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NARITAI

運営管理(オペレーション・マネジメント)

最優先

生産計画

VE、CAD/CAM、ライン編成、MRP、BOM、PERT、Johnson則、需要予測を最厚で扱う。

この章で覚えておきたいこと

  • 生産計画は、何を、いつ、どれだけ、どの順で、どの方式で作るかを決める領域です。運営管理の中でも出題数が多く、知識問題と計算問題の両方で得点源になります。
  • VEは価値を高める考え方であり、価値は「機能 ÷ コスト」で捉えます。機能は「名詞 + 動詞」で表します。
  • CADは設計支援、CAEは解析支援、CAMは製造支援です。似た略語の役割の違いは頻出です。
  • 見込生産と受注生産の違い、多種少量と少種多量の違い、セル生産とライン生産の向き不向きは、必ず比較できるようにします。
  • DPは見込生産と受注生産の分岐点です。需要の不確実性、要求納期、カスタマイズ時間との関係で問われます。
  • ライン編成では、タクトタイム、最小工程数、編成効率、バランスロスを順に計算します。
  • BOMは部品表、MPSは基準生産計画、MRPは部品所要量計画です。BOMで部品を展開し、MPSと在庫情報を使ってMRPで必要時期と必要数量を決めます。
  • PERTでは、前進計算で最早時刻、後退計算で最遅時刻を求め、余裕が0の経路をクリティカルパスと判断します。
  • Johnson則は2工程フローショップの順序決定に使います。最小作業時間が第1工程側なら前から、第2工程側なら後ろから並べます。
  • 需要予測では、移動平均法、指数平滑法、季節変動、予測誤差の意味を区別できるようにします。

基本知識

製品開発とVE

製品開発は、新しい製品を企画し、製品化まで進める活動です。製品設計は、その製品の性能、構造、形状、部品構成を具体化する活動です。過去問では、この2つを入れ替えた選択肢がよく出ます。

VEは価値工学であり、必要な機能を満たしながらコストを下げ、価値を高める考え方です。価値は「機能 ÷ コスト」で表します。分母と分子を逆にした選択肢は典型的なひっかけです。

VEでは、機能を「名詞 + 動詞」で表します。たとえば「熱を伝える」「部品を固定する」のように、何をどうするかで表現します。2025年の過去問では、この表現方法そのものが問われました。

VEの実施時期は次のように整理します。

  • ゼロルックVE: 商品企画などの上流段階で行います。
  • ファーストルックVE: 設計段階で行います。
  • セカンドルックVE: 既存製品や量産品の改善段階で行います。

また、VEでは機能の分類も問われます。2023年第1回では、使用機能、魅力機能、基本機能、二次機能の区別が出題されました。用語だけでなく、どの分類軸で見ているかを意識して整理することが重要です。

CAD・CAE・CAMと設計情報管理

設計支援の略語は、支援対象で切り分けます。

  • CAD: 図面や形状データを作る設計支援です。
  • CAE: 強度、熱、流体などの解析やシミュレーションを支援します。
  • CAM: 加工や製造に必要な情報を生成する製造支援です。

2025年の過去問では、CAEを機械加工工程の自動編成や自動手順設計とする記述が誤りでした。解析はCAE、製造支援はCAMであり、工程設計そのものとは切り分けます。

コンカレントエンジニアリングは、設計、製造、購買、品質保証などの関係部門が同時並行で開発に関与する考え方です。後工程の問題を早期に見つけやすくなり、手戻り削減や開発期間短縮につながります。

デザインインは、部品メーカーが完成品メーカーの設計段階から参加し、自社部品を採用してもらうために共同開発する活動です。マーケットインや単なる営業活動とは意味が異なります。

周辺論点として、次も押さえておきます。

  • PDM: 部品構成、部品表、図面、変更履歴などの設計情報を一元管理する仕組みです。
  • デザインレビュー: 設計段階で関係部門が集まり、設計上の矛盾や誤りを早期に見つける活動です。
  • モジュール設計: あらかじめ準備したユニットを組み合わせて設計と生産を合理化する考え方です。

生産方式とDP

生産方式は、需要の確実性、品種数、生産量、受注後の個別対応の大きさで使い分けます。

  • 見込生産: 需要予測に基づいて先に作ります。短納期に向きますが、在庫リスクがあります。
  • 受注生産: 注文を受けてから作ります。在庫リスクは小さい一方で、納期は長くなりやすいです。
  • 多種少量生産: 品種が多く数量が少ない生産です。工程別レイアウト、汎用設備、多能工、セル生産と相性がよいです。
  • 少種多量生産: 品種が少なく数量が多い生産です。製品別レイアウト、専用設備、ライン生産と相性がよいです。
  • ロット生産: 品種ごとに一定量をまとめて作り、段取替えをしながら交互に生産します。

2024年の過去問では、ロット生産、モジュール生産、OEM、マスカスタマイゼーションの組み合わせが出題されました。用語だけでなく、どのような顧客要求と生産効率の両立を狙うのかまで理解しておく必要があります。

セル生産は、1人または少人数が複数工程を担当する方式です。多品種少量や需要変動への対応に強い一方で、多能工化が前提になります。2025年の過去問では、ライン生産からセル生産へ切り替える際の必要セル数や、1人完結型セルに向く条件が問われました。

DPはデカップリングポイントであり、見込生産と受注生産の分岐点です。DPより上流は予測に基づく共通部分、DPより下流は受注後の個別対応と考えると整理しやすいです。

DPでは次の判断が重要です。

  • 需要の不確実性が高いほど、完成品在庫を避けるためにDPを上流へ寄せやすくなります。
  • カスタマイズ時間は、顧客の要求納期以内に収まる必要があります。
  • BTOは受注後に組立や仕様確定を行う考え方であり、設計前にDPがあるわけではありません。
  • ETOは受注後に設計から入る方式であり、BTOよりも受注後工程が広いです。

2025年の過去問では、BTO、ETO、DP、製品ライフサイクル、要求納期の関係が正誤問題で細かく問われました。

ライン編成とセル生産

ライン編成では、作業をいくつかの工程に割り付け、各工程の負荷をできるだけ均等にします。計算の中心になる用語は次のとおりです。

  • タクトタイム: 稼働可能時間 ÷ 必要生産数
  • 最小工程数: 総作業時間 ÷ サイクルタイムを切り上げた値
  • 編成効率: 総作業時間 ÷(工程数 × サイクルタイム)
  • バランスロス: 1 - 編成効率

解き方は固定しています。

  1. 稼働可能時間と必要生産数からタクトタイムまたはサイクルタイムを求めます。
  2. 要素作業時間を合計し、理論上の最小工程数を求めます。
  3. 先行順位制約を守りながら、各工程がサイクルタイム以下になるように割り付けます。
  4. 編成効率やバランスロスを計算します。

2023年第2回、2024年、2025年はいずれもライン編成やボトルネック工程の考え方が出ています。2025年のタクトタイム問題のように、時間単位を秒へそろすだけで解ける基本問題もあるため、計算順序を自動化しておくことが重要です。

セル生産へ切り替える問題では、単にラインを分割するのではなく、作業者の多能工化、担当工程数、必要セル数の計算、対象製品の特性を合わせて判断します。多品種少量向きか、少種多量向きかをまず見分ける癖をつけます。

BOM・MPS・MRP

需給計画では、MPS、BOM、MRPの役割を流れで押さえます。

  • MPS: 最終製品をいつ、どれだけ作るかを決める基準生産計画です。
  • BOM: 製品を構成する部品と数量の親子関係を示す部品表です。
  • MRP: MPS、BOM、在庫、リードタイムを使って、必要部品の数量と手配時期を決める計画手法です。

処理の順序は次のとおりです。

  1. MPSで最終製品の必要数量と必要時期を決めます。
  2. BOMで下位部品へ展開します。
  3. 手持在庫や発注残を差し引いて正味所要量を求めます。
  4. ロットサイズを考慮して計画発注量を決めます。
  5. リードタイム分だけ前倒しして発注時期を決めます。

BOM問題では、「親1個あたり子が何個必要か」を下位階層へ掛けていきます。共通部品が複数経路から必要になる場合は最後に合算します。2024年と2023年第1回の過去問では、この基本計算がそのまま問われました。

MRPでは、用語の意味も重要です。

  • 独立需要品目: 市場需要や受注で必要量が決まる品目です。
  • 従属需要品目: 親品目や最終製品の計画に従って必要量が決まる品目です。
  • タイムバケット: 所要量や在庫を区切って管理する時間単位です。
  • リードタイム: 調達や生産に必要な先行期間です。

2022年の過去問では、これらの用語定義そのものが問われました。BOMは購買品目一覧ではなく、親子関係を示す構造情報である点を押さえておきます。

PERTとCPM

PERTやCPMは、プロジェクト型の計画で工期と重点管理箇所を明らかにする手法です。一次試験では、両者を厳密に分けるというより、クリティカルパス、最早時刻、最遅時刻、短縮費用を計算できることが重視されます。

基本用語は次のとおりです。

  • 最早結合点時刻: その結合点へ最も早く到達できる時刻です。
  • 最遅結合点時刻: 全体工期を遅らせずにその結合点へ到達できる最も遅い時刻です。
  • 余裕時間: 遅れても全体工期に影響しない時間です。
  • クリティカルパス: 余裕時間が0の作業でつながる最長経路です。
  • クラッシング: 費用をかけて作業時間を短縮することです。

計算手順は毎回同じです。

  1. 前進計算で最早時刻を求めます。合流点では最大値を使います。
  2. 後退計算で最遅時刻を求めます。分岐点では最小値を使います。
  3. 余裕時間を確認し、余裕が0の経路をクリティカルパスとします。
  4. 工期短縮問題では、現在のクリティカルパス上で短縮単価が低い作業から検討します。
  5. 短縮後に別経路もクリティカルにならないかを再確認します。

2024年は、クリティカルパス上の作業時間変化で工期や経路がどう変わるかを正誤で問いました。2025年と2022年は、短縮費用を使って最小費用で工期を縮める問題が出ています。単に最も安い作業を短縮するのではなく、その時点でクリティカルパス上にあるかを必ず確認します。

Johnson則と順序計画

Johnson則は、2工程フローショップでメイクスパンを最小にする代表的な順序決定ルールです。2022年と2025年で続けて問われており、計算手順を確実に覚える必要があります。

手順は次のとおりです。

  1. 未配置ジョブの中から、第1工程と第2工程を通じて最も短い作業時間を探します。
  2. その最小時間が第1工程にあるジョブなら、前から配置します。
  3. その最小時間が第2工程にあるジョブなら、後ろから配置します。
  4. そのジョブを除外し、全ジョブが埋まるまで繰り返します。
  5. 決まった順序でガントチャートを描き、メイクスパンを求めます。
  6. 非稼働時間は、各機械の空き時間を合計して確認します。

よくある誤りは、第2工程側で最小になったジョブも前に置いてしまうことです。Johnson則では、第2工程側の最小値は後ろから埋めます。

また、順序を決めた後は、必ず第2工程の開始時刻を追います。第1工程が終わっていても、第2工程が空いていなければ待ちが発生します。2025年の問題では、最終的に非稼働時間の合計まで問われました。

需要予測

需要予測は、生産計画や在庫計画の前提になります。一次試験では、計算式そのものと、時系列変動の意味がよく問われます。

代表的な手法は次のとおりです。

  • 移動平均法: 直近n期の実績平均で予測します。
  • 加重移動平均法: 直近ほど大きな重みを置きます。
  • 単純指数平滑法: 前期予測値を当期実績で修正して次期予測値を出します。
  • 回帰分析: 需要と説明変数の関係から予測します。

単純指数平滑法の式は、次の形で覚えます。

  • 次期予測値 = 平滑化係数 × 当期実績値 + (1 - 平滑化係数)× 当期予測値

平滑化係数が大きいほど、直近実績の影響を強く受けます。2024年の計算問題では、平滑化係数0.8を使って翌期予測値を求めました。2025年は、移動平均法、指数平滑法、重回帰分析、予測誤差の意味をまとめて問う記述問題でした。

時系列の変動要素も重要です。

  • 傾向変動: 長期的な増加や減少の流れです。
  • 季節変動: 毎年ほぼ同じ時期に繰り返される変動です。
  • 循環変動: 景気循環などによる中長期の波です。
  • 不規則変動: 災害や事故など突発的な変動です。

2023年第1回では季節変動そのものの定義が問われました。季節変動と循環変動、不規則変動を混同しないことが大切です。

この章のまとめ

生産計画では、開発設計、生産方式、ライン編成、需給計画、順序計画、需要予測をばらばらに覚えるのではなく、「何を決める論点か」で整理すると得点しやすくなります。

  • 設計段階の論点: VE、CAD、CAE、CAM、PDM、デザインレビュー、コンカレントエンジニアリングです。
  • 生産方式の論点: 見込生産と受注生産、BTOとETO、多種少量と少種多量、セル生産とライン生産、DPです。
  • 数量計画の論点: MPS、BOM、MRP、需要予測です。
  • 日程計画の論点: ライン編成、PERT、CPM、Johnson則です。

直前確認では、次を最優先にします。

  • VEの価値は「機能 ÷ コスト」です。
  • CAEは解析、CAMは製造支援です。
  • DPは見込生産と受注生産の分岐点です。
  • タクトタイムは「稼働可能時間 ÷ 必要生産数」です。
  • BOMは親1個あたりの数量を下位へ掛けて展開します。
  • MRPではリードタイム分だけ発注時期を前倒しします。
  • PERTは前進計算で最大値、後退計算で最小値を使います。
  • Johnson則は、第1工程の最小は前、第2工程の最小は後ろです。
  • 需要予測では、移動平均法と指数平滑法の式を区別します。

一次試験過去問での出方

生産計画の論点は 2022年から2025年まで毎年のように、設計開発、VE、生産方式、セル生産、ライン編成、BOM、MRP、PERT、Johnson則、需要予測が分散して出題されています。2025年は VE、Johnson則、PERT短縮費用、DP、タクトタイム、需要予測、2024年は生産方式、PERT、ライン編成、BOM、指数平滑法、2023年は VE 機能分類、PDM、デザインレビュー、BOM、PERT、ラインバランシングが中心でした。用語暗記だけでは足りず、図表やネットワーク、部品表を使って手順どおりに計算できるかが合否を分けます。