運営管理(オペレーション・マネジメント)
重要作業の改善
ECRS、3S、5W1H、動作経済の原則を改善手順として整理する。
この章で覚えておきたいこと
- 作業改善は、現状を分析したうえで、ムダな作業、順序、配置、動作を見直す活動です。いきなり改善案に飛びつかず、まず現状分析が前提になります。
- ECRS は、Eliminate、Combine、Rearrange、Simplify の順です。最初に「なくせないか」を考えるのが基本です。
- 5W1H は、改善対象を問い直す枠組みです。最初から How に入らず、まず Why と What で必要性を疑います。
- 合理化の 3S は、標準化、単純化、専門化です。5Sや現場整理の3Sと混同しないようにします。
- 動作経済の原則 は、身体の使い方、作業場所、工具・設備設計の3方向から考えます。動作を減らす、自然にする、近づける、保持具を使う、が基本発想です。
- 回転灯、あんどん、ポカヨケ、シングル段取、1個流しなどは別の改善施策です。動作経済や ECRS と無理に同一視しないことが大切です。
基本知識
方法研究の位置づけ
方法研究は、現在の仕事のやり方を調べ、よりよい方法へ改善するための考え方です。作業測定が「何分かかるか」を扱うのに対し、方法研究は「どう変えればよいか」を扱います。
改善の流れは次の順で整理すると覚えやすくなります。
- 現状を記録する。
- 工程、作業、動作、待ち、運搬を分析する。
- ECRSや5W1Hで改善案を出す。
- 動作経済の原則で細かな動作や配置を整える。
- 標準化して定着させる。
ECRSの原則
ECRS は、改善案を作るときの代表的な着眼点です。順序まで含めて覚える必要があります。
- Eliminate
その作業自体をなくせないかを考えます。 - Combine
複数の作業をまとめられないかを考えます。 - Rearrange
順序、場所、担当、配置を変えられないかを考えます。 - Simplify
残した作業をもっと簡単にできないかを考えます。
頻出のひっかけは、S を Standardization と誤記するもの、R を Reschedule や Reduction に置き換えるものです。ECRS の S は Simplify、R は Rearrange です。
5W1Hによる問い直し
5W1H は、作業そのものを疑い直すための枠組みです。現状把握で終わらず、改善の質問として使います。
- Why
なぜ必要なのか - What
何をしているのか、なくせるものはないか - Where
どこで行うべきか - When
いつ行うべきか - Who
誰が行うべきか - How
どのように行うべきか
改善では、最初に What や Why で必要性を疑います。不要な仕事を残したまま How だけ改善しても、本質的な合理化にはなりません。
合理化の3S
合理化の3Sは、全体の効率化を考える基本視点です。
- 標準化
方法、仕様、手順をそろえます。 - 単純化
種類、構造、手順を減らします。 - 専門化
特定の機能や工程に特化します。
ここでの 3S は、整理・整頓・清掃ではありません。運営管理では、略号が似た別概念を混ぜる問題が多いため、文脈で切り分けます。
動作経済の原則
動作経済の原則は、少ない疲労と短い時間で作業できるように、動作や作業場所を設計するための原則です。大きく3分類で覚えます。
- 身体の使用
両手を同時に使う、左右対称で自然な動きにする、必要以上に大きな部位を使わない。 - 作業場所
工具や材料を定位置に置く。頻繁に使うものは正常作業域に置く。照明や姿勢にも配慮する。 - 工具および設備の設計
治具、保持具、ガイド、フットペダル、重力供給、多能工具を使って、持ち替えや位置決めを減らす。
正常作業域と最大作業域の区別も重要です。頻繁に使うものは正常作業域へ置き、使用頻度の低いものを最大作業域へ置くのが基本です。
改善施策の切り分け
改善施策は名前が多いので、「何を減らすか」で整理します。
- 動作経済
ムダな動き、保持、持ち替え、移動を減らします。 - ECRS
作業そのもの、順序、担当、配置の無駄を減らします。 - あんどん
異常を見える化します。 - ポカヨケ
ミスを起こしにくくします。 - シングル段取
段取り替え時間を短くします。 - 1個流し
仕掛在庫やリードタイムを減らします。
この切り分けができると、別論点を混ぜた選択肢をかなり切りやすくなります。
この章のまとめ
- 改善では、まず不要な作業を なくせないか を考えます。ECRS の順序はそのまま改善の優先順位です。
- 5W1H は、How から始めず、Why と What で必要性を疑うのが基本です。
- 合理化の3Sは、標準化、単純化、専門化です。略号だけでなく日本語でも言えるようにします。
- 動作経済の原則は、動作を減らす、自然にする、近くに置く、保持具や治具を使う、という形で覚えると使いやすくなります。
- 改善施策は、「見える化」「ミス防止」「段取り短縮」「流れ化」など狙いが違うため、名称だけでまとめて覚えないことが大切です。
一次試験過去問での出方
2025年第10問、2023年第2回第19問、2020年第21問では、3S、ECRS、5W1H、動作経済の原則が横断的に問われました。略号の一語違いを見抜けるかどうかが得点差になります。
2022年第20問、2017年第15問、2012年第19問では、ECRSをどの分析手法へ適用しやすいかが問われました。工程分析、事務工程分析、連合作業分析のように、手順改善へ直結する手法と、ABC分析のような重点管理手法を分けて考える必要があります。
2019年第21問、2015年第20問、2010年第19問では動作経済の原則、2015年第19問では5W1Hの問い掛け順序、2017年第20問では改善施策の役割分担が出ています。改善策は名前で覚えるのではなく、何を減らす施策かで整理しておくと安定します。