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NARITAI

経営情報システム

補助

問題分析・意思決定技法(OR、シミュレーション)

OR、シミュレーションを補助論点として短く扱う。

この章で覚えておきたいこと

OR、シミュレーション、確率分布、意思決定基準の要点を整理する図解
  • この論点は出題数が少ない補助論点なので、広く暗記するよりも出た形を確実に取る ことが重要です。
  • ORは、制約条件のある問題を整理し、代替案を比較して意思決定を支援する考え方です。
  • シミュレーションは、現実の状況をモデル化し、条件を変えたときの結果を試して意思決定に役立てる方法です。
  • 確率分布は「何を扱うか」で見分けます。まれな事象の発生回数 ならポアソン分布、発生までの時間や間隔 なら指数分布、非復元抽出 なら超幾何分布です。
  • 不確実性下の意思決定では、マクシマックスは最大値マクシミンは最小値ラプラスは平均値 を見ます。

基本知識

ORとシミュレーションの位置づけ

ORとシミュレーションを会社の意思決定場面で比較する図解

ORは、経営上の問題を数理的に整理し、複数の案を比較して、よりよい選択を支援するための方法です。経営情報システムでは、データ分析やAIと同じく、意思決定を支える道具として位置づけます。

シミュレーションは、実際にやり直すと費用や時間がかかる状況をモデル化し、条件を変えた場合の結果を試す方法です。在庫、需要、待ち時間、品質、投資効果などを事前に検討したいときに使います。

一次試験では、ORやシミュレーションの高度な手法が細かく問われるよりも、意思決定を支える基本的な考え方として出題されます。このトピックでは、名称を広く追うよりも、過去問で出た判断軸を確実に押さえる方が得点につながります。

確率分布の見分け方

ポアソン分布、指数分布、超幾何分布、正規分布を扱う対象で見分ける図解

確率分布の問題では、最初に「何を数えているのか」を確認します。名称の暗記だけでなく、問題文の状況と結び付けて判断することが大切です。

  • ポアソン分布
    まれな事象が、一定時間、一定空間、一定個数の中で何回起こるかを扱います。品質管理で不良品が何個出るか、一定時間に何件問い合わせが来るかのような場面が典型です。
  • 指数分布
    事象が起こるまでの時間や、発生と発生の間隔を扱います。回数ではなく、待ち時間や故障までの時間を見る点が特徴です。
  • 超幾何分布
    有限の母集団から、戻さずに取り出す非復元抽出を扱います。抽出のたびに母集団の構成が変わるときに使います。
  • 正規分布
    平均の周辺に連続値が集まりやすいときに使う代表的な分布です。ただし、確率問題だからといって自動的に正規分布になるわけではありません。

2013年の過去問では、製品3,000個に1個の割合で不良品が出る状況で、1,000個入りの箱に不良品が含まれない確率を求めるときに最も適する分布が問われました。ここで見るべきなのは、低い確率で起きる不良が、一定個数の中で何回発生するか という点です。この形なら、まずポアソン分布を考えます。

また、ポアソン分布は、試行回数が多く、1回ごとの発生確率が小さいときに、二項分布を近似して使う考え方とも結び付きます。試験では近似計算そのものよりも、どの分布を選ぶべきかの見分けが重要です。

不確実性下の意思決定基準

マクシマックス、マクシミン、ラプラスを最大値、最小値、平均値で見分ける図解

市場の状態ごとの利益表や損失表が与えられていても、それぞれの状態がどの確率で起こるか分からないことがあります。そのようなときに使うのが、不確実性下の意思決定基準です。

  • マクシマックス原理
    各案の最大値だけを取り出し、その中で最も大きい案を選びます。最良の結果を重視する、楽観的な基準です。
  • マクシミン原理
    各案の最小値だけを取り出し、その中で最も大きい案を選びます。最悪の結果を重視する、慎重な基準です。
  • ラプラスの原理
    各状態の確率が分からないときに、すべて等確率とみなし、各案の平均値で比較します。

2018年の過去問では、新商品A、B、Cの利益予測表を使い、どの基準でどの商品が選ばれるかが問われました。こうした問題では、原理名を見てすぐに選択肢を選ばず、先に各案の最大値、最小値、平均値を整理すると安定します。

解く手順は次の順です。

  1. 各案について、最大値、最小値、平均値をそれぞれ計算します。
  2. マクシマックス原理なら最大値だけを比較します。
  3. マクシミン原理なら最小値だけを比較します。
  4. ラプラスの原理なら平均値を比較します。
  5. 基準ごとの結論を整理してから選択肢と照合します。

名称が似ているため、マクシマックスとマクシミンは取り違えやすいです。マクシマックスは最大の中の最大マクシミンは最小の中の最大 と整理しておくと誤りにくくなります。

この章のまとめ

OR、シミュレーション、確率分布、意思決定基準の最終確認ポイントをまとめる図解
  • ORは、制約条件のある問題を整理し、代替案を比較して意思決定を支援する方法です。
  • シミュレーションは、現実をモデル化し、条件変更の結果を事前に試す方法です。
  • 確率分布は「回数なのか、時間なのか、抽出なのか」を見て選びます。
  • まれな事象の発生回数ならポアソン分布、発生までの時間や間隔なら指数分布、非復元抽出なら超幾何分布です。
  • 不確実性下の意思決定では、マクシマックスは最大値、マクシミンは最小値、ラプラスは平均値で判断します。
  • この論点は、細かな周辺知識を広げるより、分布の見分け方と意思決定基準の読み分けを確実にすることが重要です。

一次試験過去問での出方

2013年第24問では、不良品が低い確率で発生する状況から、箱ごとの不良品数をどう扱うかが問われました。ポイントは、一定個数の中で起こるまれな事象の回数として捉え、ポアソン分布を選ぶことです。

2018年第25問では、利益予測表を用いて、マクシマックス原理、マクシミン原理、ラプラスの原理でどの商品を選ぶかが問われました。ポイントは、最大値・最小値・平均値のどれを見る基準か を正確に切り分けることです。

このトピックでは、ORやシミュレーションを広く論じる問題よりも、表や条件文から適切な考え方を選ばせる問題が中心です。見慣れない用語に引っ張られず、何を比較しているのかを先に確認することが得点の近道です。