中小企業経営・中小企業政策
標準相談・情報提供・診断助言
相談窓口、情報提供、専門家派遣、診断助言の利用場面を押さえる。
この章で覚えておきたいこと
- この章の最重要論点は、相談窓口、実施主体、認定主体 を混同しないことです。
- 商工会・商工会議所 は、地域の 一次相談窓口 です。
- よろず支援拠点 は、国が各都道府県に置く ワンストップ相談窓口 です。
- 中小企業基盤整備機構 は、専門家派遣などを行う 実施主体 です。
- 認定経営革新等支援機関 は、国が認定する 専門支援機関 です。窓口そのものではありません。
- 伴走支援 は、対話と傾聴、気づき・腹落ち、自走化 で覚えます。
基本知識
相談窓口と認定主体は別だと考える
最初に固定する暗記軸は次の3つです。
- 商工会・商工会議所・よろず支援拠点 = 相談窓口
- 中小企業基盤整備機構 = 支援事業の実施主体
- 認定経営革新等支援機関 = 国の認定制度
地域の支援機関と連携しながら中小企業・小規模事業者が抱える経営課題に対応する ワンストップ相談窓口 として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置しています。
認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を 経営革新等支援機関として認定 することにより、中小企業に対して 専門性の高い支援 を行うための体制を整備するものです。
出典: 中小企業庁「経営支援体制」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/network/
試験では、「相談できる先はどこか」と「国が認定した支援機関は何か」をわざと入れ替えてきます。制度名ではなく 役割 で判定します。
商工会・商工会議所は身近な一次相談窓口
ここは 目的条文 と 事業条文 を一気に覚えます。目的だけでなく、実際に 相談 と 情報提供 を行うことまで条文で押さえると強いです。
第三条 商工会は、その地区内における商工業の 総合的な改善発達 を図り、あわせて 社会一般の福祉の増進 に資することを目的とする。
第十一条 商工会は、第三条の目的を達成するため、次に掲げる事業の全部又は一部を行うものとする。
一 商工業に関し、相談に応じ、又は指導を行うこと。
二 商工業に関する 情報又は資料を収集し、及び提供すること。
三 商工業に関する調査研究を行うこと。
四 商工業に関する講習会又は講演会を開催すること。
五 展示会、共進会等を開催し、又はこれらの開催のあつせんを行うこと。
六 商工業に関する施設を設置し、維持し、又は運用すること。
七 商工会としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること。
八 行政庁等の諮問に応じて、答申すること。
九 社会一般の福祉の増進に資する事業を行うこと。
十 前各号に掲げるもののほか、商工業者の委託を受けて当該商工業者が行うべき事務(その従業員のための事務を含む。)を処理し、その他商工会の目的を達成するために必要な事業を行うこと。
出典: e-Gov 法令検索「商工会法」
https://elaws.jp/view/335AC0000000089
第六条 商工会議所は、その地区内における商工業の 総合的な改善発達 を図り、兼ねて 社会一般の福祉の増進 に資することを目的とする。
第九条 商工会議所は、その目的を達成するため、左に掲げる事業の全部又は一部を行うものとする。
一 商工業に関し、相談に応じ、又は指導を行うこと。
二 商工業に関する 情報又は資料を収集し、又は刊行すること。
三 商工業に関する調査研究を行うこと。
四 商工業に関する講演会又は講習会を開催すること。
五 商工業に関する施設を設置し、維持し、又は運用すること。
六 商工業に関する見本市、博覧会等を開催し、又はこれらの開催のあつせんを行うこと。
七 商事取引に関する仲介又はあつせんを行うこと。
八 商事取引の紛争に関するあつせん、調停又は仲裁を行うこと。
九 輸出品の原産地証明を行うこと。
十 商工会議所としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること。
十一 行政庁等の諮問に応じて、答申すること。
十二 社会一般の福祉の増進に資する事業を行うこと。
十三 前各号に掲げるものの外、商工会議所の目的を達成するために必要な事業を行うこと。
出典: e-Gov 法令検索「商工会議所法」
https://elaws.jp/view/328AC1000000143
この節で必ず覚える語句は次の4つです。
- 総合的な改善発達
- 社会一般の福祉の増進
- 相談に応じ、又は指導を行うこと
- 情報又は資料を収集し、及び提供すること / 又は刊行すること
よろず支援拠点は総合相談窓口であり、認定制度ではない
よろず支援拠点は、名称より ワンストップ と 無料相談 を先に出せるようにします。
地域の支援機関と連携しながら中小企業・小規模事業者が抱える経営課題に対応する ワンストップ相談窓口 として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置しています。
経営コンサルティング、ITやデザイン、知的財産等の様々な分野の専門家が中小企業・小規模事業者等が抱える様々な経営課題の 相談に無料で対応 しています。経営課題が明確でない中小企業・小規模事業者等に対しても、経営課題の分析、的確な支援機関の紹介、複合的な課題へのチーム支援等を行っています。
出典: 中小企業庁「経営支援体制」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/network/
したがって、よろず支援拠点は 相談窓口 と即答します。認定経営革新等支援機関 と同じ欄に並んでいても、役割はまったく別です。
中小企業基盤整備機構は専門家派遣や支援事業の実施主体として出やすい
ここは 誰が専門家を派遣するのか を問う問題に備える節です。相談窓口ではなく、支援の 実施主体 として暗記します。
経営課題の解決に取り組む中小企業・小規模事業者を対象に、豊富な経験と実績を持つ専門家を一定期間派遣し、アドバイスを実施します。主体的に取り組んでいただくことで、支援終了後も 自立的・持続的に成長可能な仕組みづくり をサポートします。
各地域本部にシニア中小企業アドバイザーを配置し、案件ごとに支援全体をコーディネートします。事前の調査・課題設定から支援内容の提案および専門家チームの編成、支援の進捗管理から成果の評価、さらには派遣終了後のフォローまで、一社一社丁寧にサポート します。
次の最寄りの地域本部に電話で お申し込み ください。
出典: 独立行政法人中小企業基盤整備機構「ハンズオン支援(専門家派遣)」
https://www.smrj.go.jp/sme/consulting/hands-on/
この節の暗記ポイントは次の3つです。
- 中小機構 = 専門家派遣の実施主体
- 申込先 = 最寄りの地域本部
- 支援の狙い = 自立的・持続的に成長可能な仕組みづくり
認定経営革新等支援機関は専門家の認定制度
認定経営革新等支援機関は、拠点名ではなく 認定された支援者の資格・制度 です。
認定経営革新等支援機関(認定支援機関)とは、中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定 を受けた支援機関(税理士、税理士法人、公認会計士、中小企業診断士、商工会・商工会議所、金融機関等)です。
自社の潜在力・底力を引き出し、経営の強化につなげるために、ぜひ各分野の専門家である認定支援機関をご活用ください。
出典: ミラサポplus「認定支援機関」
https://mirasapo-plus.go.jp/supporter/certification/
中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行され、中小企業に対して 専門性の高い支援事業 を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。
認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を 経営革新等支援機関として認定 することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。
出典: 中小企業庁「経営支援体制」
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/network/
ここは次の対比を一息で言えるようにします。
- よろず支援拠点 = ワンストップ相談窓口
- 認定経営革新等支援機関 = 国が認定した専門支援機関
伴走支援は対話と傾聴から始まる
伴走支援は、解決策の押し付けではなく、経営者の 気づき と 自走化 を引き出す支援です。
「経営力再構築伴走支援」は、経営者等との 「対話と傾聴」 を通じて、事業者の 「本質的課題」 に対する経営者の 「気づき・腹落ち」 を促すことにより 「内発的動機付け」 を行い、事業者の 「能動的行動・潜在力」 を引き出し、「自己変革・自走化」 を目指す支援方法。
経営者の「腹落ち」には、経営者自らの頭の中にある想いを第三者(支援者)に伝えて「言語化」することが重要。支援者は、相手の言葉にしっかりと耳を傾け(傾聴)、共感を示しつつ、適切な問いかけを通じて、相手の想いを整理し、具体的な形に導いていくことが必要。
要素1: 対話と傾聴による信頼関係の構築
要素2: 気づきを促す課題設定型コンサルテーション
要素3: 経営者の「自走化」のための「内発的動機づけ」と「潜在力」の引き出し
出典: 中小企業庁「経営力再構築伴走支援ガイドライン」概要資料
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/keiei_bansou/003/002.pdf
この節で必ず覚える語句は次の5つです。
- 対話と傾聴
- 気づき・腹落ち
- 内発的動機付け
- 能動的行動・潜在力
- 自己変革・自走化
旧施策の問題は、今の制度に機械的に読み替えない
この分野は、過去問で旧制度名がそのまま出ます。したがって、現行制度に無理に置き換えず、まず 出題当時の制度として正誤判定 します。
ただし、暗記の整理は現行の役割で十分です。
- 地域の身近な相談先か
- ワンストップ総合相談窓口か
- 専門家派遣などの実施主体か
- 国の認定制度か
- 対話と傾聴による伴走支援か
名称が古くても、この役割に戻せれば択一で崩れません。
この章のまとめ
- 商工会・商工会議所は 一次相談窓口 で、条文上も 相談 と 情報提供 が明記されています。
- よろず支援拠点は、各都道府県の ワンストップ相談窓口 です。
- 中小企業基盤整備機構は、専門家派遣などを行う 実施主体 です。
- 認定経営革新等支援機関は、国が認定する 専門支援機関 です。
- 伴走支援は、対話と傾聴、気づき・腹落ち、自走化 の流れで覚えます。
- この章は、制度名ではなく 役割 で切り分ければ得点しやすいです。
一次試験過去問での出方
旧施策の個別論点が出ても、実際に問われるのは「誰が相談窓口か」「誰が実施主体か」「誰が認定主体か」「伴走支援の考え方は何か」という役割の切り分けです。商工会・商工会議所、よろず支援拠点、中小機構、認定経営革新等支援機関、伴走支援をこの順で整理しておけば、制度名が少し古くても対応できます。