経営情報システム
重要通信プロトコル(OSI参照モデル、TCP/IP)
OSI参照モデル、TCP/IP、HTTP、DNS、IPアドレスを扱う。
通信プロトコル
この章で覚えておきたいこと
- プロトコルは、通信の約束事です。試験では正式名称よりも、何のために使うかで問われます。
- OSI参照モデルは7階層、TCP/IPは4階層で整理します。まずはアプリケーション層、トランスポート層、インターネット層、ネットワークインタフェース層の役割を言えるようにします。
- TCPは信頼性重視、UDPは速度とリアルタイム性重視です。再送制御、順序制御、到達確認があればTCPを疑います。
- DHCPはIPアドレスなどの自動配布、DNSは名前解決です。どちらもIPアドレスに関係しますが、役割はまったく違います。
- ARPはIPアドレスからMACアドレスを求める仕組みです。IPそのものやルーティングと混同しないことが重要です。
- Webは HTTP/HTTPS、メール送信は SMTP、メール受信は POP3 や IMAP、メール本文の拡張は MIME と切り分けます。
- SNMPは機器監視、NTPは時刻同期、NNTPはネットニュースです。略語が似ているので、用途を一気に区別できるようにします。
- CIDR表記の
/nは、ネットワーク部が n ビットという意味です。利用可能ホスト数は通常 2^(32-n)-2 で計算します。
基本知識
OSI参照モデルとTCP/IPの対応
OSI参照モデルは、通信機能を7つの層に分けて整理する考え方です。試験では全階層を細かく暗記するより、どの層で何を扱うかを大づかみに押さえることが重要です。
- 第1層 物理層は、電気信号や光信号、ケーブルなどを扱います。
- 第2層 データリンク層は、同一ネットワーク内でフレームを転送します。MACアドレスやスイッチがここに関わります。
- 第3層 ネットワーク層は、異なるネットワーク間の経路制御を行います。IPアドレスやルータが中心です。
- 第4層 トランスポート層は、端末間通信の制御を担います。TCPやUDP、ポート番号がここに入ります。
- 第5層から第7層は、セッション管理、データ表現、利用者に近い通信サービスを扱います。HTTP、DNS、SMTPなどは上位層の代表例です。
TCP/IPはインターネットで実際に広く使われているプロトコル群です。診断士試験では、次の対応をまず固めます。
- アプリケーション層: HTTP、HTTPS、SMTP、POP3、IMAP、DNS、DHCP、SNMP、NTP、NNTP、MIME
- トランスポート層: TCP、UDP
- インターネット層: IP、ARP
- ネットワークインタフェース層: Ethernet など
2019年第12問では、LANケーブルやリピータハブを物理層、ルータをネットワーク層に対応づける問題が出ました。機器名を見たら、まずどの層の仕事かを考える癖を付けます。
TCPとUDPの違い
TCPとUDPは、どちらもトランスポート層の代表的なプロトコルです。ただし、重視するものが違います。
- TCPは、信頼性を重視します。
- 到達確認を行います。
- 順序制御を行います。
- 必要なら再送制御を行います。
- UDPは、速度や低遅延を重視します。
- 到達確認を行いません。
- 再送制御を行いません。
- リアルタイム性が求められる通信で使いやすいです。
2025年第5問では、「信頼性よりも速度を重視し、通信の確認や再送制御を行わない」という説明からUDPを選ばせました。ここでTCPを選ぶ誤答は非常に多いので、再送するならTCP、再送しないならUDPという軸を固定しておくと安定します。
IP、ARP、DHCP、DNSの役割分担
この4つは、毎年のように取り違えを狙われる重要論点です。すべて「ネットワークで必要な情報」に関わりますが、役割は別です。
- IP
- 論理アドレスを使って宛先を指定します。
- パケットを正しい宛先へ届けるための経路選択に関わります。
- ARP
- IPアドレスからMACアドレスを求めます。
- 同一LAN内で、どの機器にフレームを渡すかを決める場面で使います。
- DHCP
- IPアドレス、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバ情報などを自動配布します。
- 端末に通信設定を配る役目です。
- DNS
- ドメイン名とIPアドレスを対応付けます。
- URLやホスト名から接続先を探すときに使います。
2024年第9問では、DHCPとDNSを逆にした誤りが出ました。2025年第5問では、DHCPとSNMP、IPとARPを入れ替えた誤答が並びました。2019年第11問でも、DHCPとNATの混同、MACアドレスとIPアドレスの混同、ポート番号の役割の誤解が問われています。
誤答を避けるための最小整理は次のとおりです。
- 配るならDHCPです。
- 名前を解くならDNSです。
- 経路と論理アドレスならIPです。
- IPからMACアドレスを引くならARPです。
HTTP/HTTPSとURLの見方
HTTPは、WebブラウザとWebサーバがデータを送受信するときに用いるプロトコルです。HTTPSは、HTTPをSSL/TLSで暗号化したものです。
2022年第7問では、WebブラウザとWebサーバ間の通信としてHTTPを選ばせました。2024年第9問では、SMTPをWeb通信に使うとする誤りが出ました。Webとメールを混同しないことが重要です。
2019年第8問では、https://News.Fishing.jp/test というURLから読み取れる事実が問われました。この問題で押さえるべきことは次のとおりです。
httpsで始まるので、暗号化通信を使うことは分かります。- しかし、そのURLだけで偽サイトかどうかまでは断定できません。
- サーバが日本国内にあるかどうかも分かりません。
wwwが付いていないことは分かっても、それが省略なのか、もともと使っていないのかは別問題です。
つまり、HTTPSから分かるのは、少なくとも暗号化通信を使うという点です。安全そうに見えるから正しいと飛躍しないようにします。
メール系プロトコルと関連規格
メール系は略語が多く、試験で非常によく狙われます。役割を縦に切って覚えると混同しにくくなります。
- SMTP
- クライアントからサーバへメールを送信するときに使います。
- サーバ間でメールを転送するときにも使います。
- POP3
- メールサーバに保存された電子メールを取得するときに使います。
- 受信して端末側へ取り込むイメージです。
- IMAP
- メールサーバ上でメールを管理しながら参照します。
- 複数端末で同じメールボックスを扱いやすいです。
- MIME
- メールでテキストだけでなく、画像、音声、動画、添付ファイルなどを扱うための拡張です。
- 送信プロトコルそのものではありません。
2022年第7問では、HTTP、POP3、MIME、SSL/TLSの組み合わせが問われました。2024年第9問では、MIMEを正答にし、NNTPやSMTPとの取り違えを狙いました。2016年第12問では、Webメール、SMTP、POP3、IMAP、S/MIMEの役割分担が問われています。
この分野の頻出誤答は次のとおりです。
- SMTPを受信側と勘違いする誤り
- POP3とIMAPを送信側と勘違いする誤り
- MIMEを送信プロトコルだと思う誤り
- HTTPとSMTPを入れ替える誤り
迷ったら、送るのはSMTP、受け取るのはPOP3やIMAP、添付や本文拡張はMIMEで切ります。
SNMP、NTP、NNTPなど周辺プロトコル
上位層のプロトコルは、Webやメール以外にも頻出のものがあります。
- SNMP
- ネットワーク機器の情報を収集し、監視や管理を行います。
- ルータやスイッチの状態確認に関わります。
- NTP
- ネットワーク上の機器の時刻を同期します。
- NNTP
- ネットニュースを配送、閲覧するときに使います。
2018年第9問では、SMTP、DHCP、SNMP、NTPを用途で対応づける問題が出ました。2024年第9問では、NNTPを時刻同期に使うとする誤りが置かれました。ここはNTPは time、NNTPは newsと語感で結び付けても構いません。とにかく取り違えないことが優先です。
ポート番号と識別情報
2019年第11問では、ポート番号の意味も問われました。ポート番号は、TCPやUDP通信で相手先アプリケーションを識別する番号です。
- IPアドレスは、通信相手の機器を識別します。
- MACアドレスは、ネットワークインタフェースの識別に使います。
- ポート番号は、機器の中のどのアプリケーションへ渡すかを識別します。
つまり、機器を識別する情報とアプリケーションを識別する情報は別です。この切り分けができると、ネットワーク系の選択肢をかなり削れます。
CIDR計算と頻出のひっかけ
CIDR表記では、/27 のような数字がネットワーク部のビット数を表します。2023年第1回第11問は、この基本をそのまま問う典型問題でした。
172.16.16.32/27 の場合は、次の手順で解きます。
/27なので、ネットワーク部は27ビットです。- ホスト部は
32 - 27 = 5ビットです。 - アドレス総数は
2^5 = 32個です。 - 通常は、ネットワークアドレスとブロードキャストアドレスを使えません。
- したがって、利用可能ホスト数は
32 - 2 = 30個です。
同じことをサブネットマスク 255.255.255.224 から考えても解けます。最後のオクテット 224 は2進数で 11100000 なので、ホスト部は下位5ビットです。
この論点の頻出誤答は次のとおりです。
/27をホスト部27ビットと勘違いする誤り2^5 = 32をそのまま答えて、2個引き忘れる誤り- サブネットマスクを10進数のまま見て、2進数に直さずに混乱する誤り
CIDRは計算問題に見えますが、実際にはネットワーク部とホスト部の意味を理解しているかの確認問題です。
この章のまとめ
- OSI参照モデルは階層ごとの役割整理に使い、実務寄りのプロトコル群はTCP/IPで考えます。
- TCPは信頼性、UDPは速度と低遅延を重視します。再送制御の有無で切り分けると迷いません。
- IPは宛先指定と経路選択、ARPはIPアドレスからMACアドレスへの変換です。
- DHCPは設定自動配布、DNSは名前解決です。頻出の取り違えなので即答できるようにします。
- HTTP/HTTPSはWeb通信、SMTPはメール送信、POP3とIMAPはメール受信、MIMEはメール拡張です。
- SNMPは監視、NTPは時刻同期、NNTPはネットニュースです。略語が似ていても用途は明確に違います。
- ポート番号はアプリケーション識別、IPアドレスは機器識別です。識別対象を混同しないことが重要です。
- CIDR表記の
/nはネットワーク部 n ビットを意味し、利用可能ホスト数は通常2^(32-n)-2で求めます。
一次試験過去問での出方
2025年第5問では、UDP、DHCP、IPの役割対応が問われました。再送しない通信はUDP、設定自動配布はDHCP、経路選択と論理アドレス指定はIPという基本の切り分けがそのまま出ています。
2024年第9問では、DHCP、DNS、MIME、NNTP、SMTPの用途対応が問われました。MIMEをメール拡張として押さえつつ、DHCPとDNS、NTPとNNTPを混同しないことが得点の分かれ目です。
2023年第1回第11問では、
172.16.16.32/27と255.255.255.224から利用可能ホスト数を計算させました。/27ならホスト部は5ビット、利用可能ホスト数は30個です。2022年第7問では、HTTP、POP3、MIME、SSL/TLSの役割対応が問われました。Web通信、メール受信、メール拡張、暗号化通信を一問で整理させる典型問題です。
2019年第8問では、
https://で始まるURLから何が分かるかが問われました。HTTPSで暗号化通信を使うことは分かっても、偽サイトかどうかやサーバ設置場所までは断定できません。2019年第11問では、DHCP、NAT、MACアドレス、ポート番号の役割の違いが問われ、2019年第12問ではOSI参照モデルと機器の対応が問われました。識別情報と階層の切り分けが重要です。
2018年第9問と2016年第12問では、SMTP、DHCP、SNMP、NTP、POP3、IMAP、S/MIMEなどが出ています。通信プロトコルは単独暗記ではなく、用途ごとのまとまりで整理しておくと対応しやすいです。