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NARITAI

運営管理(オペレーション・マネジメント)

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生産統制

進捗管理、現品管理、余力管理、生産指示、プッシュ・プル、差立を扱う。

この章で覚えておきたいこと

  • 生産統制は、作成済みの生産計画を現場で実行し、計画と実績のずれを小さくする活動です。
  • 現品管理は物の管理進捗管理は日程の管理余力管理は能力と負荷の管理 という切り分けが最重要です。
  • 生産指示は現場へ何をいつ着手させるかを伝える活動で、短期的な処理順序の決定を 差立 といいます。
  • プッシュシステムは計画起点、プルシステムは後工程の引き取り起点です。かんばん方式はプルシステムの代表例です。
  • 流動数分析では、累積投入量と累積産出量の 縦方向の差が在庫量横方向の差が滞留期間やリードタイム を表します。
  • RFID、製番管理、トレーサビリティは現品管理と結びつき、あんどんは進捗や異常の見える化と結びつきます。

基本知識

生産統制の役割

生産統制は、生産計画で決めた数量、納期、順序を現場で実現するための管理です。生産計画が事前の設計図だとすると、生産統制は日々の現場運営に当たります。設備故障、部品遅延、品質不良、急な受注変更が起こっても、納期と在庫を崩しすぎないように調整するのが役割です。

試験では、生産統制を次の4つに分けて問うことが多いです。

  • 現品管理: 原材料、部品、仕掛品、製品の所在、数量、状態、移動を管理することです。
  • 進捗管理: 作業や工程が予定どおり進んでいるかを把握し、遅れや早まりを調整することです。
  • 余力管理: 各工程や作業者の能力と負荷を比べ、余力や不足を把握することです。
  • 生産指示: 現場へ作業開始や補充生産の指示を出し、必要な順序で仕事を流すことです。

用語問題では、まず「何を管理しているか」を見ます。物なら現品、日程なら進捗、能力差なら余力、指示や順序なら生産指示や差立と判断すると整理しやすいです。

現品管理とトレーサビリティ

現品管理は、現場にある物を正しく受け入れ、置き、運び、識別し、必要なときに取り出せる状態にしておく管理です。受け入れ外注品の数量確認、仕掛品の保管位置の設定、製品の運搬荷姿の検討などは現品管理に含まれます。

一方で、発注方式の見直しや発注量の決定は資材管理や在庫管理の論点です。現品管理そのものではありません。この入れ替えは過去問でよく狙われます。

現品管理と結びつく代表論点は次のとおりです。

  • RFID: 製造番号、品名、納期などの情報をタグに持たせ、仕掛品の所在や流れを把握しやすくします。
  • 製番管理: 案件や受注ごとに製造番号を付け、部品、工程、完成品を一貫して追跡します。個別受注生産で使いやすく、品質保証上のトレースも容易です。
  • トレーサビリティ: 材料の調達から製品の使用、廃棄まで、履歴を追えるようにする仕組みです。サプライチェーン全体の情報共有が前提になります。

現品管理では、物の 所在、数量、状態 を確実にすることが中心です。置き場環境の改善や識別精度の向上は現品管理ですが、仕掛在庫を減らすためのロットサイズ変更は、物の流し方の改善であって現品管理そのものではありません。

進捗管理と生産指示

進捗管理は、作業の進み具合を把握し、遅れや停滞を調整する活動です。進度管理ともいいます。個別生産では案件ごとに工程や納期が異なるため、進捗管理の重要性が特に高くなります。

代表的な進捗管理手法は次のとおりです。

  • 差立て板: 現場で仕事の順序や着手状況を見える化します。
  • カムアップシステム: 納期や日程を基準に進行状況を追い、遅れを早めに把握します。
  • ガントチャート: 時間軸上に工程や作業を並べ、予定と実績を比較します。
  • あんどん: 異常、遅れ、停止などを目で見て分かるようにする道具です。

進捗管理と混同しやすいものに追番管理があります。追番管理は番号で現品を追う色合いが強く、進捗そのものより現品追跡寄りです。個別生産の進捗管理手法として問われた場合は切り分けます。

生産指示は、現場へ何をいつ着手させるかを伝える活動です。計画どおりに前工程から順に押し出す指示だけでなく、後工程の引き取りに応じて補充生産を出す指示も含みます。

余力管理と工数管理

余力管理は、各工程や作業者について、現有能力と現在の負荷との差を把握する管理です。余力がプラスなら追加作業を受ける余地があり、マイナスなら能力不足です。

関連用語は次のように整理します。

  • 工数: 仕事量全体を表す尺度で、その仕事を1人で行うのに必要な時間です。
  • 余力: 能力と負荷の差です。
  • 工数低減: 作業習熟、改善活動、設計改良などで必要作業時間を減らすことです。
  • 工数の山積山崩: 作業時期をずらして負荷を平準化することです。

この分野では、工数は仕事量、余力は能力の余り という違いを問われます。工数管理や余力管理の問題では、仕事量を標準時間や数量から求め、納期までに処理できる能力と比較します。

余力が不足したときの代表的な対策は次のとおりです。

  • 残業や就業時間延長
  • 応援や増員
  • 外注活用
  • 設備増強
  • 日程変更や山積山崩

逆に、工程順路そのものを再設計する手順計画と、日程を見直す再スケジュールは別です。能力不足が見えたときにまず見直すのは、日程計画や負荷配分です。

差立とディスパッチングルール

差立は、待っている複数の仕事のうち、どれを先に処理するかを決めることです。単一設備で複数ジョブを処理する問題では、ディスパッチングルールとしてよく出題されます。

代表的な判断軸は次のとおりです。

  • 待ち時間合計を小さくしたい: 作業時間の短い順に処理する SPT が有力です。
  • 納期遅れを抑えたい: 納期の早い順に処理する EDD を考えます。
  • 現場順序を柔軟に見たい: 差立て板やガントチャートで見える化します。

ここで重要なのは、設問が何を最小化したいのか です。待ち時間合計なのか、総所要時間なのか、納期遅れなのかで適切なルールは変わります。納期が与えられていても、目的が待ち時間最小ならSPTを優先します。

プッシュシステム、プルシステム、かんばん

プッシュシステムは、生産計画に基づいて前工程から後工程へ仕事を押し出す方式です。計画主導であり、工程間在庫が膨らみやすい面があります。

プルシステムは、後工程が必要量を引き取った分だけ前工程が補充する方式です。後工程引き取り方式ともいい、作りだめを抑えやすいのが特徴です。

試験での要点は次のとおりです。

  • プッシュシステム: 計画起点です。
  • プルシステム: 後工程の消費や引き取り起点です。
  • かんばん方式: プルシステムの代表例です。
  • 引き取りかんばん: 後工程が前工程から必要分を持っていく指示です。
  • 生産指示かんばん: 引き取られた分を補充生産する指示です。

「前工程引き取り方式」と書かれていたら誤りです。引き取るのは後工程です。また、プルシステムは稼働率維持のための作りだめをしにくいため、過剰在庫を抑えやすいと整理します。

DBRとボトルネックの考え方

生産統制では、TOCのドラム・バッファ・ロープも周辺論点として押さえておくと整理しやすいです。ボトルネック工程が全体のスループットを決めるため、投入や指示を制約工程に合わせて行う考え方です。

  • ドラム: ボトルネック工程のリズムです。
  • バッファ: 故障や遅延の影響を吸収する余裕です。
  • ロープ: ボトルネック工程の能力に合わせて投入量や投入時期を制御する仕組みです。

ロープは、単に隣接2工程の間で指示を伝えるだけの仕組みではありません。工場全体を制約工程へ従属させるための投入制御として理解します。

流動数分析の読み方

流動数分析は、投入量と産出量の累積線から、工程や倉庫の中にどれだけ物が滞留しているか、どれだけ時間がかかっているかを読む手法です。見込生産でも受注生産でも使えます。

流動数図表の基本は次の2点です。

  • 横軸: 経過時間です。
  • 縦軸: 累積投入量や累積産出量です。

読み方は必ず次のように整理します。

  • 同じ時点で見た 縦方向の差: その時点の在庫量、仕掛量です。
  • 同じ累積数量で見た 横方向の差: 投入から産出までの滞留期間、リードタイムです。

FIFOで投入から産出までの期間が一定なら、産出の累積線は投入の累積線を時間方向へずらした形になります。このとき、投入ペースが一時的に落ち、産出ペースがしばらく変わらなければ、縦差は縮小するのでライン内の量は減少します。

また、リードタイムを短縮できれば横差が縮まり、結果として縦差、つまり仕掛在庫も小さくしやすくなります。試験では、在庫量と滞留期間の読み違いが典型的なひっかけです。

この章のまとめ

  • 生産統制は、計画を現場で実現するための調整活動です。
  • 現品管理は物、進捗管理は日程、余力管理は能力差、生産指示は着手や補充の指示と整理します。
  • 現品管理では、RFID、製番管理、トレーサビリティが重要です。発注方式の見直しは現品管理ではありません。
  • 進捗管理では、差立て板、カムアップシステム、ガントチャート、あんどんを使い分けます。
  • 工数は仕事量、余力は能力と負荷の差です。余力不足には残業、応援、外注、設備増強などで対応します。
  • 差立では、設問の目的が待ち時間最小か納期遅れ最小かを先に確認します。
  • プッシュシステムは計画起点、プルシステムは後工程引き取り起点です。かんばんは引き取りかんばんと生産指示かんばんを対で覚えます。
  • 流動数分析は、縦差が在庫、横差がリードタイムです。

一次試験過去問での出方

生産統制は、現品管理と進捗管理の切り分け、工数と余力の区別、差立の目的別ルール、プッシュとプルの違い、流動数分析の縦差と横差の読み方が繰り返し問われます。近年は RFID、あんどん、トレーサビリティ、製番管理まで含めて「何を管理する道具か」を選ばせる出題が目立ちます。