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NARITAI

運営管理(オペレーション・マネジメント)

標準

廃棄物等の管理

3R、ゼロエミッション、ISO14000、環境対策を基本用語中心に扱う。

この章で覚えておきたいこと

廃棄物等の管理は、細かな制度名をばらばらに覚えるより、まず「何を減らすための仕組みか」「誰が責任を負うのか」「どの順序で対応するのか」を押さえることが重要です。一次試験では、環境配慮の一般論ではなく、3RゼロエミッションISO14001ISO14021、廃棄物処理法、食品リサイクル法の基本語句が正しく対応しているかを問う問題が中心です。

  • 3R は、発生抑制を最優先に考える基本原則です。
  • ゼロエミッション は、副産物や廃棄物を資源として循環させ、最終処分量を小さくする考え方です。
  • ISO14001 は環境マネジメントシステム、ISO14021 は自己宣言による環境主張を扱います。
  • 廃棄物処理法では、排出事業者責任マニフェスト が頻出です。
  • 食品リサイクル法では、発生抑制→再生利用→減量→適正処分 の順序と、食品関連事業者や消費者の役割が重要です。
  • 周辺論点として、PRTR制度省エネ法MFCA資源有効利用促進法 も用語の目的を説明できるようにします。

基本知識

3Rとゼロエミッションの考え方

環境対策の基本は、廃棄物を出してから処理するのではなく、できるだけ出さない方向から考えることです。そこで土台になるのが 3R です。

  • Reduce は、廃棄物の発生そのものを抑えることです。
  • Reuse は、製品や部品を繰り返し使うことです。
  • Recycle は、廃棄物を資源として再利用することです。

試験では、リサイクルだけを環境対策の中心に見せる選択肢に注意します。優先されるのは、まず発生抑制です。

ゼロエミッション は、ある工程で出た副産物や廃棄物を、別の工程や別企業の資源として活用し、最終処分量をできるだけ小さくする考え方です。廃棄物を文字どおりゼロにする意味ではなく、資源循環を通じて埋立てや焼却に回る量を減らす考え方として整理します。

ISO14000シリーズと環境マネジメント

ISO14000シリーズ は、環境に関する国際規格群です。一次試験では、特に ISO14001ISO14021 の区別が重要です。

ISO14001 は、組織が環境方針や環境目標を定め、計画、実施、点検、改善の流れで環境マネジメントシステムを継続的に改善する規格です。国が一律の数値目標を与える制度ではなく、組織が自ら管理の仕組みを整える点がポイントです。

2020年の過去問では、ISO14001だけでなく、エコアクション21や環境会計との違いも含めて、環境保全の用語が問われました。そこで、ISO14001は「環境マネジメントの仕組み」と短く言い切れるようにしておきます。

ISO14021と自己宣言による環境主張

ISO14021 は、企業などが自ら行う環境主張、つまり 自己宣言 を扱う規格です。ここでは、主張が具体的で、根拠があり、検証可能であることが求められます。

この論点では、2007年の過去問で典型的に問われた 曖昧表示の禁止 が重要です。たとえば、次のような包括的な表現は不適切と判断します。

  • 環境にやさしい
  • 環境に安全

これらの表現は、何がどのように環境負荷を下げているのかが分からず、検証可能性も乏しいためです。反対に、再生材の含有率や再使用可能性のように、内容が具体的な主張は自己宣言として扱いやすくなります。一次試験では、環境ラベル一般の分類よりも、「ISO14021では曖昧な表現を認めない」という一点が得点しやすい論点です。

廃棄物処理法と排出事業者責任

廃棄物処理法では、産業廃棄物を出した事業者が、その処理について責任を負います。これが 排出事業者責任 です。処理業者へ委託したからといって、排出した事業者の責任がなくなるわけではありません。

委託処理を行うときは、マニフェスト、正式には産業廃棄物管理票によって、収集運搬から最終処分までの流れを確認します。2024年の過去問では、このマニフェストと排出事業者責任の組み合わせがそのまま問われました。

あわせて押さえたいのが 自社運搬 です。自社で排出した産業廃棄物を自ら運搬する場合、収集運搬業の許可は不要です。ただし、許可が不要なだけで、処理基準や運搬基準まで不要になるわけではありません。試験では、「自社運搬には必ず許可が必要」「許可が不要なので基準も不要」といった極端な記述が誤りとして出やすいです。

食品リサイクル法の優先順位と関係主体

食品リサイクル法は、食品関連事業者などによる食品廃棄物等の発生抑制と再生利用等を促進する法律です。ここでは、対応の優先順位を正しく言えることが重要です。

  • 発生抑制
  • 再生利用
  • 減量
  • 適正処分

この順序は、2023年第1回と2024年の過去問で繰り返し問われています。再生利用や減量だけを覚えるのではなく、最初に来るのは発生抑制であることを外さないようにします。

また、食品廃棄物等多量発生事業者 は、定期報告義務の主体として出題されています。業種別の再生利用等実施率の細かな数値まで広げすぎる必要はありませんが、多量発生事業者が報告義務を負う点は押さえます。

さらに、食品リサイクル法では、事業者だけでなく 消費者の役割 も重視されます。食品ロスの抑制は事業者だけの課題ではないため、「消費者は制度の対象外で役割を持たない」とする選択肢は誤りと判断します。

PRTR制度、省エネ法、MFCA、資源有効利用促進法

この分野では、周辺制度や管理手法が単独の用語問題として出ます。細部に入りすぎず、目的を短く説明できるようにします。

PRTR制度 は、有害性のおそれがある化学物質について、事業者が排出量と移動量を把握して届け出、国が集計して公表する仕組みです。2010年の過去問では、事業者と国の役割分担が問われました。

省エネ法 は、エネルギー使用の合理化を求める制度です。2012年の過去問では、エネルギー管理者やエネルギー管理員の選任、そしてエネルギー使用量に電気も含めて考える点が問われました。

MFCA は、マテリアルフローコスト会計です。工程内のマテリアルの流れを物量で把握し、製品になった部分だけでなく、ロスになった部分にもコストがかかっていることを見える化します。2014年の過去問では、環境会計一般ではなく、物量フローとロスのコスト把握という考え方が問われました。

資源有効利用促進法 は、再生資源や再生部品の利用促進、分別回収しやすい表示、自主回収と再資源化などを進める法律です。2015年の過去問では、品目ごとにどの仕組みが対応するかが出題されました。そこで、法律名だけでなく、資源循環を進めるための枠組みだと理解しておきます。

この章のまとめ

この章では、環境対策の用語を単独で覚えるのではなく、順序、主体、目的で整理することが重要です。最後に、次の観点で確認します。

  • 3R は、発生抑制を最優先にする考え方です。
  • ゼロエミッション は、廃棄物を資源として循環させ、最終処分量を減らす考え方です。
  • ISO14001 は環境マネジメントシステム、ISO14021 は自己宣言による環境主張です。
  • ISO14021では、曖昧表示の禁止 が重要であり、「環境にやさしい」のような包括的表現は不適切です。
  • 廃棄物処理法では、排出事業者責任マニフェスト を必ず結び付けて覚えます。
  • 自社運搬は許可不要でも、基準遵守まで不要になるわけではありません。
  • 食品リサイクル法は、発生抑制→再生利用→減量→適正処分 の順序で整理します。
  • 周辺論点では、PRTR制度、省エネ法、MFCA、資源有効利用促進法の目的を一言で説明できるようにします。

一次試験過去問での出方

  • 2007年第10問では、ISO14021の自己宣言と、曖昧表示の禁止 が問われました。
  • 2010年第20問では、PRTR制度における事業者の届出と国の公表という役割分担が問われました。
  • 2012年第20問では、省エネ法におけるエネルギー管理体制と、電気を含むエネルギー使用量の考え方が問われました。
  • 2014年第21問では、MFCAの考え方として、物量フローとロスのコスト把握が問われました。
  • 2015年第21問では、資源有効利用促進法に基づく分別回収表示や自主回収・再資源化の整理が問われました。
  • 2020年第22問では、ISO14001を中心とする環境マネジメント関連用語の区別が問われました。
  • 2023年第1回第24問では、食品リサイクル法の優先順位と、食品廃棄物等多量発生事業者の報告義務が問われました。
  • 2024年第21問では、廃棄物処理法の 排出事業者責任マニフェスト、自社運搬が問われました。
  • 2024年第25問では、食品廃棄物等の範囲、優先順位、消費者の役割が問われました。