中小企業経営・中小企業政策
重要中小企業支援事業の実施体制(国、自治体、中小機構、商工会議所等)
国、自治体、中小機構、商工会議所、商工会、よろず支援拠点などの役割を区別する。
中小企業支援事業の実施体制
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この章で覚えておきたいこと
- この論点は、機関名と役割を対応で暗記する論点 です。似た名前を雰囲気で選ばず、制度の立て付けで切り分けます。
- 都道府県等中小企業支援センター は、都道府県が1つだけ指定する法人です。
- 認定経営革新等支援機関 は、2012年創設の認定制度で、金融機関や士業などの 専門家側 を取り込む仕組みです。
- よろず支援拠点 は、国が全国に置く 無料の総合相談窓口 です。
- 商工会 は主として町村、商工会議所 は主として市の区域を基盤にする制度です。
- 中小機構 は、助言、高度化事業、共済、販路開拓などを担う中核機関です。中央会 は組合支援の専門機関です。
- 事業承継・引継ぎ支援センター は公的相談窓口、後継者人材バンク はマッチングの仕組みです。
- 組合論点は、事業協同組合は共同事業、企業組合は組合自体が事業主体、LLPは法人格なし・全員有限責任・構成員課税 の3本で整理します。
基本知識
支援機関の役割分担の全体像
最初に、支援体制を 行政の受け皿、相談窓口、専門家認定制度 に分けて整理します。
都道府県等中小企業支援センターについては、中小企業支援法に明文があります。
都道府県知事は、次の各号に適合する者を、その申請により、当該都道府県に一を限つて指定し、その者(以下「指定法人」という。)に、当該都道府県が行う中小企業支援事業のうち特定支援事業を行わせることができる。
一 申請者が一般社団法人又は一般財団法人であること。
二 申請者が当該特定支援事業を適正かつ確実に実施することができると認められる者であること。
三 申請者が次条第二項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業支援法 第7条第1項
https://elaws.jp/view/338AC0000000147
この条文から、まず次を暗記します。
- 都道府県に一を限って指定
- 一般社団法人又は一般財団法人
2021年度のように支援機関の役割分担が問われるときは、都道府県の受け皿制度なのか、日常の相談窓口なのかを先に切り分けると安定します。
商工会議所、商工会、よろず支援拠点の使い分け
商工会と商工会議所は、どちらも身近な支援機関ですが、地区の考え方が違います。
商工会は、その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、あわせて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする。
出典: e-Gov 法令検索 商工会法 第3条
https://elaws.jp/view/335AC0000000089
商工会の地区は、一の町村の区域とする。 ただし、商工業の状況により必要があるときは、一の市又は二以上の市町村の区域とすることができる。
2 商工業の状況により、特に必要があるときは、前項の規定にかかわらず、市町村の区域の一部を商工会の地区の全部又は一部とすることができる。
3 商工会の地区は、他の商工会の地区又は商工会議所の地区と重複するものであつてはならない。
出典: e-Gov 法令検索 商工会法 第7条
https://elaws.jp/view/335AC0000000089
商工会議所は、その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、兼ねて社会一般の福祉の増進に資することを目的とする。
出典: e-Gov 法令検索 商工会議所法 第6条
https://elaws.jp/view/328AC1000000143
商工会議所の地区は、市(都の区のある地域においては、そのすべての区を合わせたもの。以下同じ。)の区域とする。 ただし、商工業の状況により必要があるときは、町の区域又は市と市町村若しくは町と町村を合わせたものの区域とすることができる。
2 前項ただし書の区域のうち、町の区域又は町と町村を合わせた区域は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第八条第一項第一号から第三号までに掲げる要件を備えたものでなければならない。 ただし、商工業の状況により、特に必要があるときは、この限りでない。
3 商工業の状況により、特に必要があるときは、第一項及び前項本文の規定にかかわらず、市町村の区域の一部を商工会議所の地区の全部又は一部とすることができる。 ただし、一又は二以上の村の区域の一部を商工会議所の地区の全部とすることはできない。
4 商工会議所の地区は、他の商工会議所の地区又は商工会の地区と重複するものがあつてはならない。
出典: e-Gov 法令検索 商工会議所法 第8条
https://elaws.jp/view/328AC1000000143
試験対策では、細かな制度差を深掘りするより次の形で十分です。
- 商工会: 主として町村、小規模事業者に近い
- 商工会議所: 主として市の区域、地域商工業全体を支える
よろず支援拠点は別枠で、無料の総合相談窓口です。
「国が全国に設置した無料の経営相談所」
出典: よろず支援拠点全国本部 事業紹介
https://yorozu.smrj.go.jp/about/
ここで必ず覚える語句は 無料、総合相談、全国に設置 です。
中小機構、中央会、認定支援機関の違い
認定経営革新等支援機関は、窓口ではなく認定制度です。
「税務、金融及び企業財務に関する専門的知識」
出典: 中小企業庁 認定経営革新等支援機関
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/
この制度は、税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関などを支援の担い手として認定する仕組みです。ここで覚えるべき語句は 専門的知識 と 認定制度 です。
一方、中小機構は政策実施側の中核機関です。
「中小企業者への助言、高度化事業」
出典: 中小企業基盤整備機構 プロフィール
https://www.smrj.go.jp/org/about/profile/index.html
ここから次の語句をまとめて覚えます。
- 助言
- 高度化事業
- 共済
- 販路開拓
中央会は、これとは別に 組合支援 の専門機関です。問題で組合向け補助事業や組合の設立・運営支援が出たら中央会を疑います。
事業承継・引継ぎの支援体制
事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継の公的相談窓口です。
「国が47都道府県に設置している公的な相談窓口」
出典: 中小企業基盤整備機構 事業承継・引継ぎ支援センターとは
https://shoukei.smrj.go.jp/about/
後継者人材バンクは、その中でも第三者承継のマッチングを担う仕組みです。
「後継者不在の企業と起業を希望する人材とのマッチング」
出典: 中小企業基盤整備機構 第三者承継支援
https://shoukei.smrj.go.jp/third_party_inherited_support.html
したがって、ここは次の二段で覚えます。
- センター: 公的相談窓口
- 後継者人材バンク: マッチング
事業協同組合の判定軸
事業協同組合では、根拠法、発起人数、議決権の3点が頻出です。
事業協同組合、事業協同小組合、信用協同組合又は企業組合を設立するには、その組合員になろうとする四人以上の者が、発起人とならなければならない。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業等協同組合法 第24条
https://elaws.jp/view/324AC0000000181
組合員は、各々一個の議決権及び役員又は総代の選挙権を有する。
2 組合員は、定款の定めるところにより、第四十九条第一項の規定によりあらかじめ通知のあつた事項につき、書面又は代理人をもつて、議決権又は選挙権を行うことができる。 この場合は、その組合員の親族若しくは使用人又は他の組合員でなければ、代理人となることができない。
3 組合員は、定款の定めるところにより、前項の規定による書面をもつてする議決権の行使に代えて、議決権を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて主務省令で定めるものをいう。第三十三条第四項第三号を除き、以下同じ。)により行うことができる。
4 前二項の規定により議決権又は選挙権を行う者は、出席者とみなす。
5 代理人は、五人以上の組合員を代理することができない。
6 代理人は、代理権を証する書面を組合に提出しなければならない。 この場合において、電磁的方法により議決権を行うことが定款で定められているときは、当該書面の提出に代えて、代理権を当該電磁的方法により証明することができる。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業等協同組合法 第11条
https://elaws.jp/view/324AC0000000181
したがって、事業協同組合は次の形で暗記します。
- 根拠法は 中小企業等協同組合法
- 設立は 4人以上
- 議決権は 1人1票
- 実体は 共同事業
企業組合、協業組合、LLPの判定軸
企業組合は、組合自体が事業主体です。
企業組合は、商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行うものとする。
出典: e-Gov 法令検索 中小企業等協同組合法 第9条の13
https://elaws.jp/view/324AC0000000181
LLPは、次の3語で即答できるようにします。
「法人格を持たない組織」
出典: 経済産業省 LLP制度の概要
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/keizaihousei/llp-lps/llp_seido.html
経済産業省の同ページでは、構成員全員が有限責任、構成員課税 も示されています。したがって、暗記する語句は次の3つです。
- 法人格なし
- 全員有限責任
- 構成員課税
協業組合は、組合員の事業の全部または一部を協業化する制度として整理すれば十分です。
組合向け支援施策の見分け方
組合向け施策では、支援主体まで含めて覚えます。2023年度第2回と2024年度では、組合制度そのものだけでなく、中央会 や 共同物流支援 まで含めて問われました。
ここでは細かな金額暗記よりも、次の骨格を先に固定します。
- 中央会 は組合支援の専門機関
- 中小機構 は幅広い政策実施機関
- 組合の共同事業には 共同物流 や 共同施設整備 の支援が結び付く
この章のまとめ
- 支援体制は、行政の受け皿、相談窓口、専門家認定制度 に分けると整理しやすいです。
- 都道府県等中小企業支援センターは 都道府県に一を限って指定 される法人です。
- よろず支援拠点は 無料の総合相談窓口、認定経営革新等支援機関は 認定制度 です。
- 商工会は 主として町村、商工会議所は 主として市の区域 を基盤にします。
- 中小機構は 助言・高度化事業・共済・販路開拓、中央会は 組合支援 が軸です。
- 事業承継・引継ぎ支援センターは 公的相談窓口、後継者人材バンクは マッチング です。
- 事業協同組合は 4人以上・1人1票・共同事業、企業組合は 組合自体が事業主体 です。
- LLPは 法人格なし・全員有限責任・構成員課税 で押さえます。
一次試験過去問での出方
2021年度第21問では、認定経営革新等支援機関と支援機関ネットワークの考え方が問われました。窓口なのか認定制度なのかを切り分ける力が必要です。
2023年度第2回第19問と2024年度第21問では、事業協同組合、企業組合、中央会、共同物流支援まで含めて、組合制度と支援主体の対応 が狙われました。
2016年度第28問、2018年度第15問では、事業承継・引継ぎ支援センターと後継者人材バンクが問われました。相談窓口名とマッチング機能を一緒に覚える必要があります。
2007年度第19問、2011年度第19問、2014年度第24問では、LLPの 法人格なし・全員有限責任・構成員課税 が繰り返し問われました。