運営管理(オペレーション・マネジメント)
最優先商品在庫管理
発注方式、需要予測、安全在庫、欠品防止を厚く扱う。
この章で覚えておきたいこと
- 定量発注方式 は、発注量が一定で、発注間隔が変動します。
- 定期発注方式 は、発注間隔が一定で、発注量が変動します。
- 定量発注方式の発注点は、リードタイム中の需要予測量 + 安全在庫 で考えます。
- 定期発注方式では、需要を見込む期間が 発注間隔 + リードタイム になります。
- 安全在庫 は欠品防止のための在庫であり、増やすほど欠品リスクは下がりますが、保管費や過剰在庫リスクは上がります。
- 有効在庫量 は、手持在庫に発注残を加え、引当分などを差し引いた発注判断用の在庫です。
- 需要予測は、移動平均法、指数平滑法、PI値の意味を説明できる状態にしておきます。
基本知識
在庫管理の目的
商品在庫管理の目的は、欠品を防ぎながら、過剰在庫を抑えることです。欠品すると販売機会を失い、顧客満足も下がります。逆に在庫を持ちすぎると、保管費、値下げ、廃棄、資金固定が発生します。
したがって試験では、在庫は多いほどよい、少ないほどよい、という単純な見方ではなく、欠品防止と在庫削減のトレードオフで判断します。
定量発注方式
定量発注方式は、在庫が発注点まで下がったら、一定量を発注する方式です。重要なのは、一定なのが発注量であって、発注間隔ではない点です。
基本の考え方は次のとおりです。
- 発注点 = リードタイム中の需要予測量 + 安全在庫
例えば、納品まで3日かかり、1日20個売れる見込みで、安全在庫を15個持つなら、発注点は75個です。在庫が75個まで下がった時点で発注します。
需要が増えれば発注点に早く達するため、発注間隔は短くなります。需要が減れば発注間隔は長くなります。この逆を書いた選択肢は典型的な誤りです。
定期発注方式
定期発注方式は、毎日、毎週、毎月など一定間隔で在庫を確認し、その時点で必要量を発注する方式です。こちらは発注間隔が一定で、発注量が変動します。
定期発注方式では、次の発注機会まで待つ必要があるため、リードタイムだけでなく発注間隔も需要見込みに含めます。したがって、考えるべき期間は 発注間隔 + リードタイム です。
発注量は、次のような考え方で求めます。
- 発注量 = 発注間隔とリードタイム中の需要予測量 + 安全在庫 - 有効在庫量
発注間隔が長くなると、次回発注までに必要な数量が増えるため、通常は1回当たりの発注量も大きくなります。
安全在庫と有効在庫量
安全在庫は、需要のぶれや納期遅れに備える在庫です。目的は欠品防止であり、過剰在庫防止のために持つ在庫ではありません。
安全在庫が増えやすい条件は次のとおりです。
- 需要のばらつきが大きい。
- リードタイムが長い。
- リードタイムのばらつきが大きい。
- 欠品を避けるサービス水準を高く設定する。
- 安全係数を高く設定する。
有効在庫量は、発注判断に使う在庫ポジションです。単なる手持在庫量ではなく、発注残や引当済み数量まで含めて考える点が狙われます。
サイクル在庫と需要予測
サイクル在庫は、補充してから次の補充までに通常消費されていく在庫です。発注ロットが大きいほど、平均的なサイクル在庫は大きくなりやすくなります。
一方、安全在庫は不確実性への備えです。サイクル在庫と安全在庫の役割を混同しないことが大切です。
需要予測では、次の3つを押さえます。
- 移動平均法
直近数期間の実績平均を予測値にする方法です。期間を長くすると変動はならされますが、直近変化には鈍くなります。 - 指数平滑法
前期予測値に、実績値との差を一定割合だけ反映する方法です。平滑化係数が大きいほど、直近実績の影響が強くなります。 - PI値
一般に、レジ通過客数1,000人当たりの販売数量を表します。来店客数予測から販売数量を見込む小売特有の基本指標です。
この章のまとめ
在庫管理の問題は、まず発注方式を判定し、そのうえで何が一定で何が変動するかを整理すると崩れません。
定量発注方式では、発注量が一定で、発注点は リードタイム中の需要予測量 + 安全在庫 です。需要が増えれば発注間隔は短くなります。定期発注方式では、発注間隔が一定で、需要を見込む期間は 発注間隔 + リードタイム になります。発注間隔やリードタイムが長くなると、通常は1回当たりの発注量や必要在庫は大きくなります。
ひっかけとして特に多いのは、定量と定期の逆転、発注点の定義違い、安全在庫の役割違いです。安全在庫は欠品防止のために持つのであり、増やせば欠品リスクは下がる一方で、保管費や過剰在庫リスクは上がります。
最後は次の順で切ると安定します。
- 発注方式は定量か定期か。
- 問われているのは発注量か、発注間隔か、発注点か、安全在庫か。
- リードタイム、発注間隔、需要変動が増減すると、どの量が大きくなるか。
- 需要予測は平均化の話か、直近実績の反映か、PI値の客数連動か。
一次試験過去問での出方
- 2014年問27では、PI値を使った需要予測が出題され、レジ通過客数と販売数量から予測販売数を求める基本計算が問われました。
- 2017年問33では、定量発注方式の発注点が 調達期間中の推定需要量 + 安全在庫 であることが問われました。
- 2019年問33では、定期発注方式の安全在庫や需要見込み期間が 調達期間 + 発注間隔 であることが問われました。
- 2020年問34では、定期発注方式で発注間隔を短くすると1回当たりの発注量が小さくなりやすいことが問われました。
- 2021年問32では、サイクル在庫、安全在庫、定量発注方式、定期発注方式の基本ルールがまとめて問われました。
- 2022年問31では、毎日確認して必要数量を発注する方式が定期発注方式であること、有効在庫量を差し引いて発注量を考えることが問われました。
- 2023年度再試験問31、2024年問33、2025年問32では、発注量、発注間隔、発注点、安全係数、ダブルビン方式の判断が連続して出題されています。
- 需要予測自体は別章の生産計画でも頻出で、2025年問33では指数平滑法、移動平均法、季節変動、予測誤差の基本が問われました。