中小企業経営・中小企業政策
体系補助事業承継・M&A・事業再生
事業承継税制、再生支援、経営安定支援の背景として整理する。
この章で覚えておきたいこと
- 事業承継は、代表者交代ではなく経営資源の引継ぎ です。株式、事業用資産、人材、取引先、信用、ノウハウまで含めて見ます。
- 承継の形は、親族内承継、従業員承継、第三者承継に分けて整理します。
- M&Aは後継者不足への対応だけでなく、成長戦略やスケールアップの手段としても使われます。
- 事業再生は倒産と同じではなく、事業価値を残しながら立て直す取組です。
このトピックでは、承継、M&A、再生を別々の制度として暗記するよりも、「誰が引き継ぐのか」「何を引き継ぐのか」「なぜ立て直しが必要なのか」を順番に整理すると理解しやすくなります。
基本知識
事業承継で引き継ぐもの
事業承継では、経営者の地位だけでなく、株式、事業用資産、従業員、顧客基盤、仕入先、金融機関との関係、ブランド、営業秘密なども次の担い手へ引き継ぐ必要があります。
親族内承継では相続や株式分散が課題になりやすく、従業員承継では株式取得資金や経営者保証が問題になりやすいです。第三者承継では、買い手探し、企業価値評価、契約条件、統合後の運営が重要になります。
M&Aの位置づけ
中小企業にとってのM&Aは、大企業だけの再編手法ではありません。後継者が見つからない企業が事業を残す手段として使うこともあれば、販路拡大、人材獲得、技術取得、新市場進出のための成長戦略として使うこともあります。
2026年度試験向け白書対策予想問題では、2024年のM&A件数が過去最多の4,700件 であることや、売上規模が大きい企業ほどM&A実施割合が高いことが問われました。数字そのものより、「M&Aが中小企業でも一般的な選択肢になっている」という流れを押さえることが重要です。
事業再生の考え方
事業再生は、収益悪化や資金繰り悪化に対して、返済条件の見直し、経営改善計画、採算事業への集中、スポンサー支援などで立て直しを図る取組です。廃業や破産と異なり、事業価値や雇用を残しながら改善を目指します。
試験では、再生支援を「すでに倒産した後の処理」と誤読しないことが大切です。政策編では、中小企業活性化協議会、再生支援、セーフティネット保証などの制度と結び付きます。
政策章との接続
事業承継は G_07 の事業承継税制、M&A は事業承継・引継ぎ支援、事業再生は G_06 の再生支援・経営安定支援へつながります。背景知識としては、制度名より先に「後継者不足」「成長投資」「資金繰り悪化」という課題を見抜けることが重要です。
この章のまとめ
- 事業承継は人の交代ではなく経営資源の移転 です。
- 承継の選択肢は、親族内、従業員、第三者承継に分けて考えます。
- M&Aは承継対策にも成長戦略にも使われます。
- 事業再生は倒産ではなく、事業価値を残すための立て直しです。
- 政策問題では、承継税制、引継ぎ支援、再生支援のどれに接続する論点かを確認します。
一次試験過去問での出方
- 本試験のカテゴリインデックス上、このトピック自体への直接参照はありません。
- 2026年度試験向け白書対策予想問題の第24問では、M&A件数の増加傾向と、スケールが大きい企業ほどM&A実施割合が高い点が問われました。
- 本試験では、G_07「財務サポート」の事業承継税制、G_06「再生支援・経営安定支援」の制度問題として、承継・再生の背景課題を踏まえて読む形でつながりやすい論点です。