経営革新・新事業展開支援
この章で覚えておきたいこと
- この論点は、制度名、根拠法、計画期間、数字 を対応で暗記する論点です。
- 経営革新計画は 中小企業等経営強化法、計画期間は 3年から5年、数値は 付加価値額又は1人当たり付加価値額が年率3%以上、給与支給総額が年率1.5%以上 です。
- 付加価値額は 営業利益 + 人件費 + 減価償却費 です。
- 経営力向上計画は 事業者が作成して主務大臣が認定、事業分野別指針は 業種ごとの指針 です。
- 事業再構築は、過去問では 新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰 の整理が狙われました。
- デジタル化・AI導入補助金2026(旧: IT導入補助金)は、会計・受発注・決済・EC・セキュリティ などのITツール導入支援です。
- 組合や連携体向け支援は、個社支援ではない ことを先に見抜きます。
- PMIは、M&A後の統合・すり合わせ です。デューデリジェンスやクロージングと混同しません。
基本知識
経営革新計画
まず、根拠法を条文で固定します。
特定事業者は、単独で又は共同で行おうとする経営革新に関する計画(中略。以下「経営革新計画」という。)を作成し、経済産業省令で定めるところにより、これを行政庁に提出して、その経営革新計画が適当である旨の承認を受けることができる。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業等経営強化法 第14条第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000018
ここで必ず覚える語句は次の4つです。
- 経営革新計画
- 特定事業者
- 行政庁の承認
- 単独でも共同でも申請できる
ここでいう行政庁は、計画区分に応じて都道府県知事又は大臣になります。旧資料の「都道府県知事等」という表現を見た場合も、現行条文では 行政庁 と押さえます。
試験では、経営革新計画の根拠法を別の法律にすり替える問題が繰り返し出ます。ここは 中小企業等経営強化法 で即答します。
数値目標と付加価値額
数字は、公式資料の文面をそのまま覚えます。
経営革新計画として承認されるためには、事業期間である3〜5年終了時におけるそれぞれの指標の「伸び率」がポイントとなります。
「付加価値額」又は「1人当たりの付加価値額」の伸び率
3年計画 9%以上
4年計画 12%以上
5年計画 15%以上
「給与支給総額」の伸び率
3年計画 4.5%以上
4年計画 6%以上
5年計画 7.5%以上
出典: 中小企業庁 経営革新計画 進め方ガイドブック
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/pamphlet/2022/kakushin.pdf
上の累計値を、一次試験では年率表現に直して問うことが多いです。したがって、次もセットで暗記します。
- 付加価値額又は1人当たり付加価値額は年率3%以上
- 給与支給総額は年率1.5%以上
付加価値額の定義も数字論点です。
(付加価値額) = (営業利益) + (人件費) + (減価償却費)
出典: 中小企業省力化投資補助金 カタログ注文型とは
https://shoryokuka.smrj.go.jp/catalog/about/
付加価値額は、売上高でも経常利益でもありません。営業利益 + 人件費 + 減価償却費 の3つで切ります。
経営力向上計画と事業分野別指針
ここは、計画 と 指針 の違いを条文で固定します。
主務大臣は、基本方針に基づき、所管に係る事業分野のうち、特定事業者等の経営力向上が特に必要と認められる事業分野を指定し、当該事業分野に係る経営力向上に関する指針(以下「事業分野別指針」という。)を定めることができる。
2 事業分野別指針においては、第三条第二項第二号ロ及びハ(4)から(6)までに掲げる事項に関し、当該事業分野における経営資源を高度に利用する方法の導入の方法その他の当該事業分野における経営力向上に必要な事項を定めるものとする。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業等経営強化法 第16条第1項・第2項
https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000018
特定事業者等は、単独で又は共同で行おうとする経営力向上に関する計画(中略。以下「経営力向上計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを主務大臣に提出して、その経営力向上計画が適当である旨の認定を受けることができる。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業等経営強化法 第17条第1項
https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000018
暗記ポイントは次のとおりです。
- 事業分野別指針: 主務大臣が定める業種別の指針
- 経営力向上計画: 事業者が作成して主務大臣の認定を受ける計画
「指針を企業ごとに国が作る」という選択肢は誤りです。
事業再構築とデジタル化・AI導入補助金2026
事業再構築は、近年出題で頻出の類型整理です。
新市場進出、事業・業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する、中小企業等の挑戦を支援します。
出典: 中小企業庁 事業再構築補助金の第13回公募を開始します
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/2025/250110kobo.html
この論点は、制度名より 類型名 の暗記が先です。
- 新市場進出
- 事業転換
- 業種転換
- 事業再編
- 国内回帰
デジタル化・AI導入補助金2026(旧: IT導入補助金)も、対象ツールと申請枠の種類で切ります。
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助し、業務効率化・売上向上を支援する制度です。
出典: デジタル化・AI導入補助金2026
https://it-shien.smrj.go.jp/
ここで覚える語句は 会計、受発注、決済、EC、セキュリティ です。現行枠としては、通常枠、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠 のように、目的別に整理します。
連携体・組合向けの新事業支援
個社支援ではなく、連携体支援として出る制度もあります。
中小企業組合(事業協同組合、企業組合等)、一般社団法人、任意グループ等
出典: 中小企業庁 令和2年度 中小企業組合等課題対応支援事業の公募
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shinpou/2020/200302kumiai.html
試験では、「対象は組合だけ」と狭く読む選択肢が典型的なひっかけです。一般社団法人、任意グループ まで含むかを確認します。
過去問では、経営革新計画だけでなく、旧制度を含む新事業支援が横並びで出ます。現行制度として固定暗記する部分と、過去問時点の旧制度として処理する部分を分けます(2026年6月時点)。
| 制度・論点 | 主な対象者 | 根拠・位置づけ | 目的 | 試験での判断軸 | |---|---|---|---|---| | 経営革新計画 | 特定事業者 | 中小企業等経営強化法 | 新商品・新役務・新生産方式などの経営革新 | 3〜5年、付加価値額3%、給与支給総額1.5% | | 経営力向上計画 | 特定事業者等 | 中小企業等経営強化法 | 経営資源の高度利用・生産性向上 | 事業者が作成し 主務大臣が認定 | | 新連携 | 複数の中小企業者等 | 旧制度として過去問対策 | 異分野の中小企業者等が連携して新事業活動 | 個社単独ではない、連携体で読む | | 地域資源活用 | 地域資源を活用する事業者 | 旧制度として過去問対策 | 農林水産物等・鉱工業品等・観光資源を活用 | 「誰と連携」ではなく 何を活用 で切る | | 農商工連携 | 中小企業者と農林漁業者 | 農商工等連携促進法 | 双方の経営資源を活用した新商品・新役務等 | 有機的連携、共同作成、国の認定 | | 中小企業組合等課題対応支援 | 組合、一般社団法人、任意グループ等 | 予算事業 | 組合等の調査研究・販路開拓・課題対応 | 組合だけに限定しない |
この表で大切なのは、旧制度名を現行制度へ機械的に読み替えないことです。旧制度ベースの過去問では当時の制度目的・主体で処理し、現行の支援メニューは最新公募情報で確認します。
成長加速化とPMI
M&Aまわりは、PMIの位置づけだけ確実に押さえます。
- PMI: M&A後の統合・すり合わせ
- デューデリジェンス: 買収前の調査
- クロージング: 契約実行・譲渡実行
この3語を混同しなければ、選択肢を切りやすくなります。成長加速化の施策は時期ごとに制度名が変わりやすいので、まずは 成長投資、賃上げ、地域経済への波及 を軸に読めれば十分です。
この章のまとめ
- 経営革新計画は 中小企業等経営強化法、3年から5年、付加価値額等は年率3%以上、給与支給総額は年率1.5%以上 で押さえます。
- 付加価値額は 営業利益 + 人件費 + 減価償却費 です。
- 経営力向上計画は 事業者が作成して主務大臣が認定、事業分野別指針は 主務大臣が定める業種別指針 です。
- 事業再構築は 新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰 の類型で整理します。
- デジタル化・AI導入補助金2026(旧: IT導入補助金)は 会計、受発注、決済、EC、セキュリティ のITツール支援です。
- 連携体支援では、新連携・地域資源活用・農商工連携・組合等課題対応支援 を、対象者、根拠・位置づけ、目的で切り分けます。
- 旧制度は現行制度へ機械的に読み替えず、過去問時点の制度として処理します。
- PMIは M&A後の統合・すり合わせ です。
一次試験過去問での出方
2022年度第20問、2024年度第22問では、経営革新計画の 根拠法、3年から5年、付加価値額等は年率3%以上、給与支給総額は年率1.5%以上 が問われました。2023年度第1回第28問では事業再構築の類型、2025年度第25問・第29問では成長投資や新事業展開支援が問われています。最優先で暗記するのは、制度名ではなく 法律名と数字 です。