運営管理(オペレーション・マネジメント)
最優先分析手法
作業測定、時間研究、各種工程分析、動作分析、稼働分析の図表問題を扱う。
この章で覚えておきたいこと
- 分析手法は、何を見たいか で選びます。物の流れ、人の行為、人と機械の関係、手の細かな動き、時間、稼働比率を混同しないことが最重要です。
- 工程分析 は、加工、運搬、検査、停滞、貯蔵の記号で流れを表します。特に 停滞 と 貯蔵 の違いが頻出です。
- 作業者工程分析 は作業者の行為を対象にします。物の流れを追う製品工程分析と入れ替えないことが大切です。
- 時間研究 は、差分計算、平均、レイティング、余裕の順に処理します。累積時刻をそのまま平均しないようにします。
- ワークサンプリング は、瞬間観測を多数回行って出現比率を推定する方法です。個々の作業時間を直接測る手法ではありません。
- 連合作業分析 は、人と機械、または人と人の手待ち関係を同一時間軸で見ます。機械側の空き時間も必ず確認します。
- 動作分析 では、G、H、TL、TE、P、RL などのサーブリッグ記号を読めるようにします。左手が保持で拘束されていないか、持ち替えや移動が多すぎないかが改善の軸です。
基本知識
作業研究の全体像
作業研究は、大きく 方法研究 と 作業測定 に分かれます。方法研究は「どうやるか」を改善し、作業測定は「どれだけ時間がかかるか」を把握します。このトピックでは、その両方を支える分析手法を扱います。
出題では、手法名の暗記だけでなく、どの粒度で現場を切り取っているかを見抜けるかが問われます。工程レベル、作業レベル、動作レベル、時間レベル、稼働比率レベルを順に整理して覚えると混乱しにくくなります。
工程分析
工程分析は、工程の流れを図記号で表して問題点を見つける方法です。代表的な見分け方は次のとおりです。
- 製品工程分析
原材料、部品、製品など、物の流れを追います。 - 作業者工程分析
作業者の行為の流れを追います。
工程図記号で最低限押さえる内容は次のとおりです。
- 加工
形状や性質を変える作業です。 - 運搬
人や物が移動することです。 - 検査
品質、数量、寸法などを確かめます。 - 停滞
一時的な待ちや遅れです。 - 貯蔵
管理下で保管され、取り出しに管理が必要な状態です。
停滞と貯蔵は、時間の長短ではなく 管理上の扱い で分けます。ここは工程分析で最も狙われやすい論点です。
作業者工程分析と複合記号
作業者工程分析では、対象は作業者です。JIS では、作業者が取り扱う物そのものを分析対象にするのではなく、作業者の行為を工程図記号で表します。
注意点は次のとおりです。
- 物を追っている問題なら、製品工程分析です。
- 作業者の動きを追っている問題なら、作業者工程分析です。
- 複合記号では、主となる工程を外側、従となる工程を内側に書きます。
2023年第1回では、この JIS の定義がそのまま問われました。最近は古典的な図記号暗記だけでなく、用語定義を文章で判定させる問題が増えています。
時間研究と標準時間設定
時間研究では、要素作業ごとに時間を観測し、標準時間へつなげます。手順は固定して覚えます。
- 累積時刻なら差分を取る。
- 観測時間の平均を求める。
- レイティングで正常時間に補正する。
- 余裕を加えて標準時間にする。
併せて、次の手法の違いも押さえます。
- ストップウォッチ法
実作業を直接観測します。 - PTS法
基本動作ごとの既定時間を積み上げます。 - 標準時間資料法
既に整備した時間資料を使います。 - 実績資料法
過去データを活用します。
DM表記も頻出です。1DM = 0.01分 = 0.6秒 です。単位変換を誤ると、その後の計算を全部落とします。
ワークサンプリングと稼働分析
ワークサンプリングは、ある時点で対象がどの状態にあるかを多数回観測し、比率を推定する方法です。複数の作業者や設備を1人で観測しやすいのが特徴です。
ここでの判断軸は次の3つです。
- 直接得られるのは比率
個々の要素作業時間そのものは直接得られません。 - 余裕率計算に使える
ただし、分母を全観測回数にするのか、作業回数にするのかは設問条件で決まります。 - 必要サンプル数の式が出る
相対誤差で与えられたら、絶対誤差へ直してから使います。
2018年第18問のように、相対誤差と絶対誤差の変換を式変形で問う問題も出ています。
連合作業分析
連合作業分析は、人と機械、または複数人の作業を同一時間軸に並べて、手待ちや遊休を見つける手法です。マン・マシンチャートはその代表例です。
見るポイントは単純です。
- 作業者が待っている時間
- 機械が止まっている時間
- 順序変更で前倒しできる時間
- 持ち台数や巡回順序の無理
人の行だけを見て解くと外しやすいので、必ず機械側の待ちも確認します。
動作分析
動作分析は、手や身体の細かな動作に分解して改善する方法です。両手動作分析やサーブリッグ分析が典型です。
頻出記号は次のとおりです。
- G
つかむ - H
保持する - TL
物を持って運ぶ - TE
空手で移動する - P
位置決めする - RL
放す
問題では、どの手が長く保持で拘束されているか、持ち替えや移動が多すぎないかを読みます。2021年第18問では、左手の保持が長いことを読み取り、治具の活用が改善策として問われました。
この章のまとめ
- 手法は 対象で選ぶ と覚えると整理しやすいです。物なら工程分析、人なら作業者工程分析、人と機械なら連合作業分析、細かな手の動きなら動作分析です。
- 工程分析では、停滞と貯蔵を管理上の扱いで切り分けます。時間の長さで判断しません。
- 時間研究は、差分、平均、レイティング、余裕の順に処理します。DM換算も忘れないようにします。
- ワークサンプリングは比率推定です。標準時間問題に使うときは、余裕率の分母条件を必ず確認します。
- 連合作業分析では、作業者の行動だけでなく、機械の遊休時間もセットで見ます。
- サーブリッグでは、GとH、TLとTEの違いを機械的に判定できるようにしておくと失点を防げます。
一次試験過去問での出方
2024年第16問、2023年第2回第10問、2019年第13問では工程分析が出ました。工程図記号そのものよりも、図から直接読める改善策を選ばせる出題が増えています。
2023年第1回第16問では作業者工程分析の JIS 定義、2022年第16問と2019年第14問では時間研究と余裕率計算、2021年第17問では作業測定手法の使い分けが問われました。分析対象と計算順序を両方押さえておく必要があります。
2021年第18問、2020年第18問、2019年第16問では動作分析や PTS 法、2018年第18問と2008年第4問ではワークサンプリングが出ています。図表の粒度を見分けられるかどうかが得点差になります。