経営情報システム
標準ネットワーク関連技術(IoT、5G、エッジコンピューティング等)
IoT、5G、エッジコンピューティングを用語と用途で整理する。
ネットワーク関連技術
この章で覚えておきたいこと
- IoT は、センサーや機器などのモノをネットワークへ接続し、データ収集、監視、制御、分析に使う仕組みです。Webサイトがあるだけでは IoT にはなりません。
- 5G は、第5世代移動通信システムです。高速大容量、低遅延、多数同時接続 が軸であり、IoT の通信基盤としても使われます。
- エッジコンピューティング は、IoT機器やその近くのコンピュータで処理する考え方です。即時性が必要な処理に向き、クラウドとは対立ではなく役割分担で考えます。
- LPWA は、広域 かつ 低消費電力 で少量データを送る IoT 向け通信技術です。高速大容量通信とは逆の特徴です。
- RFID は、電波を用いてタグ情報を非接触で読み書きする技術です。バーコードやQRコードのような光学読取りではありません。
- パッシブタグ は内蔵電源を持たず、アクティブタグ は電池を内蔵します。この違いは頻出です。
- ウェアラブルデバイス は身に着けて使う端末であり、生活、健康、スポーツなどのデータ収集に使われます。
- AR は拡張現実です。現実空間へデジタル情報を重ねる技術であり、AIやVRとは別物です。
基本知識
IoTとセンサー
IoTは Internet of Things の略で、設備、家電、車両、商品、計測機器などをネットワークへつなぎ、状態や利用状況をデータとして取得して活用する仕組みです。遠隔監視、設備保全、物流追跡、スマートメーター、健康管理などが代表例です。
試験では、「既存のWebサイトを持っていれば IoT が実現する」といった説明は誤りです。IoTには、少なくとも次の要素が必要です。
- センサーや識別子などのデータ取得手段
- 通信機能
- データを蓄積、分析、表示する基盤
- 必要に応じて制御へ返す仕組み
センサーの役割の混同も狙われます。サーミスタ は温度に応じて抵抗値が変化する素子であり、温度センサーとして使われます。方位センサーではありません。
5GとLPWAの使い分け
5Gは移動通信網の高度化を表す技術で、次の3点で整理します。
- 高速大容量: 高精細映像や大きなデータの送受信に向きます。
- 低遅延: 遠隔制御や即時応答が必要な場面に向きます。
- 多数同時接続: 多数の端末が同時につながる環境に向きます。
一方、LPWAは低消費電力で広い範囲をカバーする通信技術です。電池で長期間動かしたい機器や、少量データを断続的に送る用途に向きます。たとえば検針、設備監視、位置追跡、環境計測などです。
このため、5GとLPWAは競合というより用途が異なります。
- 5G: 大容量、低遅延、多数接続が欲しい場面
- LPWA: 少量データを長距離かつ省電力で送りたい場面
選択肢で LPWAを高速大容量通信と説明していたら誤り と判断します。
エッジコンピューティングとクラウドの役割分担
エッジコンピューティングは、データをすべて遠くのクラウドへ送ってから処理するのではなく、IoT機器やその近くで処理する考え方です。利点は次のとおりです。
- 遅延を小さくできる
- 通信量を減らせる
- 通信が不安定でも現場側で処理を続けやすい
たとえば、工場の異常検知、監視カメラ映像の一次判定、店舗での即時制御などはエッジと相性がよいです。
ただし、エッジだけで完結するとは限りません。長期保存、全体最適の分析、機械学習モデルの更新などはクラウドが向きます。したがって、試験では エッジとクラウドは併用する と考えるのが基本です。
RFIDとタグの違い
RFIDは Radio Frequency Identification の略で、電波を使ってタグ情報を非接触で読み書きする自動認識技術です。タグ、リーダライタ、アンテナなどで構成されます。
バーコードやQRコードはカメラやスキャナで光学的に読み取りますが、RFIDは電波を使います。この違いはそのまま誤答ポイントになります。
RFIDの強みは次のとおりです。
- 複数タグを 一括読取り しやすい
- 見通しがなくても読める場合がある
- 検品、棚卸、物流追跡、資産管理に向く
一方で、タグ単価、導入コスト、金属や液体の影響、既存システムとの対応付けも考える必要があります。そのため、バーコードを全面的に即時置換するとは限らず、既存コード体系と併用する場面があります。
タグは記録方式と電源方式で整理します。
- リードオンリー型: 読出し専用
- ライトワンス・リードメニー型: 1回だけ書込み可能
- リード・ライト型: 繰り返し読書き可能
- パッシブタグ: 内蔵電源を持たない
- アクティブタグ: 電池を内蔵する
特に パッシブタグが内蔵電源を持つ という説明は誤りです。
ウェアラブルデバイスとAR
ウェアラブルデバイスは、スマートウォッチ、活動量計、スマートグラスのように身に着けて使う端末です。身体や行動に近い場所で継続的にデータを取得しやすいため、健康管理、スポーツ、作業支援、顧客行動分析などで使われます。
ARは Augmented Reality の略で、拡張現実と訳されます。現実空間に文字、画像、3Dモデル、案内情報などを重ねて表示する技術です。ここで混同しやすい用語も整理しておきます。
- AR: 現実に情報を重ねる
- VR: 現実を遮断し、仮想空間へ没入する
- AI: 認識、予測、生成などを行う知能的処理
したがって、ARを人工知能そのものとする説明 や、ARを現実世界の完全な置換とする説明 は誤りです。
この章のまとめ
- IoTは、モノ、センサー、通信、蓄積、分析を組み合わせて成立する仕組みです。Webサイトだけで自動的に実現するわけではありません。
- 5Gは 高速大容量、低遅延、多数同時接続 が軸です。LPWAは 広域、低消費電力、少量データ が軸です。
- エッジコンピューティングは処理場所の考え方であり、クラウドと併用します。IaaSやクラウドそのものと混同しないことが重要です。
- RFIDは電波を使う技術であり、バーコードやQRコードの光学読取り、赤外線通信とは別です。
- パッシブタグは内蔵電源を持たず、アクティブタグは電池を内蔵します。ここは定義で切れるようにしておきます。
- サーミスタは温度センサーです。方位や姿勢を測るセンサーではありません。
- ウェアラブルデバイスは、生活、健康、スポーツなどのデータ収集に向きます。ARは現実空間へ情報を重ねる技術です。
- 誤答の多くは、「すべて」「自動的に」「完全に置き換わる」といった 強すぎる表現 にあります。技術の用途と限界をセットで押さえると切りやすくなります。
一次試験過去問での出方
2009年第12問では RFID の利用が問われ、複数タグの一括認識、既存バーコード運用との併用、タグ容量の過大説明を切れるかがポイントでした。RFID は一括読取りに強い一方、既存コード体系との対応付けも必要です。
2017年第8問では AR、IoT、MCN、ウェアラブルデバイスの定義が問われました。AR を AI と混同する誤り、IoT を「既存Webサイトだけで自動実現」とする誤り、ウェアラブルの用途を正しく捉えられるかが分かれ目です。
2025年第3問では RFID の基本定義が問われ、電波利用、タグのメモリ型、パッシブタグの電源方式が論点になりました。カメラ読取りや赤外線通信との混同は典型的な誤答です。
2025年第8問では IoT 関連技術が問われ、エッジコンピューティング、ワンボードマイコンの実行環境、サーミスタ、LPWA の特徴を切り分ける問題でした。IoT は処理場所、センサー、通信方式を分けて整理すると正答しやすくなります。