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運営管理(オペレーション・マネジメント)

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商品販売計画

商品構成、品揃え、売上・粗利益計画、関連法制度を厚く扱う。

商品販売計画(予算、商品構成、品揃え、法制度)

この章で覚えておきたいこと

商品販売計画では、売上高だけでなく、どの商品カテゴリーで粗利益を稼ぐのか、限られた売場や人員でどれだけ利益を残せるのか、販売時にどの法制度を守るのかを一体で考えます。一次試験では、数式の丸暗記よりも、表や会話文から販売計画の良し悪しを判断させる出題が中心です。

  • 商品構成は、売上構成比と粗利益率を掛け合わせた相乗積で考えます。全体粗利益率は単純平均ではなく、各カテゴリーの相乗積の合計です。
  • 品揃えは、幅と奥行を分けて考えます。新しいカテゴリーを増やすなら幅、同じカテゴリー内でサイズや価格帯、SKU を増やすなら奥行です。
  • 売場生産性は、売上高ではなく粗利益高や営業利益で比較するのが基本です。SKU を増やすと管理コストも増える点がよく狙われます。
  • 法制度は、制度名と対象場面を結び付けます。景品表示法は景品と表示、特定商取引法は通信販売、食品衛生法は HACCP、古物営業法は中古品取引、資金決済法は前払式支払手段です。

基本知識

商品構成と相乗積

商品構成は、どの商品カテゴリーをどの比率で売るかという売上ミックスです。試験では、カテゴリー別の売上高や粗利益率が与えられ、全体粗利益率や改善対象を判断させる問題が繰り返し出ています。

相乗積は、売上構成比と粗利益率を掛けた値で、そのカテゴリーが全体粗利益率へどれだけ貢献しているかを示します。たとえば、売上構成比が 25 パーセント、粗利益率が 40 パーセントなら、相乗積は 10 パーセントです。各カテゴリーの相乗積を足し合わせると全体粗利益率になります。

ここで注意したいのは、粗利益率が高いカテゴリーを増やせば常に粗利益高も最大化するとは限らない点です。売上規模が小さいカテゴリーでは、粗利益率が高くても全体への影響が限定的です。逆に、粗利益率がやや低くても売上規模が大きいカテゴリーは、全体の利益を大きく左右します。過去問では、全体平均より粗利益率が高いカテゴリーの構成比を増やすと全体粗利益率が上がりやすい、という判断をできるかが問われます。

品揃え政策と幅・奥行

品揃え政策は、店舗コンセプトに合った商品を、顧客が選びやすい形でそろえ、利益も確保する考え方です。幅は、カテゴリー、用途、客層、価格帯の広がりです。奥行は、同じカテゴリー内のブランド、サイズ、色、容量、SKU の深さです。

総合化は幅を広げる方向、専門化は対象分野を絞って奥行を深める方向です。したがって、同じカテゴリー内でバリエーションを増やす施策は、幅の拡大ではなく奥行の強化として考えます。差別化は、競合にない独自商品や独自編集を持つことです。ラインロビングは、従来扱っていなかった商品カテゴリーへ広げることをいいます。

品揃えでは、単純に SKU を増やせばよいわけではありません。SKU が増えると、発注、補充、棚卸、値札変更、廃棄管理の負担も増えます。売れ筋にしぼれば回転率は上がりやすい一方、選択肢不足で来店動機が弱くなることもあります。専門化は、ただ絞り込むことではなく、絞った領域で深くそろえて選ばれる状態をつくることだと整理しておくと、選択肢の言い換えに対応しやすくなります。

プライスラインは同一カテゴリー内の価格段階、プライスゾーンは取り扱う価格帯の範囲です。この 2 つも品揃え政策と一緒に問われやすいため、幅や奥行と混同しないようにします。

売場生産性と販売計画

売場生産性は、限られた売場面積、什器、本数、人員を使って、どれだけ粗利益や営業利益を生み出せたかを見る考え方です。過去問では、売場別の売上高、粗利益率、SKU 数、ゴンドラ本数などが与えられ、粗利益高、ゴンドラ 1 本当たり粗利益高、SKU 管理コスト控除後の営業利益を計算させる形が典型です。

基本式としては、粗利益高は売上高から売上原価を引くか、売上高に粗利益率を掛けて求めます。スペース生産性は、粗利益高を売場面積やゴンドラ本数で割って求めます。営業利益まで問われる場合は、粗利益高から SKU 数に比例する管理コストや販売管理費を差し引きます。

この論点で失点しやすいのは、売上高で比較してしまうことと、SKU の増加を無条件に高評価してしまうことです。売上高が大きくても粗利益率が低ければ粗利益高は伸びませんし、SKU が多すぎれば管理コストが増え、結果として営業利益が下がる場合があります。したがって、販売計画の良し悪しは、売上、粗利益、在庫効率、管理負担を合わせて見て判断します。

商品予算と損益分岐点

商品販売計画では、売上予算、粗利益予算、在庫予算、経費予算をつなげて考えます。近年は、損益計算書をもとに損益分岐点売上高を計算させる問題も出ています。

損益分岐点売上高は、固定費を限界利益率で割って求めます。売上原価率が一定なら、限界利益率も一定です。人件費が上昇しても、それが固定費の増加として扱われるなら、分子だけを修正して計算します。売上高に比例して増える費用なのか、売上高に関係なく発生する固定費なのかを区別できることが重要です。

また、商品回転率、GMROI、交差比率のような在庫効率指標も販売計画と結び付けて問われます。商品回転率は売価ベース在庫との関係、GMROI は原価ベース在庫との関係、交差比率は粗利益率と商品回転率の掛け算で表せることを押さえておくと、関連問題にも対応しやすくなります。

販売時に関係する法制度

法制度問題では、条文の細部を広く覚えるよりも、どの制度がどの販売場面を規律しているかを明確にすることが大切です。

景品表示法は、優良誤認表示、有利誤認表示、過大な景品類の提供を防ぐ制度です。一般懸賞では、取引価額が 5,000 円未満なら景品類の最高額は取引価額の 20 倍、5,000 円以上なら 10 万円、景品類の総額は懸賞に係る売上予定総額の 2 パーセントが上限です。景品価額は、事業者の仕入価格ではなく、受け取る側の通常購入価格で考えます。

特定商取引法は、通信販売での表示や申込み確認に関するルールです。販売業者の名称、価格、送料、支払時期、引渡時期、返品条件などに加え、最終確認画面では定期購入の総分量、引渡し回数、支払総額、解約条件などを消費者が申込み直前に確認できることが重要です。

食品衛生法では、食品等事業者に HACCP に沿った衛生管理が求められます。小規模営業者等では、手引書を参考にしながら、危害要因の把握、衛生管理計画や手順書の整備、従業員への周知、実施、記録、振り返りを行います。取引先へ周知すれば足りる、という理解は誤りです。

古物営業法は、中古品の売買や、委託を受けて中古品を売買する場面などで問題になります。インターネットを使うかどうかや営業所の有無だけで許可不要とは判断しません。許可の主体は税務署ではなく公安委員会です。

資金決済法では、商品券、ギフト券、POSA カードのような前払式支払手段が問われます。前払いで価値を購入し、後で商品やサービスの支払いに使うものかどうかで判断します。航空券や郵便切手のように別制度や適用除外となるものとの切り分けが頻出です。

この章のまとめ

商品販売計画では、売上高の大きさだけではなく、粗利益をどのカテゴリーで稼ぐのか、売場や人員をどれだけ効率的に使えているのか、販売時にどの法制度が関係するのかまで含めて考えます。

  • 全体粗利益率は、各カテゴリーの相乗積の合計です。単純平均ではありません。
  • 品揃えは、幅と奥行を分けて考えます。総合化は幅、専門化は絞った領域での奥行の強化です。
  • 売場生産性は、粗利益高や営業利益で判断します。SKU 増加は管理コスト増加も伴います。
  • 損益分岐点売上高は、固定費と限界利益率に分けて考えます。
  • 法制度は、制度名と対象場面を結び付けます。景品表示法、特定商取引法、食品衛生法、古物営業法、資金決済法は頻出です。

一次試験過去問での出方

2023年度再試験第26問では、売場別の売上高、粗利益率、SKU 数、ゴンドラ本数から、どの売場の収益性が高いかを判断させました。粗利益高を求めたうえで、ゴンドラ 1 本当たり粗利益高や SKU 管理コスト控除後の営業利益まで見ないと正解しにくく、売場生産性の典型問題です。

2023年度再試験第30問では、景品表示法の一般懸賞が問われました。5,000 円、20 倍、10 万円、売上予定総額の 2 パーセントという数値と、景品価額は消費者の通常購入価格で考える点を押さえておく必要があります。

2023年度再試験第40問では、食品衛生法にもとづく HACCP に沿った衛生管理が出題されました。小規模営業者等が手引書を参考に、危害要因の把握、計画作成、従業員への周知、実施と記録を行う流れを理解しているかが問われました。

2024年度第30問では、古物営業法が出題されました。委託を受けて中古品を売買する場合にも許可が関係すること、インターネット利用や営業所の有無だけで不要とはいえないことがポイントです。

2024年度第41問では、資金決済法の前払式支払手段が問われました。カタログギフト券や POSA カードを該当例として、航空券や郵便切手との違いを判断する問題でした。

2025年度第28問設問1では、損益計算書から人件費上昇後の損益分岐点売上高を計算させました。売上原価率が一定なら限界利益率は変わらず、固定費としての人件費だけを修正して解くのが基本です。

2025年度第31問では、特定商取引法の通信販売における最終確認画面の表示事項が問われました。定期購入の総分量や引渡し回数、複数商品の支払総額、解約条件を申込み直前に確認できるかどうかが判断材料になりました。

商品構成と品揃えの論点は、近年の個別年次だけでなく、相乗積、全体粗利益率、総合化と専門化、プライスラインとプライスゾーンの区別として繰り返し出ています。売上ミックスと品揃え政策を、売場生産性や利益計画と結び付けて読めるようにしておくことが重要です。