運営管理(オペレーション・マネジメント)
標準店舗立地と出店
立地条件、商圏分析、出店評価を基本パターンとして扱う。
この章で覚えておきたいこと
- 立地条件 は、単に人通りの多さではなく、商圏の大きさ、来店手段、競合、賃料、駐車場、道路条件まで含めて見ます。
- 商圏 は、店舗が顧客を引き付ける地理的範囲です。一次試験では、1次商圏、2次商圏、3次商圏の違いと、商品特性による広さの違いがよく問われます。
- 最寄品 は商圏が狭く、買回品 は商圏が広い、という方向を逆にしないことが重要です。
- ライリー・モデル は、吸引力が人口などの規模に比例し、距離の2乗に反比例する考え方です。距離をそのまま使わないことが典型的なひっかけです。
- ライリー・コンバースの法則 は、2都市の商圏分岐点を求める式です。どちらの都市からの距離を聞かれているかを必ず確認します。
- 修正ハフモデル は、各店舗の魅力度を距離抵抗で割って来店確率を出すモデルです。求める店舗の値を、全店舗の値の合計で割るところまでが計算です。
- 出店評価 では、売上見込みだけでなく、固定費、物流、競争環境、将来の人口変化まで含めて判断します。
基本知識
立地条件の見方
店舗立地は、集客しやすいかと、利益が残るかの両方で判断します。受験勉強では、次の2つに分けて考えると整理しやすいです。
- 集客面
- 周辺人口、昼間人口、世帯構成、所得水準
- 駅、道路、駐車場、視認性、通行量
- 競合店、商業集積、来店しやすさ
- 費用面
- 地価、賃料、建設費
- 人件費、物流費、広告費
- 維持管理費
同じ「人通りが多い立地」でも、業態によって評価は変わります。コンビニエンスストアなら近さと利便性、総合スーパーなら駐車場と広域集客、専門店なら目的来店を支える品ぞろえとアクセスが重視されます。試験では、立地の良し悪しを単独要因で決める選択肢が誤りになりやすいです。
商圏と最寄品・買回品
商圏 は、店舗が顧客を吸引する範囲です。一般には次のように考えます。
- 1次商圏
- 来店頻度が高く、売上構成比も高い中心範囲です。
- 2次商圏
- 1次商圏の外側で、一定の来店がある範囲です。
- 3次商圏
- 来店頻度は低いものの、認知や特定目的で来店する範囲です。
商品特性による違いも重要です。
- 最寄品
- 食品や日用品のように、近くで早く買いたい商品です。
- 商圏は狭くなりやすいです。
- 買回品
- 衣料、家具、家電のように、比較して選ぶ商品です。
- 商圏は広くなりやすいです。
この論点では、最寄品と買回品の対応を逆にした選択肢が定番です。また、商圏が広いことと来店頻度が高いことは同じではありません。買回品は商圏が広くても、来店頻度は低くなりやすいです。
ライリー・モデル
ライリー・モデルは、2つの都市や商業集積が、ある地点からどれだけ購買力を吸引するかを考えるモデルです。方向感は次の1行で十分です。
- 吸引力は、規模に比例し、距離の2乗に反比例します。
したがって、人口が大きい都市ほど有利ですが、距離が遠いと不利になります。距離の効き方が強く、2倍遠いと不利は4倍になる点が重要です。
試験でのひっかけは主に次の3つです。
- 距離を2乗せず、そのまま使ってしまう。
- 人口が大きい都市なら必ず勝つと考えてしまう。
- 面積や所得差を使うと誤解してしまう。
過去問では、必要な比率として人口比と距離比を選ばせる問題、吸引力比を計算させる問題、吸引力比と人口比から距離比を逆算させる問題が出ています。計算の前に、人口が有利要因、距離が不利要因、しかも距離は2乗で効くと確認すると、選択肢を切りやすくなります。
ライリー・コンバースの法則
ライリー・コンバースの法則は、2都市の間にある商圏分岐点を求める考え方です。商圏分岐点とは、2都市の吸引力がちょうど等しくなる地点です。
ここで大事なのは計算式そのものより、結果の向きです。
- 規模が大きい都市の商圏は広くなります。
- したがって、分岐点は小さい都市側に寄るはずです。
試験では、A市からの距離を聞くのか、B市からの距離を聞くのかが最大のひっかけです。計算できても、最後に「大きい都市から遠い側に分岐点が来ていないか」を必ず見直します。
確認手順は次のとおりです。
- 2都市間の全体距離を確認します。
- 人口や規模の比を確認します。
- どちらの都市からの距離を問われているかを確認します。
- 分岐点は小さい都市側に寄るという直感と、答えの位置が一致するか確認します。
計算後の位置関係が直感と逆なら、分子分母か、どちらの都市から測るかを取り違えている可能性が高いです。
修正ハフモデル
修正ハフモデルは、消費者が複数店舗のうちどの店舗を選ぶかを確率で求めるモデルです。一次試験では、魅力度として売場面積、距離抵抗係数として2が与えられる形が典型です。
方向感は次のとおりです。
- 魅力度が大きいほど選ばれやすいです。
- 距離が遠いほど選ばれにくいです。
- 距離抵抗係数が2なら、距離は2乗で効きます。
計算手順は単純です。
- 各店舗について、魅力度を距離のべき乗で割ります。
- 求める店舗の値を出します。
- 全店舗の値の合計で割って確率にします。
ひっかけは次のとおりです。
- 求める店舗の値だけ出して終わってしまう。
- 分母に全店舗の合計を入れ忘れる。
- A店の確率を聞いているのにB店を分子にしてしまう。
- 距離抵抗係数2を見落として距離を2乗しない。
確率なので、答えは0より大きく1以下になります。1を超える値になったら、比の向きか分母処理を誤っています。
出店評価
出店評価は、モデル計算だけで終わりません。実務寄りの設問では、次の観点を組み合わせて判断します。
- 需要
- 商圏人口、世帯、昼間人口、来店手段
- 競争
- 競合店、代替チャネル、商業集積との関係
- 収益性
- 売上見込み、粗利益、賃料、人件費、物流費
- 将来性
- 人口動態、道路整備、再開発、周辺環境の変化
ここでのひっかけは、「売上が大きそうだから出店すべき」と短絡する選択肢です。出店は利益と継続性まで見て判断します。特に広域集客型の店は、売上見込みが高くても、賃料や競争コストが重いと採算が崩れます。
この章のまとめ
- 立地条件 は、集客要因と費用要因を分けて見ると整理しやすいです。
- 商圏 は店舗が顧客を引き付ける範囲で、最寄品は狭い、買回品は広い が基本です。
- ライリー・モデル は、人口に比例し、距離の2乗に反比例します。距離をそのまま使わないことが最重要です。
- ライリー・コンバースの法則 は商圏分岐点の問題です。どちらの都市から測る距離かを必ず確認します。
- 修正ハフモデル は来店確率の問題です。求める店舗の値を、全店舗の値の合計で割るところまで計算します。
- 出店評価 は、売上だけでなく、固定費、物流、競争、将来性まで含めて判断します。
- 計算問題では、式を覚えるだけでなく、人口や売場面積は有利、距離は不利、距離は2乗で効く、分岐点は小さい都市側に寄る、という方向感を持つとミスが減ります。
一次試験過去問での出方
2009年 第23問では、商圏、最寄品と買回品、ライリー・コンバースの法則などの基本用語がまとまって問われました。定義の取り違えを防ぐ基礎確認です。
2011年 第24問では、業態ごとの立地傾向が問われました。総合スーパーは広域集客寄り、コンビニエンスストアは近接需要寄り、という業態と立地の対応がポイントです。
2013年 第24問では、小売吸引力とハフの考え方が問われました。店舗規模はプラス、到着時間はマイナスに効く、という方向感がそのまま正誤判定になります。
2018年 第23問、2022年 第25問、2025年 第24問では、ライリー・モデルが計算または計算前提の知識として繰り返し出題されています。人口比と距離比、特に距離の2乗を落とさないことが重要です。
2020年 第25問では、ライリー・コンバースの法則で商圏分岐点を求めました。どちらの都市から見た距離かを読み違えないことが得点の分かれ目です。
2021年 第24問、2023年 第24問では、修正ハフモデルで来店確率を計算しました。魅力度、距離抵抗係数、分母に全店舗合計を置くことが定番の確認事項です。