naritai.app

生産システム

この章で覚えておきたいこと

JIT、TOC、情報システム、環境配慮を工場全体で整理する図解

生産システムは、工場で何をどう流すかという生産方式と、それを支える情報システム、さらに環境配慮までをまとめて問われる論点です。一次試験では、用語を単独で暗記しているだけでは対応しにくく、「何を管理する仕組みか」「どの階層で使う仕組みか」「どこまでを対象範囲にしている考え方か」で切り分ける力が必要です。

特に重要なのは次の点です。

基本知識

JITと平準化生産

JITを安定して回す前提として平準化生産を示す図解

JITは、在庫を単に減らすための手法ではありません。作り過ぎ、待ち、運搬、仕掛品の滞留といったムダを減らし、短いリードタイムで流れる生産を実現する考え方です。後工程が必要とする分だけ前工程が補充するプル型の発想が中心にあります。

JITを安定して回す前提が平準化生産です。平準化生産は、生産量や生産品種の波をならし、最終工程の負荷を大きく乱さないようにする考え方です。ここを誤ると、「かんばん方式を導入すれば自動的に平準化される」という誤答につながります。順序は、平準化で量と品種のムラを抑え、そのうえでJITを回す、です。

試験では、次の切り分けが頻出です。

かんばん方式と仕掛在庫の考え方

後工程の引取りとかんばん返却が仕掛在庫を上限管理する図解

かんばん方式は、JITを現場で実行する代表的な仕組みです。後工程が前工程から必要な分を引き取り、前工程は引き取られた分だけ補充します。かんばんは、生産工程を選ぶ札ではなく、引取りや生産指示を伝える情報媒体です。

かんばん方式では、工程間の仕掛在庫を上限管理できます。かんばん枚数が少なければ仕掛在庫は抑えられますが、そのぶん工程の異常や遅れが表面化しやすくなります。したがって、段取時間短縮、設備保全、不良低減などの改善とセットで考える必要があります。

図表問題では、次の見方が重要です。

この考え方は、かんばん枚数が工程間仕掛在庫の上限を表すことを理解していれば判断しやすくなります。

TOCとDBR

ボトルネック工程が全体スループットを決めることを示す図解

TOCは制約理論と呼ばれ、システム全体の成果を制約している要因に注目する考え方です。工場では、最も処理能力が低い工程や、最も滞留を起こしやすい工程がボトルネックになりやすく、全体のスループットは基本的にそのボトルネックで決まります。

重要なのは、局所最適と全体最適を分けて考えることです。非ボトルネック工程だけを速くしても、全体のスループットが必ず上がるわけではありません。仕掛品が増えるだけで終わることもあります。まずボトルネックを止めないこと、次に他工程をそのペースに合わせることが先です。

TOCの基本手順は次の流れです。

1. 制約工程を特定します。 2. 制約工程を最大限活用します。 3. 他工程を制約工程に従属させます。 4. 必要なら制約工程を強化します。 5. 制約が移ったら、また新しい制約を探します。

DBRはTOCを現場運用へ落とした考え方です。

ロープを「下流工程を速くする仕組み」と読むと誤りです。投入制御である点を押さえます。

ERP・MES・APS・PLCの役割分担

ERP、MES、APS、PLCを全社、現場、計画、設備制御の階層で整理する図解

生産システムの情報化は、どの階層の仕事を担うのかで整理すると覚えやすくなります。

この分野では、似た用語との混同に注意します。

つまり、ERPを設計解析の道具とみなしたり、MESを全社基幹システムとみなしたりすると誤りになります。何を統合し、何を実行し、何を制御するのかを明確にしておきます。

SCM・FA・CIMと自動化システム

SCM、FA、CIMを企業間連携と工場内自動化と広い統合概念で分ける図解

SCMはサプライチェーンマネジメントであり、資材供給から生産、流通、販売に至る供給連鎖を企業間でつなぎ、販売情報や需要情報を共有して全体最適を目指す考え方です。社内の一部門最適ではなく、企業間連携が本質です。

SCMに関連してよく問われるのがブルウィップ効果です。下流の小さな需要変動が、上流に向かうほど大きな発注変動として増幅される現象です。抑制策としては、実需情報の共有、発注の平準化、小ロット化、リードタイム短縮、VMIの活用などがあります。

工場自動化の用語は、対象範囲の広さで整理します。

FAとCIMを同じものとして扱う選択肢は典型的なひっかけです。FAは工場内自動化、CIMはより広い統合概念と押さえます。

環境配慮型生産

3R、LCA、サーキュラーエコノミー、カーボンフットプリントの違いを示す図解

環境配慮型生産では、用語の定義と対象範囲を正確に区別することが重要です。似た言葉が並ぶため、何を評価するのか、何を目指すのか、何を表示するのかを分けて覚えます。

3Rは、次の3つです。

LCAはライフサイクルアセスメントです。原材料調達から製造、流通、使用、廃棄、リサイクルまで、製品のライフサイクル全体で環境負荷を評価します。製造工程だけを見るものではありません。

サーキュラーエコノミーは、資源を循環利用し、廃棄物や新規資源投入を抑える経済の考え方です。LCAのような評価手法ではなく、経済や生産のあり方を示す概念です。近年は3RにRenewableを加えた文脈でも問われます。

カーボンフットプリントは、製品単位でライフサイクル全体の温室効果ガス排出量をCO2換算で示す考え方です。CO2だけを直接数えるわけではなく、複数の温室効果ガスを換算して合計します。また、算定範囲を明確にするシステムバウンダリーの考え方も重要です。

カーボンニュートラルは、排出量と吸収量を均衡させる考え方です。LCAやカーボンフットプリントとは役割が異なります。

この章のまとめ

生産方式、情報階層、自動化範囲、環境評価を判断軸として整理する図解

生産システムでは、まずJIT、かんばん、TOCのような生産方式の考え方を押さえ、そのうえでERP、MES、APS、PLCなどの情報システムを階層で整理します。さらに、SCMやFA、CIMで企業間連携と工場自動化の違いを理解し、最後に3R、LCA、サーキュラーエコノミー、カーボンフットプリントを対象範囲で切り分ける流れで学ぶと整理しやすいです。

試験で誤りやすい点はほぼ共通しています。

迷ったときは、「何を管理する仕組みか」「どの範囲を対象にするか」に戻って判断すると、選択肢を切りやすくなります。

一次試験過去問での出方

生産システムは、JITとかんばん、TOC、ERP・MES・APS・PLC、SCMとブルウィップ効果、FAとCIM、LCA・3R・カーボンフットプリントまで幅広く繰り返し出ます。近年は2023年度第2回でJIT、2024年度で管理方式と環境配慮、2025年度でTOC、工場IT、現場改善、CFPが連続出題されており、用語暗記ではなく役割と対象範囲の切り分けが重要です。

引用元