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NARITAI

中小企業経営・中小企業政策

補助

中小企業政策の変遷と役割

政策思想の変化を、基本法と個別施策の背景として短く整理する。

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この章で覚えておきたいこと

中小企業政策の変遷を、格差是正、近代化、1999年改正後の成長発展重視の流れで整理した図解
  • この論点は、年号を1本で暗記する論点です。まず 1963年 → 1999年12月 → 2006年 → 2020年10月1日 を固定します。
  • 1963年制定時の出発点は、諸格差の是正 です。旧法では 生産性の向上取引条件の向上 が軸でした。
  • 1960年代の代表語句は、近代化・高度化 です。ここに 中小企業近代化促進法 を結び付けます。
  • 1999年12月改正後は、多様で活力ある中小企業の成長発展 へ政策思想が転換しました。
  • 改正後に必ず覚える語句は、経営の革新及び創業の促進経営基盤の強化経済的社会的環境の変化への適応の円滑化 です。
  • 2012年度型の並べ替えに備えて、中小ものづくり高度化法は2006年制定、2020年10月1日廃止 まで押さえます。

基本知識

1963年制定時は格差是正が出発点

大企業と中小企業の差を、生産性、賃金、取引条件の観点から是正する発想を示した図解

1963年制定時の旧中小企業基本法は、中小企業を大企業より不利な立場にある存在とみなし、政策の中心を 諸格差の是正 に置いていました。試験では、この旧法の発想を現行法の発想と混同しないことが重要です。

中小企業庁の白書解説では、旧法の政策理念を次のように整理しています。

「諸格差の是正」

「生産性の向上」と「取引条件の向上」

出典: 中小企業庁 2020年版小規模企業白書 第3部第1章第1節
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_1_1.html

ここで必ず覚える語句は次の3つです。

  • 諸格差の是正
  • 生産性の向上
  • 取引条件の向上

1960年代は近代化政策が中心だった

設備更新、共同化、構造改善によって中小企業の近代化と高度化を進める政策を示した図解

旧法の理念を具体化する時代の代表語句が 近代化・高度化 です。並べ替え問題では、この時代を最初に置けるかが重要です。

中小企業庁の政策史解説でも、この時代は近代化政策として整理されています。

「中小企業近代化促進法」

「近代化・高度化」

出典: 中小企業庁 2020年版小規模企業白書 第3部第1章第1節
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_1_1.html

試験対策としては、ここを次の形で覚えると十分です。

  • 旧法の出発点は 格差是正
  • 政策手段は 近代化・高度化
  • 代表法令は 中小企業近代化促進法

1999年改正で中小企業像が変わった

1999年改正後の中小企業が、多様で活力ある成長主体として捉え直されたことを示す図解

1999年12月改正後は、中小企業を「弱者」とみる発想から、多様で活力ある成長主体 とみる発想へ転換しました。ここが旧法との最大の違いです。

中小企業庁の白書解説では、改正後の考え方を次のように整理しています。

「多様で活力ある中小企業の成長発展」

出典: 中小企業庁 2020年版小規模企業白書 第3部第1章第1節
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/shokibo/b3_1_1.html

現行の基本理念でも、中心語句ははっきりしています。

中小企業については、多様な事業の分野において特色ある事業活動を行い、…我が国の経済の基盤を形成しているものであり、…

出典: e-Gov 法令検索 中小企業基本法 第3条
https://elaws.jp/view/338AC0000000154

ここで必ず覚える語句は次のとおりです。

  • 多様で活力ある中小企業の成長発展
  • 特色ある事業活動
  • 我が国の経済の基盤

個別施策は改正後の柱を具体化したもの

経営革新、創業、経営基盤強化、環境変化への適応が個別施策へつながることを示した図解

政策史では3本柱で覚えることが多いですが、条文では第5条の4項目として読む方が安全です。

一 中小企業者の経営の革新及び創業の促進並びに創造的な事業活動の促進を図ること。
二 …中小企業の経営基盤の強化を図ること。
三 …その変化への適応の円滑化を図ること。
四 中小企業に対する資金の供給の円滑化及び中小企業の自己資本の充実を図ること。

出典: e-Gov 法令検索 中小企業基本法 第5条
https://elaws.jp/view/338AC0000000154

この引用のうち、空欄補充で必ず覚える語句は次の5つです。

  • 経営の革新及び創業の促進
  • 経営基盤の強化
  • 適応の円滑化
  • 資金の供給の円滑化
  • 自己資本の充実

さらに、2012年度の並べ替え材料になった 中小ものづくり高度化法 については、政策史として次の事実だけ押さえれば十分です。

「中小ものづくり高度化法」は令和2年10月1日に廃止されました。

出典: 中小企業庁 サポインマッチ・ナビ
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/portal/index.html

したがって、この章は現行制度を細かく覚えるより、旧法 → 1999年改正 → 後続施策 の流れを掴むことが優先です。

この章のまとめ

格差是正、近代化、成長発展、3本柱の順に政策史を確認する解答前チェック図解
  • 1963年制定時の出発点は 諸格差の是正 です。
  • 旧法で覚える具体語句は 生産性の向上取引条件の向上 です。
  • 1960年代の代表語句は 近代化・高度化、代表法令は 中小企業近代化促進法 です。
  • 1999年12月改正後は 多様で活力ある中小企業の成長発展 へ転換しました。
  • 条文問題では、第5条の 経営の革新及び創業の促進経営基盤の強化適応の円滑化資金の供給の円滑化自己資本の充実 まで確認します。
  • 並べ替え用には、2006年制定2020年10月1日廃止 の2点も押さえます。

一次試験過去問での出方

2012年度第27問では、近代化促進法、1999年改正、ものづくり法を 古い順に並べる問題 が出ました。したがって、この論点は「制度の細目」より どの時代の政策か を判定できることが重要です。

2021年度第20問では、1963年制定時の 生産性の向上・取引条件の向上 と、改正後の 経営の革新及び創業の促進・経営基盤の強化・適応の円滑化 が問われました。旧法の語句と現行法の語句を混同しないことが得点差になります。