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NARITAI

運営管理(オペレーション・マネジメント)

最優先

設備管理

TPM、保全、故障、設備総合効率、可用率、設備更新を厚く扱う。

この章で覚えておきたいこと

設備管理は、現場を整える話と、設備を止めない話と、更新をどう判断するかの話がつながっています。一次試験では、用語の定義だけでなく、指標、保全方式、TPMの役割分担を一気に問う問題が多いです。最初に次の点を押さえると、正誤問題と計算問題の両方に対応しやすくなります。

  • 5S は、整理、整頓、清掃、清潔、しつけを具体行動で区別します。
  • TPM は、保全部門だけでなく、開発、営業、管理を含む全部門参加で 故障ゼロ不良ゼロ災害ゼロ を目指します。
  • 保全活動は、予防保全と事後保全からなる維持活動、改良保全と保全予防からなる改善活動で整理します。
  • TBM は時間基準保全、CBM は状態監視保全です。定期保全と予知保全を混同しないことが重要です。
  • 設備総合効率は 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率 で求めます。故障強度率や付加価値率は構成要素ではありません。
  • MTBF は平均故障間隔、MTTR は平均修復時間、可用率は MTBF ÷ (MTBF + MTTR) です。
  • バスタブ曲線では、初期故障期、偶発故障期、摩耗故障期で有効な保全が変わります。
  • 設備更新は、取得費だけでなく、運用、保全、更新、廃棄まで含めた LCC で考えます。

試験では、似た言葉を入れ替えた選択肢が多く出ます。特に、整理と整頓、清掃と清潔、TBMとCBM、MTBFとMTTR、時間稼働率と性能稼働率の取り違えに注意します。

基本知識

5Sは設備管理の入口

5Sは、設備を安定して使うための土台です。TPMの自主保全でも、最初に現場を整える発想が重視されます。

  • 整理 は、必要なものと不要なものを分け、不要物をなくすことです。
  • 整頓 は、必要なものを、必要なときにすぐ使えるように置くことです。
  • 清掃 は、汚れや異物を除去する行為です。
  • 清潔 は、整理、整頓、清掃が保たれた状態を維持することです。
  • しつけ は、決めたルールを守る習慣を定着させることです。

5Sは順番も重要です。一般には、整理から始め、整頓、清掃、清潔、しつけへ進みます。不要物が残ったまま整頓しても、使いやすい職場にはなりません。

TPMの狙いは設備ロスの最小化

TPM は Total Productive Maintenance の略で、設備の一生を通じてロスを小さくし、経営に貢献する考え方です。単なる修理活動ではなく、設備を止めない、品質を安定させる、安全に使うという総合的な活動です。

TPMで押さえるポイントは次のとおりです。

  • 対象は設備の運用だけでなく、計画、設計、製作、運用、保全、更新、廃棄までの流れです。
  • 活動主体は保全部門だけではありません。生産部門をはじめ、開発、営業、管理などの全部門が参加します。
  • 進め方は、トップから現場までの 全員参加重複小集団活動 が基本です。
  • 目標は、故障ゼロ不良ゼロ災害ゼロ です。

「保全部門を強化して生産部門から切り離す」という説明は、TPMらしくありません。TPMは、現場任せでも保全部門任せでもなく、全部門で設備効率を高める考え方です。

TPMで問われやすい保全体系

TPMでは、自主保全、集中保全、計画保全、保全予防、予備品管理などの役割分担がよく問われます。

自主保全 は、設備を使う現場が、清掃、給油、増し締め、日常点検などを担う活動です。自主保全の7ステップは次の順で整理します。

  1. 初期清掃
  2. 発生源・困難箇所対策
  3. 自主保全仮基準の作成
  4. 総点検
  5. 自主点検
  6. 標準化
  7. 自主管理の徹底

2025年の過去問では、自主保全の最初の3ステップと総点検の位置がそのまま問われました。最初は 初期清掃 であることを外さないようにします。

集中保全 は、保全部門が中心となって、専門的、計画的に保全を進める考え方です。運転部門が中心という説明は誤りです。

保全予防 は、過去の保全実績を設備の計画や設計に反映し、将来の故障やトラブルを起こしにくくする活動です。修理そのものではなく、設計段階から保全しやすい設備にする発想です。

予備品管理 は、必要な部品を計画的かつ経済的に調達、保管、出庫することです。予備品管理は復旧を早めるので MTTRの短縮 に効きますが、MTBFを短くする ことを目指すわけではありません。MTBFは長くするのが望ましい指標です。

保全方式は故障前か後か、時間基準か状態基準かで切る

保全方式は、似た用語を定義で区別できるかが重要です。

  • 事後保全 は、故障した後に修理する方法です。代替機があり、止まっても影響が小さい設備では合理的なことがあります。
  • 予防保全 は、故障する前に手を打って故障を防ぐ方法です。
  • 定期保全 は、時間や使用量を基準に、一定周期で行う予防保全です。
  • 予知保全 は、振動、温度、摩耗などの状態を監視し、最適な時期に行う予防保全です。
  • 改良保全 は、故障原因を取り除くように設備や方法を改善する活動です。
  • 日常保全 は、掃除、給油、増し締めなど、現場が日常的に行う保全です。

略語で見ると、TBM は時間基準保全、CBM は状態基準保全です。2023年第2回では、「劣化傾向を設備診断技術で管理し、最適な時期に対策する」という説明を定期保全としている選択肢が誤りでした。これは 予知保全 または CBM の説明です。

2022年、2020年の過去問では、TBMとCBMの違いが費用面や運用面からも問われています。CBMは、突発故障を減らしつつ、やり過ぎの整備も抑えやすいのが特徴です。

故障の見方とバスタブ曲線

設備故障は、単に「止まること」だけではありません。要求機能が失われる場合もあれば、性能や品質が所定水準を満たせなくなる場合もあります。一次試験では、この定義をあいまいにした選択肢が出ます。

故障率の推移は バスタブ曲線 で整理します。

  • 初期故障期 は、設計、製作、据付、調整の不備が表面化しやすい時期です。
  • 偶発故障期 は、故障率がおおむね一定で、ランダムな故障が起こる時期です。
  • 摩耗故障期 は、劣化が進み、故障率が上昇する時期です。

対応する保全の考え方は次のように整理します。

  • 初期故障期では、改良保全保全予防 が有効です。
  • 偶発故障期では、状態監視や原因除去を重視します。時間だけを基準にした機械的な定期保全は適合しにくいことがあります。
  • 摩耗故障期では、予知保全 や計画的な部品交換が有効です。

2011年と2019年の過去問では、偶発故障期に定期保全や寿命前交換を当てはめる選択肢が誤りとして問われました。バスタブ曲線は、保全方式を当てる位置関係まで覚えることが重要です。

設備総合効率は3要素で見る

設備総合効率は、設備がどれだけ有効に使われたかを、停止、速度、品質の3面から把握する指標です。

設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率

それぞれの意味は次のとおりです。

  • 時間稼働率 は、負荷時間のうち、実際に設備が動いていた割合です。故障、段取、調整、立上げなどの停止ロスがここに効きます。
  • 性能稼働率 は、設備が理論速度どおりに生産できたかを見る割合です。空転、チョコ停、速度低下がここに効きます。
  • 良品率 は、生産した数量のうち、良品が占める割合です。不良や手直しがここに効きます。

よく出るひっかけは次のとおりです。

  • 故障強度率 は、設備総合効率の構成要素ではありません。
  • 付加価値率 も、設備総合効率の構成要素ではありません。
  • 段取時間の短縮は 時間稼働率 の改善です。
  • チョコ停の削減は 性能稼働率 の改善です。
  • 不適合率の改善は 良品率 の改善です。

2022年の過去問では、改善施策ごとに、どの要素だけが変わるかを切り分けて設備総合効率を比較させました。まず「停止の問題か、速度の問題か、品質の問題か」を見分けるのがコツです。

設備の7大ロスはOEEの背景にある

TPMでは、設備効率を阻害するロスを時間的な損失として捉えます。代表的なものとして、故障ロス、段取・調整ロス、空転・チョコ停ロス、速度低下ロス、不良・手直しロス、立上げロスなどがあります。

この章で特に押さえたいのは次の対応です。

  • 段取・調整ロス は、停止ロスなので時間稼働率に響きます。
  • 刃具交換ロス は、設備の7大ロスに含まれると問われました。
  • 空転・チョコ停ロス は、性能稼働率に響きます。
  • 速度低下ロス も、性能稼働率に響きます。
  • 不良・手直しロス は、良品率に響きます。

2024年の過去問では、設備の7大ロスとOEE、可用率、保全活動をまとめて問っています。ロスの名前を暗記するだけでなく、OEEのどこに入るかまで結びつけておきます。

MTBF、MTTR、可用率は時間軸で計算する

MTBF は平均故障間隔で、修理可能な設備について、故障から次の故障までの平均稼働時間を表します。長いほど望ましい指標です。

MTTR は平均修復時間で、故障してから修理が終わるまでの平均時間を表します。短いほど望ましい指標です。

可用率は、設備が使える状態にある割合で、次の式で求めます。

可用率 = MTBF ÷ (MTBF + MTTR)

計算問題では、次の手順で処理すると安定します。

  1. 総稼働時間を集計する。
  2. 総修復時間を集計する。
  3. 故障回数を数える。
  4. MTBF = 総稼働時間 ÷ 故障回数 を求める。
  5. MTTR = 総修復時間 ÷ 故障回数 を求める。
  6. 最後に可用率を出す。

故障分布表が出た場合は、平均故障間隔を 期待値 で求めます。2008年の過去問では、「月数 × 確率」の総和で平均故障間隔を求めました。2012年の過去問では、時間軸図から MTBF、MTTR、可用率を直接計算させています。

設備更新はライフサイクル全体で考える

設備管理では、修理して使い続けるか、更新するかの判断も重要です。ここで大切なのは、購入費だけで判断しないことです。

設備更新では、次の観点をまとめて見ます。

  • 設備の 計画、設計、製作、運用、保全、更新、廃棄 までを一連のライフサイクルとして捉えること
  • 取得費、保全費、停止損失、予備品費、廃棄費などを含めた LCC で考えること
  • 故障が増えて保全費や停止損失が大きくなっていないかを見ること
  • 更新によって、故障しにくさ、保全しやすさ、安全性、品質安定性が改善するかを見ること

2014年の過去問では、設備ライフサイクルは保全までではなく、更新や廃棄まで含めると問われました。設備更新は、この後の経済性分析ともつながりますが、まずこの章では「設備の一生を通じて見る」という考え方を押さえれば十分です。

この章のまとめ

設備管理は、現場整備、保全方式、OEE、信頼性指標、設備更新を一本でつなげて整理すると解きやすくなります。最後に、選択肢を切るための判断軸を確認します。

  • 5S は、整理が要不要の区分、整頓が配置、清掃が汚れ除去、清潔が状態維持、しつけが習慣化です。
  • TPM は全部門参加です。保全部門だけの活動でも、任意のサークル活動でもありません。
  • 自主保全 は現場が担い、最初は 初期清掃 から始まります。
  • 集中保全 は保全部門が中心です。運転部門中心と書かれていたら疑います。
  • TBM は時間基準、CBM は状態基準です。劣化傾向を見て最適時期に保全するのは 予知保全 です。
  • バスタブ曲線では、初期故障期は改良保全や保全予防、偶発故障期は状態監視、摩耗故障期は予知保全や計画的交換が基本です。
  • 設備総合効率時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率 です。故障強度率、付加価値率、可用率を混ぜないようにします。
  • 段取短縮は時間稼働率、チョコ停削減は性能稼働率、不良削減は良品率に効きます。
  • MTBF は長く、MTTR は短くするのが望ましく、可用率は MTBF ÷ (MTBF + MTTR) です。
  • 設備更新は、取得費だけでなく LCC と設備ライフサイクル全体で判断します。

一次試験過去問での出方

  • 2007年 第7問、2013年 第18問、2019年 第17問: 5Sの定義と順序。整理と整頓、清掃と清潔、しつけの意味が繰り返し問われています。
  • 2007年 第8問、2014年 第19問、2020年 第20問、2022年 第18問、2024年 第8問: 設備総合効率の3要素、必要データ、改善施策ごとの効き方、7大ロスとの対応が問われました。
  • 2008年 第8問、2012年 第17問: 平均故障間隔、平均修復時間、可用率の計算。分布表では期待値、時間軸図では総稼働時間と総修復時間の集計がポイントです。
  • 2011年 第18問、2019年 第18問: バスタブ曲線と保全方式の対応。偶発故障期にTBMを当てる誤り、摩耗故障期に予知保全が合うことが問われました。
  • 2020年 第19問、2022年 第17問、2023年第2回 第14問: 事後保全、予防保全、定期保全、状態監視保全、改良保全、保全予防の定義の切り分けが問われました。
  • 2013年 第19問、2022年 第19問、2025年 第11問: TPMの自主保全7ステップ、全員参加、重複小集団活動、保全予防、予備品管理、MTBFとMTTRの望ましい方向が問われました。
  • 2014年 第4問: 設備ライフサイクルは更新や廃棄まで含めて考える、という設備更新の前提が問われました。