経営情報システム
重要ソフトウェア開発(プロセス中心アプローチ、データ中心アプローチ、オブジェクト指向)
DFD、ER図、UML、オブジェクト指向の主要概念を比較して扱う。
この章で覚えておきたいこと
- DFD は データの流れと処理の関係 を表します。
- ER図は データ構造とエンティティ間の関係 を表します。
- UML は オブジェクト指向分析・設計で使うモデリング言語 です。
- ユースケース図は 利用者と機能、クラス図は 静的構造、シーケンス図は 時系列のやり取り、アクティビティ図は 処理の流れ、状態マシン図は 状態と遷移 を表します。
- クラス、インスタンス、メソッド、メッセージ、継承、カプセル化、多相性は定義の入れ替えが頻出です。
- クラス図の多重度は、反対側の1つに対してその側がいくつ対応するか を読みます。
基本知識
プロセス中心アプローチとDFD
プロセス中心アプローチは、業務やシステムを処理の流れから捉える考え方です。代表的な図が DFD で、外部実体、処理、データストア、データフローの4要素で表します。
DFD は、どこからデータが入り、どの処理を通り、どこへ保存や出力がされるかを示す図です。時間順の詳細手順や画面遷移そのものを表す図ではありません。2023年度第1回第17問でも、この基本定義の理解がそのまま問われました。
データ中心アプローチとER図
データ中心アプローチは、業務の変化に比べて比較的安定しやすいデータ構造を先に整理する考え方です。ER図では、顧客、商品、受注のような エンティティ、氏名や単価のような 属性、顧客が注文するといった リレーションシップ を表します。
ER図は、データベースの概念設計や論理設計に使う図です。状態遷移や物理的な記憶領域の配置を表す図ではありません。DFD と ER図は、どちらも設計図ですが、着目点が違います。
UMLの位置づけ
UML は Unified Modeling Language の略で、オブジェクト指向分析・設計で使う統一的な表記法です。ここで重要なのは、UML は開発手順そのものではない という点です。
UML を使うと設計内容を関係者で共有しやすくなりますが、UML を書けば自動的にシステムが完成するわけではありません。また、ウォーターフォール専用という理解も誤りです。
UMLダイアグラムの役割分担
ユースケース図は、利用者とシステム機能の関係を表します。クラス図は、クラス、属性、操作、関連、多重度などの静的構造を表します。シーケンス図は、オブジェクト間のメッセージ交換を時系列で追う図です。
アクティビティ図は業務や処理の流れ、状態マシン図は状態とイベントによる遷移を表します。2023年度第2次第12問では、この役割分担を入れ替えた選択肢が問われました。
オブジェクト図やコミュニケーション図も周辺知識として出ることがありますが、まずは上の主要図を確実に区別することが優先です。
オブジェクト指向の基本概念
オブジェクト指向では、対象を 状態と振る舞いを持つオブジェクト として捉えます。クラスは設計図、インスタンスはそこから作られた具体的な実体です。
メソッドはオブジェクトの振る舞いであり、メッセージはそのメソッド実行を依頼するものです。2024年度第3問では、多相性、インスタンス化、継承、カプセル化の定義の入れ替えが問われました。
カプセル化はデータと処理をまとめ、内部を隠蔽する考え方です。継承は下位クラスが上位クラスの属性や機能を引き継ぐ仕組みです。多相性は、同じ操作でも対象に応じて異なる振る舞いをする性質です。
クラス図の多重度
クラス図の関連線に書かれた 1、0..1、0..*、1..* などの多重度は、反対側の1つのオブジェクトに対して、その側のオブジェクトがいくつ対応するかを表します。
例えば、顧客と注文の関係で注文側に 0..* があれば、1人の顧客に対して注文が0件以上あり得るという意味です。記号が付いた側をそのまま読むのではなく、反対側との対応 として読む点が重要です。
この章のまとめ
- 図法問題は、まず 何を表す図か を決めると切りやすくなります。
- DFD はデータの流れ、ER図はデータ構造、UML はオブジェクト指向の表記法という3本柱を崩さないことが大事です。
- UML ダイアグラムは、それぞれ用途が違います。利用者と機能、静的構造、時系列、処理手順、状態遷移を混同しないようにします。
- オブジェクト指向の用語は、定義を短く言い換えられる状態まで落とし込むと、空欄補充と正誤判定の両方に効きます。
- クラス図の多重度は、記号の形ではなく どの対応関係を示しているか で読む癖を付けます。
一次試験過去問での出方
2023年度第1回第17問では DFD、ER図、UML の説明対応、2023年度第2次第12問では UML ダイアグラムの役割分担、2024年度第3問ではオブジェクト指向の継承、カプセル化、多相性、インスタンス化が問われました。古い年度でも DFD、ER図、クラス図、多重度は繰り返し出ており、図法の目的とオブジェクト指向用語の定義 がこのトピックの中心です。