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会社法

この章で覚えておきたいこと

会社法の全体像を会社類型、機関、株式、配当・社債、組織再編の観点で整理した図解

基本知識

設立と定款

株式会社設立時の定款と絶対的記載事項を示した図解

株式会社の設立では、定款が出発点になります。試験では、定款の記載事項を絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項に分けて問う問題が頻出です。

株式会社の定款の絶対的記載事項は、次の5つです。

この5つを欠くと、定款自体が無効になります。これに対して、取締役の員数や定時株主総会の招集時期は重要な事項ですが、絶対的記載事項ではありません。試験では、重要そうに見える事項を混ぜて絶対的記載事項ではないものを選ばせる形が多いです。

株式会社の機関設計

株式会社の機関設計を公開会社と取締役会の有無から整理した図解

株式会社は、所有と経営を分けて考える会社形態です。そのため、株主総会、取締役、取締役会、監査役、会計監査人などの機関をどう置くかが問題になります。

まず軸になるのは、公開会社か非公開会社か、そして取締役会設置会社かどうかです。ここを外すと、その後の招集通知期間や決議機関を誤ります。

機関設計で特に頻出なのは次の3類型です。

監査役は3人以上で、その 半数以上 が社外監査役です。さらに、監査役会は監査役の中から常勤監査役を選定します。

監査等委員である取締役は3人以上で、その 過半数 が社外取締役です。さらに、監査等委員会設置会社は大会社かどうかを問わず会計監査人を置かなければなりません。

執行役、代表執行役、指名委員会、監査委員会、報酬委員会が出てきます。監査等委員会設置会社と混同しやすいので、代表執行役が出たら指名委員会等設置会社 と切り分けるのが基本です。

株主総会

株主総会の招集通知期間と決議要件を整理した図解

株主総会では、招集通知期間、開催場所、決議要件、議決権行使の例外がよく問われます。

招集通知期間は次のように整理します。

開催場所については、本店所在地でなければならないという一般的な法定制限はありません。試験では「本店所在地でしか開催できない」と断定した選択肢がひっかけになります。

議決権行使では、原則として統一行使ですが、他人のために株式を有する場合や会社の承認がある場合には不統一行使が認められます。また、特別の利害関係を有する株主は常に議決権を行使できないわけではなく、個別条文で制限される場面だけを切り出して考えます。

決議要件は、普通決議と特別決議の数字を正確に覚えることが重要です。

原則として、議決権の 過半数 を有する株主が出席し、その議決権の 過半数 で決します。

原則として、議決権の 過半数 を有する株主が出席し、その議決権の 3分の2以上 で決します。

ここでは、過半数 と 半数以上 を同じだと扱わないことが大切です。条文用語の違いがそのまま正誤を分けます。

取締役会

取締役会の本人出席、代理不可、報告義務、特別利害関係者の扱いを示した図解

取締役会は、業務執行の意思決定と取締役の職務執行の監督を担う機関です。株主総会より少人数で機動的に動くため、決議や招集のルールも別建てで押さえます。

取締役会の基本事項は次のとおりです。

試験では、株主総会の感覚で「委任すればよい」と読ませる選択肢が出ますが、取締役会は取締役本人の審議と監督責任を前提にしているため、ここを混同しないことが重要です。

監査役会と監査等委員会

監査役会と監査等委員会の人数要件と会計監査人の違いを比較した図解

監査役は、取締役の職務執行を監査する独立機関です。独立性を確保するため、任期や解任要件が取締役より重く設計されています。

監査役の基本事項は次のとおりです。

監査役会設置会社では、監査役は3人以上、その 半数以上 が社外監査役です。ここは 過半数 ではなく 半数以上 です。4人なら2人で要件を満たすので、この数字感覚を押さえておきます。

監査等委員会設置会社では、監査等委員である取締役が3人以上必要で、その 過半数 が社外取締役です。また、会計監査人が必置です。監査役会設置会社と違い、監査役ではなく取締役で委員会を構成する点も重要です。

少数株主権

少数株主権の株主提案権と株主総会招集請求権を数字で区別する図解

少数株主権は、少数派株主にも会社経営を監視し、議題を出し、総会開催を求める手段を与える制度です。会社法では似た数字が多いので、何を請求する権利か とセットで覚えます。

公開会社である取締役会設置会社では、次の2つが特に重要です。

総株主の議決権の 1%以上 または 300個以上 を、6か月前から引き続き 保有する株主に認められます。

総株主の議決権の 3%以上 を、6か月前から引き続き 保有する株主に認められます。

数字だけを丸暗記すると混ざるので、提案権は「1%または300個」、招集請求権は「3%」と、役割に結び付けて覚えるのが有効です。非公開会社では6か月要件が外れる場面もあるため、設問が公開会社かどうかを必ず確認します。

株式制度と自己株式

譲渡制限株式と自己株式の取得、消却、併合の効果を整理した図解

株式制度では、譲渡制限株式、自己株式、株式分割、株式併合がよく出ます。どの制度が「株主構成」を調整するのか、「株数」を調整するのかを分けて理解します。

譲渡制限株式は、譲渡による取得に会社の承認を要する株式です。閉鎖会社で望まない第三者の参入を防ぐために用いられます。頻出論点は次の3つです。

自己株式は、会社が自社株を取得して保有する制度です。ここでは、取得、消却、併合の効果を切り分けます。

取得しただけでは株式は消滅しないため、発行済株式総数は直ちには減りません。

株式自体を消滅させるので、発行済株式総数が減少します。

複数株を1株にまとめる制度で、株式数は減りますが、資本金は通常そのままです。

株式分割・株式併合

株式分割と株式併合の決議機関、株式買取請求権、4倍規制を比較した図解

株式分割と株式併合は、どちらも株式数を調整する制度ですが、決議機関と株主保護が異なります。

取締役会設置会社では、原則として取締役会決議で行えます。通常は株主の持株割合を変えないため、反対株主の株式買取請求権は問題になりにくいです。ただし、種類株式発行会社で一定の種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合は、株式買取請求権が認められることがあります。

原則として株主総会の特別決議を要します。株式併合により1株未満の端数が生じる場合、反対株主は、その端数となる株式について株式買取請求権を行使できます。

公開会社では、発行可能株式総数は発行済株式総数の4倍を超えてはなりません。株式分割や株式併合の問題では、この4倍規制を絡めて誤りを作る設問がよく出ます。

剰余金配当と社債

剰余金配当の分配可能額と純資産規制、社債の発行主体を整理した図解

剰余金配当では、誰が決めるのか、いくらまで配当できるのか、違法配当の責任は誰が負うのかを整理します。

剰余金配当の基本は次のとおりです。

社債では、株式発行と混同しないことが重要です。特に次の点が頻出です。

合同会社

合同会社の全社員有限責任、財産出資、定款自治を示した図解

合同会社は持分会社の一種ですが、全社員が有限責任である点が大きな特徴です。株式会社と違って株式はなく、社員の人的結合と定款自治を重視します。

合同会社の頻出事項は次のとおりです。

持分会社なので柔軟性が高い一方、社員構成の変更がそのまま定款問題になる点を押さえておくと、株式会社との違いが整理しやすくなります。

組織再編の入口

会社分割の包括承継と事業譲渡の個別承継を比較した図解

この論点では、会社分割と事業譲渡の違いが特に重要です。どちらも事業を切り出して他社へ移す手段ですが、法律構造は大きく異なります。

会社分割は 包括承継 です。分割計画などで定めた権利義務が、原則として一括して承継されます。契約関係の移転もこの枠組みで処理しやすいのが特徴です。

これに対して事業譲渡は 個別承継 です。対象となる契約や資産、債務を個別に移していく必要があります。特に債務を譲受会社へ移し、譲渡会社を免責させたいときは、原則として個別の債権者の同意が必要です。

保護手続の違いも重要です。

ここでは細かい再編手続全体まで覚えるよりも、まず 包括承継か個別承継か、債権者保護の仕組みが同じか、株主保護があるか の3点で比較できるようにしておくことが重要です。

この章のまとめ

会社分割の包括承継と事業譲渡の個別承継を比較し会社法の確認点をまとめた図解

一次試験過去問での出方

2023年度第2回では、第2問で株主総会の招集手続、第3問で自己株式の取得・消却・株式併合、第4問で普通決議と特別決議、第5問で合同会社が問われました。2024年度は、第1問で監査等委員会設置会社、第2問で監査役会、第3問で少数株主権、第4問で剰余金配当、第5問で社債、第6問で定款記載事項、第8問で株式併合・株式分割が連続して出ています。2025年度は、第1問で株主総会、第2問で取締役会、第3問で監査役、第4問で譲渡制限株式、第5問で合同会社、第6問で会社分割と事業譲渡の比較が問われました。近年は、制度名だけでなく、会社類型、人数要件、通知期限、保有期間、決議要件を組み合わせて判断させる出題が中心です。

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