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情報システムの適用領域

この章で覚えておきたいこと

情報システムの適用領域を対象と目的で切り分ける全体像

この論点は、略語の正式名称を覚えるだけでは不十分です。試験では、「誰に関する情報を扱うか」「どの業務を支援するか」「何を改善したいのか」で選択肢を切り分けます。

基本知識

まずは「対象」と「目的」で切り分ける

対象と目的から略語を切り分ける判断軸

似た横文字が並んだときは、最初に対象を見ます。

この切り分けができると、略語問題の多くは解けます。逆に、クラウド、AI、最適化のような広い言葉に引っ張られると誤答しやすくなります。

SCMは「企業間を含む全体最適」が軸です

SCMが調達から販売までの供給連鎖全体を最適化する様子

SCM は Supply Chain Management の略です。原材料の調達、生産、在庫、物流、販売、納品までを一つの流れとして捉え、供給連鎖全体で最適化します。

SCMで重視するのは次の観点です。

ここで重要なのは、SCMは自社内だけでは完結しない点です。取引先、物流事業者、小売なども含めて情報共有することで効果が出ます。

過去問では、企業間取引を支える標準コードもこの文脈で出ます。EDI で使う標準企業コード、GLN、UN/EDIFACT などは、受発注や出荷のデータを共通ルールでやり取りするための基盤です。コードの名前を丸暗記するより、「何を識別するコードか」で押さえるほうが安定します。

CRMは「顧客との関係維持」、SFAは「営業活動支援」です

CRM、SFA、CTIの対象業務と役割の違い

CRM は Customer Relationship Management の略です。顧客属性、購買履歴、問い合わせ履歴、クレーム履歴、キャンペーン反応などを蓄積し、顧客との関係を深めるために使います。

CRMの主な目的は次のとおりです。

一方、SFA は Sales Force Automation の略で、営業担当者の活動を支援する仕組みです。典型機能は次のとおりです。

CRM と SFA は連携することが多いですが、同じものではありません。

さらに、電話応対の現場では CTI が登場します。CTI は Computer Telephony Integration の略で、電話とコンピュータシステムを連携させる仕組みです。着信時に顧客情報を表示したり、通話履歴を残したりできるため、コールセンターやサポート窓口で CRM と組み合わせて使われます。

ERPは「基幹業務の統合」が本質です

ERPが基幹業務を共通データで統合する様子

ERP は Enterprise Resource Planning の略です。会計、販売、購買、在庫、生産、人事などの基幹業務を、共通データを用いて一体的に処理する仕組みです。

ERPの効果として押さえるべき点は次のとおりです。

試験で特に狙われやすいひっかけは、ERPを提供形態で説明する選択肢です。たとえば「クラウド上で動く統合情報システム」という説明は不十分です。クラウド ERP もありますが、オンプレミス ERP もあります。ERP の本質は 基幹業務の統合 にあります。

また、「経営資源の戦略的活用を計画するシステム」という説明も要注意です。ERP は分析や計画だけを行う仕組みではなく、基幹業務プロセスの実行を支える実行系システムとして捉えるのが基本です。

ナレッジマネジメントは「知識を再利用できる形にする」取り組みです

ナレッジマネジメントで知識を共有し再利用する様子

ナレッジマネジメントは、個人の経験やノウハウを組織で共有し、継続的に活用できるようにする考え方です。

対象になるものの例は次のとおりです。

単にファイルを保存するだけでは、ナレッジマネジメントとは言えません。検索しやすく、再利用しやすく、他の担当者が業務改善に使える状態にして初めて意味があります。

この論点は単独出題よりも、CRM、意思決定支援、グループウェア、情報共有の文脈で周辺的に問われやすいです。目的が「知識の蓄積」ではなく、組織学習 や業務品質向上にあることを押さえておきます。

RPAとSEOは「自動化」と「集客」で役割が違います

RPAの定型事務自動化とSEOの検索集客の違い

RPA は Robotic Process Automation の略で、定型的な事務処理をソフトウェアロボットで自動化する技術です。

RPA が向く処理の例は次のとおりです。

RPA は物理的なロボットではありません。工場や倉庫の搬送ロボットと混同しないことが重要です。

SEO は Search Engine Optimization の略で、検索エンジン最適化を指します。検索結果で自社サイトが見つかりやすくなるよう、ページ構成やコンテンツを改善する取り組みです。

SEO は集客施策であり、顧客情報の一元管理ではありません。顧客に合った提案をする仕組みは CRM 側の話です。試験では、SEO と CRM の役割の違いを問うひっかけが出やすいです。

Webマーケティング指標は「何を測るか」で覚えます

Webマーケティング指標を測る行動別に整理した図解

Webマーケティングの指標は、名称が似ているため混同しやすいです。次のように整理すると判定しやすくなります。

購入、申込、会員登録など、サイトの目的行動を達成した割合です。

顧客や会員が解約、離反した割合です。サブスクリプション型サービスで特に重要です。

最初の1ページだけ見て、他ページへ移動せずに離れた割合です。

特定ページを最後にサイトから離れた割合です。

1回の訪問でどれだけページを閲覧したかを見る指標です。

ここでの頻出論点は次の2組です。

LTVは「利益 × 継続期間」で考えます

LTVを利益と継続期間から考える図解

LTV は Life Time Value の略で、顧客生涯価値を表します。顧客が取引期間全体で企業にもたらす価値を見る指標です。

試験では、簡便計算として次の形がよく使われます。

さらに、解約率が一定と仮定されるときは、平均継続期間を次で求めます。

たとえば、月間平均利益が 10,000 円、月次解約率が 5% なら、平均継続期間は 20 か月です。したがって LTV は 200,000 円になります。

この種の問題では、問題文が与えた式を素直に使うことが重要です。割引率や顧客獲得コストが書かれていないのに、勝手に複雑な計算へ広げないようにします。

この章のまとめ

情報システム適用領域を対象・目的・指標で最終確認する図解

一次試験過去問での出方

- 2012年 第14問では、EDI で用いる標準企業コード、GLN、UN/EDIFACT の関係が問われました。SCM や企業間連携の基盤として、何を識別するコードかを区別できるかが論点でした。

- 2015年 第13問では、CRM、ERP、クラウドソーシング、インソーシングの定義が並びました。用語の響きではなく、対象業務と目的で切り分ける問題でした。

- 2019年 第15問では、ERP システムの説明として最も具体的で適切なものを選ばせました。基幹業務を統合パッケージで連携させる実行系システムという理解が必要でした。

- 2020年 第14問と 2023年度第2回 第14問では、コンバージョン率、チャーン率、直帰率、離脱率、回遊率が出題されました。Web 指標は繰り返し問われるため、定義の違いを確実に押さえる必要があります。

- 2021年 第23問では、月額課金サービスの LTV 計算が出題されました。解約率の逆数から平均継続期間を求める形はそのまま使えるようにしておきます。

- 2025年 第17問では、AR、CTI、RPA、SEO、SFA の略語が問われました。特に SFA と CRM、RPA と物理ロボット、SEO と顧客管理の取り違えに注意が必要です。

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