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NARITAI

運営管理(オペレーション・マネジメント)

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工場計画

SLP、DI分析、From-Toチャート、レイアウト、設備配置を扱う。

この章で覚えておきたいこと

  • 工場計画は、敷地建物設備物流レイアウトを別々に考えるのではなく、相互に関連づけて設計します。
  • SLPは、P-Q分析物の流れの分析アクティビティ相互関係分析必要面積の検討を順に積み上げて、配置案を作る考え方です。
  • レイアウト類型は、多品種少量なら工程別少品種多量なら製品別大型で動かせない製品なら製品固定型をまず押さえます。グループ別はその中間領域です。
  • From-Toチャートは、どこからどこへ何回運んだかを整理する表です。運搬回数が多い組み合わせを近づけるのが基本です。
  • DI分析は、距離 Distance頻度 Intensity を同時に見ます。右上にある運搬ほど改善優先度が高くなります。
  • ΣDI値 は、各運搬の 距離 × 回数 を合計した値です。値が小さいほど、全体の運搬負荷が軽いと判断します。
  • 直線レイアウトでは、逆行運搬 を見落としやすいです。流れに逆らう運搬だけを数えることが重要です。
  • 試験では、工場計画の守備範囲、レイアウト類型の対応、From-Toチャートの読み取り、DI分析の改善判断、設備入替え後のΣDI比較が繰り返し問われます。

基本知識

工場計画の守備範囲

工場計画では、工場全体をどのような構造で運営するかを決めます。論点を切るときは、「何を流す計画か」「何を置く計画か」「何を選ぶ計画か」「何を建てる計画か」で整理すると迷いにくくなります。

  • 工場内物流計画 は、人、製品、部品、資材、廃棄物の動線を扱います。
  • 施設レイアウト計画 は、部門、設備、作業場所、通路、スペースの配置関係を扱います。
  • 設備計画 は、生産設備や搬送設備の種類、能力、台数、機種選定を扱います。
  • 建物計画 は、建屋の規模、形状、構造を扱います。
  • 電気、水、空気、ガス、排水などの供給と処理は、レイアウトそのものではなく、ユーティリティ計画として切り分けて考えます。

2012年度第3問では、この守備範囲の切り分けがそのまま問われました。動線は物流、配置はレイアウト、能力は設備、建屋は建物と素直に対応づければ解けます。

SLPの全体像

SLPは Systematic Layout Planning の略で、工場レイアウトを感覚ではなく、順序立てて設計する方法です。試験では「SLPに含まれる分析かどうか」を問われることが多いため、流れをまとめて覚えます。

SLPでは、次の順で情報を整理します。

  1. P-Q分析 で、どの製品がどれだけ作られているかを把握する。
  2. 物の流れの分析 で、どこからどこへ何がどれだけ動くかを把握する。
  3. アクティビティ相互関係分析 で、近づけたい部門や工程の関係を整理する。
  4. 必要面積の検討 で、設備、保管、作業、通路に必要な面積を見積もる。
  5. これらを踏まえて、複数のレイアウト案を比較する。

ここで注意したいのは、基準日程の分析 や詳細な日程計画そのものは、SLPの中心論点ではないことです。2007年度第2問では、この区別がひっかけになっています。

P-Q分析と生産形態のつながり

P-Q分析は、製品の種類と量の構成を見る出発点です。単にグラフの名前を覚えるのではなく、その先で何を判断するかまで結びつけておきます。

  • 品種が少なく量が多い ときは、流れを固定しやすく、製品別レイアウトに寄りやすいです。
  • 品種が多く量が少ない ときは、設備共用の柔軟性が必要なので、工程別レイアウトに寄りやすいです。
  • 中間領域 では、グループ別レイアウトやセル化を検討しやすくなります。

2012年度第8問では、P-Qチャートが「量の多い順に品種構成を見る道具」であることが問われました。分析手法の名前を覚えるだけでなく、レイアウト方針を決める入口 と理解しておくことが大切です。

レイアウト類型の判断軸

レイアウト類型は、特徴を個別に暗記するより、品種数生産量流れの安定性設備共用の必要性 で比較すると整理しやすくなります。

  • 製品別レイアウト

    • 工程順に設備を並べます。
    • 少品種多量生産 に向きます。
    • 流れが単純で、運搬距離を短くしやすい です。
    • 作業の繰返し性が高く、自動化しやすい です。
    • 一方で、品種変更には弱くなります。
  • 工程別レイアウト

    • 同じ機能の設備をまとめます。
    • 多品種少量生産 に向きます。
    • 製品ごとに移動経路が異なるため、進捗管理が複雑 です。
    • 職場間運搬や仕掛の滞留が増えやすいです。
    • 多品種では設備共用しやすく、設備稼働率を確保しやすい という長所があります。
  • 製品固定型レイアウト

    • 製品を動かさず、人や設備が移動します。
    • 造船、建設、大型装置など、大型で動かせない製品 に向きます。
  • グループ別レイアウト

    • 類似部品をまとめたセルで処理します。
    • 工程別と製品別の中間的な性格を持ち、中品種中量 の領域で使いやすいです。

2011年度第2問、2024年度第11問、2012年度第9問では、この比較が繰り返し問われています。特に、工程別なのに進捗管理が容易製品別なのに運搬距離が長い という記述は典型的な誤りです。

機能別職場と製品別職場の見分け方

工程別レイアウトは、試験で 機能別職場 と表現されることがあります。言い換えに戸惑わないように、同じものとして整理しておきます。

  • 機能別職場は、旋盤群、フライス盤群のように機能ごとに設備をまとめた職場です。
  • 熟練工による技術指導や専門性の蓄積には向きます。
  • その代わり、製品ごとに通る順路が違うため、仕事量の偏りや運搬の煩雑さが生じやすいです。
  • 製品の流れを見やすく管理しやすいのは、機能別職場ではなく 製品別職場 です。

2011年度第2問は、この対比をそのまま問う問題でした。言葉を変えられても、多品種少量・専門性・運搬複雑 という工程別の特徴に戻せれば対応できます。

物の流れの分析手法

工場計画では、物の流れを複数の角度から見ます。試験では「どの手法が何を見ているか」の対応づけが頻出です。

  • P-Qチャート

    • 製品種類と生産量の構成を見ます。
    • レイアウト方針や生産方式の判断に使います。
  • 流れ線図

    • 図面上に人や物の動線を書き込みます。
    • 逆行、交差、隘路、無駄な往復、配置不良を視覚的に見つけるのに向きます。
  • From-Toチャート

    • 場所間の流動量を表にします。
    • レイアウト変更の定量比較に向きます。
  • 運搬活性示数

    • 対象物を運び出すまでに必要な手間の多さを見ます。
    • 単なる距離や回数ではなく、置き方や荷姿の悪さを発見する視点です。

2012年度第8問では、これらの役割の違いがそのまま問われました。流れ線図は見える化From-Toチャートは定量化 と覚えると使い分けやすくなります。

From-Toチャートの読み方

From-Toチャートは、出発地から到着地への運搬回数 を一覧化したものです。2023年度第2回第5問や2025年度第15問では、表を丁寧に読めるかどうかがそのまま得点差になります。

読むときの手順は次のとおりです。

  1. 行と列の意味を確認する。
    • 一般には、行が出発地列が到着地 です。
    • ただし、問題文の図表の定義を必ず確認します。
  2. 非ゼロの運搬だけを拾う。
  3. どの組み合わせの回数が多いかを見る。
  4. 双方向運搬があるかを見る。
  5. 各設備からの流出合計、各設備への流入合計を必要に応じて求める。

2023年度第2回第5問では、次の読み取りが問われました。

  • 最大運搬回数 はどの組み合わせか。
  • 双方向運搬 が何ヵ所あるか。
  • 特定設備への 流入合計 はいくつか。
  • 特定設備からの 流出合計 はいくつか。

このタイプの問題では、感覚で選ばず、該当セルを一つずつ数える のが最短です。

DI分析と改善優先順位

DI分析は、運搬を 距離 Distance頻度 Intensity の2軸で整理する方法です。散布図のどこに点があるかで、改善の優先順位を判断します。

  • 右上

    • 長距離かつ高頻度です。
    • 最優先で改善します。
    • レイアウト変更、工程統合、搬送回数削減をまず考えます。
  • 左上

    • 短距離だが高頻度です。
    • 近いので距離面の問題は小さい一方、回数の多さが負担になります。
    • まとめ運搬や回数削減の工夫が候補になります。
  • 右下

    • 長距離だが低頻度です。
    • 固定設備やコンベアのような大掛かりな直接運搬が過大になりやすいです。
    • 柔軟な搬送手段を検討します。
  • 左下

    • 短距離かつ低頻度です。
    • 改善優先度は低めです。

2024年度第12問では、右上のBを優先的に改善する こと、そして施策として 頻度を減らすか距離を短くする ことが問われました。DI分析は、単に点の位置を読むだけでなく、どんな改善が合うか までつなげて理解する必要があります。

ΣDI値と設備入替えの計算

ΣDI値は、全体の運搬負荷を数値で比較するための代表指標です。式は単純ですが、距離設定と逆行の考え方でミスが出やすいです。

ΣDI値 = Σ(距離 × 運搬回数)

2025年度第15問のような直線レイアウト問題では、次の手順で解きます。

  1. 各設備の位置を確定する。
  2. 各組み合わせの距離を求める。
  3. 非ゼロの運搬について、距離 × 回数 を計算する。
  4. それらを合計して ΣDI値 を出す。
  5. 入替え後は、変わった距離だけでなく、全ての非ゼロ運搬 を入替え後の位置で再計算する。

逆行運搬にも注意が必要です。

  • 逆行運搬 は、決められた流れに逆らう運搬だけを数えます。
  • 単に設備間を行き来しているから逆行なのではありません。
  • 2025年度第15問では、右から左への運搬である フライス盤→旋盤 だけが逆行で、回数は16回でした。

この論点では、暗算よりも 表を作って一つずつ足す 方が安全です。

この章のまとめ

  • 工場計画では、まず「物流」「配置」「設備」「建物」のどの計画かを切り分けます。
  • SLPでは、P-Q分析 → 物の流れ → 近接関係 → 面積 → 案比較 の順で考えます。
  • レイアウト類型は、次の対応を軸に判断します。
    • 工程別: 多品種少量、柔軟だが管理と運搬は複雑。
    • 製品別: 少品種多量、流れが単純で自動化しやすい。
    • 製品固定型: 大型個別生産。
    • グループ別: 中間領域。
  • From-Toチャートでは、多い流れを近づける双方向運搬を見直す流入・流出合計を丁寧に数える ことが基本です。
  • DI分析では、右上を最優先 にします。長距離低頻度なら、コンベアのような固定搬送より柔軟な搬送手段を考える方が自然です。
  • ΣDI値の計算では、距離設定非ゼロ運搬の拾い漏れ防止逆行運搬の定義 が得点ポイントです。
  • ひっかけとして特に多いのは、次の組み合わせです。
    • 工程別なのに進捗管理が容易。
    • 製品別なのに運搬距離が長い。
    • グループ別を基本3類型そのものとして扱う。
    • DI分析で距離だけ、または頻度だけで判断する。
    • 逆行運搬を「双方向運搬」と混同する。

一次試験過去問での出方

2009年度第7問では、工場計画を敷地、建屋、職場、設備が相互に関連する全体設計として捉えられるかが問われ、基本レイアウトを製品別、工程別、固定位置で整理できるかが論点になりました。

2011年度第2問では、機能別職場の特徴として、専門性は高めやすい一方で、職場間運搬や進捗管理が複雑になることが問われました。製品の流れを管理しやすいのは製品別職場です。

2012年度第3問では、工場内物流計画、施設レイアウト計画、設備計画、建物計画の守備範囲が出題されました。2012年度第8問では、P-Qチャート、流れ線図、From-Toチャート、運搬活性示数の使い分けが問われています。2012年度第9問では、レイアウト類型と品種・量の対応が定番どおりに出題されました。

2023年度第2回第5問では、From-Toチャートから最大運搬回数、双方向運搬、流入・流出の合計を正確に読めるかが問われました。表の読み取りを雑にすると失点しやすい問題です。

2024年度第11問では、工程別レイアウトと製品別レイアウトの特徴比較が出題され、2024年度第12問ではDI分析の散布図から優先改善対象と改善施策を判断する問題が出ました。

2025年度第15問では、直線レイアウトを前提に、From-ToチャートからΣDI値逆行運搬設備入替え後のΣDI変化を計算する問題が出題されました。今後もこの計算型は重点対策が必要です。