雇用人材支援・取引適正化・官公需支援
この章で覚えておきたいこと
- 中退共は 従業員向け、小規模企業共済は 経営者向け です。
- 中退共の新規加入助成は 掛金月額の2分の1、上限5,000円 が頻出です。
- 中小受託取引適正化法(取適法、旧: 下請法)は 委託類型、資本金基準・従業員基準、委託事業者の義務・禁止行為 を問う法律です。
- 取適法の支払期日は 給付の受領日から60日以内、遅延利息は 年14.6% です。
- 旧年度過去問は旧称の下請法、旧用語の親事業者・下請事業者で出るため、現行名称と対応づけます。
- 官公需支援は、中小企業者の受注機会の増大 を目的とする政策です。
基本知識
中小企業退職金共済制度
制度目的を条文で固定します。
この法律は、中小企業の従業員について、中小企業者の相互扶助の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もつてこれらの従業員の福祉の増進と中小企業の振興に寄与すること等を目的とする。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業退職金共済法 第1条
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000160
ここでまず、従業員向け と固定します。
中小受託取引適正化法(取適法)
取適法は、製造委託等の取引内容 と 資本金基準・従業員基準 の両面で適用対象を判定します。旧年度過去問では旧称の下請法、旧用語の親事業者・下請事業者で問われます。試験対策では、旧称を見たら現行の取適法につながる制度だと読み替えます。
新規加入掛金助成は、初めて中退共制度に加入する事業主に対して、従業員ごとに掛金月額の2分の1の額(上限5,000円)を、加入後4か月目から1年間国が助成する制度です。
出典: 中小企業退職金共済事業本部
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/
取適法は、委託事業者による製造委託等代金の支払遅延等を防止し、中小受託事業者の利益を保護することを目的とする法律です。
出典: e-Gov 法令検索 中小受託取引適正化法 第1条・第2条
https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120
中退共と取適法で落とせない数字・語句は次の3つです。
- 2分の1
- 上限5,000円
- 取適法は 中小受託事業者の利益の保護
旧法ベースの過去問では、次の資本金表で処理します。
| 委託類型 | 親事業者 | 下請事業者 | 覚え方 | |---|---|---|---| | 製造委託・修理委託 | 資本金3億円超 | 資本金3億円以下 | 3億円ライン | | 製造委託・修理委託 | 資本金1,000万円超3億円以下 | 資本金1,000万円以下 | 1,000万円ライン | | 情報成果物作成委託・役務提供委託(政令で3億円基準になるものを除く) | 資本金5,000万円超 | 資本金5,000万円以下 | 5,000万円ライン | | 情報成果物作成委託・役務提供委託(政令で3億円基準になるものを除く) | 資本金1,000万円超5,000万円以下 | 資本金1,000万円以下 | 1,000万円ライン |
現行の取適法では、資本金基準に加えて従業員基準が入るなど適用範囲が拡大しています。現行名称で問われたら 委託事業者、中小受託事業者、特定運送委託 まで意識します。ただし旧年度過去問の正誤判定では、まず上の旧法ベースの資本金表を使います。
委託事業者の義務と支払期日
ここは数字の暗記論点です。
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日から起算して六十日の期間内で、できる限り短い期間内に定めなければなりません。
出典: e-Gov 法令検索 中小受託取引適正化法 第3条第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120
委託事業者は、製造委託等代金の支払期日までに製造委託等代金を支払わなかつたときは、中小受託事業者に対し、給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、遅延利息を支払わなければならない。
出典: e-Gov 法令検索 中小受託取引適正化法 第6条第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000120
必須暗記は次です。
- 受領日から60日以内
- 年14.6%
義務と禁止行為は分けて覚えます。
| 区分 | 内容 | 典型的なひっかけ | |---|---|---| | 義務 | 発注書面の交付 | 口頭発注だけでよい、とする | | 義務 | 製造委託等代金の支払期日を定める | 検査完了日から60日以内、とする | | 義務 | 取引記録の書類作成・保存 | 保存義務を任意扱いにする | | 義務 | 遅延時の遅延利息支払 | 年14.6%を別の数字にする | | 禁止行為 | 受領拒否、返品、不当な給付内容変更・やり直し | 下請事業者に責任がない場合でも可能、とする | | 禁止行為 | 製造委託等代金の減額、買いたたき、支払遅延 | 合意があれば常に可能、とする | | 禁止行為 | 割引困難な手形等の交付 | 支払手段なら何でもよい、とする | | 禁止行為 | 物の購入強制、報復措置 | 取引条件だから自由、とする |
下請中小企業振興法と振興基準
振興法は「禁止」ではなく「振興」の法律です。試験では、下請法と違って 振興・助言・基準 の側に立つことを見ます。
下請中小企業振興法は、下請中小企業の振興を図るため、親事業者と下請事業者との望ましい取引関係の在り方を示す振興基準を定め、その普及を図る仕組みである。
出典: 中小企業庁 下請中小企業振興法
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/shinkouhou/
ここでは 振興基準 を必ず覚えます。
パートナーシップ構築宣言
パートナーシップ構築宣言は、価格転嫁や共存共栄の文脈で読みます。
発注元から委託先、更にその委託先と、取引の階層が深くなるにつれて価格転嫁率が低下する傾向があるという実態を踏まえ、企業が、直接の取引先だけでなく、サプライチェーン全体で価格転嫁が可能となるような措置を行う旨や、サプライチェーン全体に宣言の普及を図る旨を宣言できるよう、任意記載事項の拡充を行いました。
出典: 経済産業省 パートナーシップ構築宣言のひな形改正
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250620002/20250620002.html
ここでは 価格転嫁 と サプライチェーン全体 を押さえれば十分です。
官公需支援
目的を法の言葉で押さえます。
国は、中小企業者の官公需の受注機会を増大するために、「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」に基づいて、中小企業者向けの官公需契約目標や目標達成のための措置を内容とする「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」を毎年度閣議決定し、公表しています。
出典: 北海道経済産業局 官公需対策
https://www.hkd.meti.go.jp/information/chusho/kankouju.htm
ここで覚えるべき語句は 受注機会の増大 です。
この章のまとめ
- 中退共は 従業員向け で、新規加入助成は 掛金月額の2分の1、上限5,000円 です。
- 中小受託取引適正化法(取適法、旧: 下請法)の数字は 給付の受領日から60日以内、遅延利息 年14.6% です。
- 旧法ベースの過去問では、委託類型 と 資本金区分 を先に当て、現行名称で問われたら 中小受託取引適正化法(取適法) と読み替えます。
- 委託事業者(旧: 親事業者)の義務は 明示・支払期日設定・書類保存・遅延利息、禁止行為は 受領拒否・返品・減額・買いたたき・支払遅延・割引困難な手形等 をまとめて押さえます。
- パートナーシップ構築宣言は 価格転嫁 と サプライチェーン全体 の文脈で読みます。
- 官公需支援は 中小企業者の受注機会の増大 を目的とする政策です。
一次試験過去問での出方
2024年度第19問では中退共の 対象者 と 新規加入助成 2分の1・上限5,000円、2022年度第21問と2024年度第23問では下請法の 60日以内 と 資本金区分、2024年度第20問ではパートナーシップ構築宣言が問われました。この章は制度名より 数字 と 誰を守る法律か を先に暗記します。