレーサビリティ構築の代表的手法として問われました。2014年と2015年は、入出荷記録に加えてロット情報の対応付けを明らかにすることが重要だと問われています。

企業間連携と物流EDI

物流情報システムでは、識別コードだけでなく、企業間で情報をどう受け渡すかも出題されます。2012年には、VMI、CRP、ASN、JTRN の使い分けが出ました。

  • ASN: 納品前に、納品予定数量などを事前に通知する情報です。
  • JTRN: 国内統一物流 EDI 標準の1つです。
  • VMI: 納入業者側が在庫管理の主体となる考え方です。
  • CRP: 需要情報に基づいて継続補充する考え方です。

また、複数企業が IC タグを利用する場合は、独自の複雑なコード体系ではなく、標準化されたコード体系 が重要です。2008年や2014年では、相互運用性の観点から、他社が読んでも意味を判別できることが問われました。物流情報システムは、自社内で閉じるよりも、サプライチェーン全体でつながる前提で理解する必要があります。

この章のまとめ

  • 物流情報システムでは、何を識別するか でコードを切り分けます。店頭商品なら JAN、物流単位なら ITF や GTIN-14、属性情報まで含めるなら GS1-128 や GS1 QRコードを考えます。
  • GS1アプリケーション識別子では、AI(01)=GTINAI(10)=ロット番号AI(11)=製造日 を最優先で覚えます。AI(11) は YYMMDD、AI(01) の GTIN は 14桁 です。
  • GTIN-14 では、インジケータは荷姿の違いチェックデジットは誤読防止 と切り分けます。
  • RFID は 非接触一括読取在庫可視化 が強みですが、バーコードより安価とは限らず、金属などの影響も受けます。
  • 電子タグの個体管理では、EPC が識別体系GTIN が商品種別SGTIN が商品個体 という関係で整理します。
  • トレーサビリティは表示ではなく、履歴を追跡、遡及できる仕組み です。ロット管理とシリアル管理の違いまで説明できるようにします。
  • 企業間活用では、独自方式より 標準化 が重要です。ASN、JTRN、VMI、CRP は、誰が在庫を管理し、いつ何を通知するかで切り分けます。

一次試験過去問での出方

2008年は RFID の SCM 活用とコード体系の標準化、2012年は RFID の効果とトレーサビリティ、物流 EDI 用語、2016年は電子タグの読取制約、2020年は GS1 QRコード、2021年は EPC・GTIN・SGTIN と GTIN-14 の変更基準、2022年と2024年は GS1 アプリケーション識別子、2025年は GTIN-14 のインジケータが問われました。近年は AI 識別子GTIN-14 の細かい使い分けが特に重要です。