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システムの信頼性・経済性

この章で覚えておきたいこと

RASIS、稼働率、直列並列、冗長化、TCOを一枚でつなげて思い出す図解

基本知識

RASISと評価の見方

RASISの5観点と、MTBF・MTTR・稼働率で見える範囲を区別する図解

RASISは、情報システムを多面的に評価する代表的な枠組みです。試験では英語の頭文字と日本語の意味を対応づけるだけでなく、与えられた数値からどこまで比較できるかを見抜けるかが問われます。

ここで重要なのは、MTBFやMTTRだけで比較できるのは信頼性、可用性、保守性までだという点です。完全性や安全性は、故障間隔や修理時間の数値だけでは直接比較できません。2019年の過去問では、まさにこの切り分けが問われました。

MTBF・MTTR・稼働率

MTBF、MTTR、稼働率の違いを数値と場面で比べる図解

MTBFはMean Time Between Failuresの略で、修理完了後に稼働を再開してから次の故障までの平均稼働時間です。値が長いほど故障しにくく、信頼性が高いと判断します。

MTTRはMean Time To Repairの略で、故障してから復旧するまでの平均時間です。値が短いほど復旧しやすく、保守性が高いと判断します。

可用性を表す稼働率は、一般に次の式で求めます。

この式では、MTBFを長くすることでも、MTTRを短くすることでも稼働率を上げられます。したがって、故障しにくいだけでは十分ではありません。復旧が遅いと可用性は下がります。

SLAやサービス時間が指定される問題では、MTBF・MTTRの式だけでなく、分母を問題文から作ります。

| 問題文の条件 | 基本式 | 判断軸 | |---|---|---| | MTBFとMTTRが与えられる | MTBF / (MTBF + MTTR) | 故障しにくさと復旧しやすさから求める | | 合意済みサービス時間と停止時間が与えられる | (サービス時間 - 停止時間) / サービス時間 | 分母が年間総時間か、サービス提供時間かを読む | | 計画停止を除外すると書かれる | (合意済みサービス時間 - 計画外停止時間) / 合意済みサービス時間 | 計画停止を分母に入れない条件を見落とさない | | ASTが問われる | AST = 総時間 - 計画停止時間 | Availability Service Time、つまり合意上のサービス提供時間を先に作る |

「年間365日24時間」なら分母は8,760時間ですが、「毎日9時から21時まで」なら分母はそのサービス時間だけです。SLA問題では、式を立てる前に分母を丸で囲むつもりで読むと誤りにくくなります。

例えば、AのMTBFが480時間、MTTRが20時間なら、稼働率は 480 / 500 = 0.96 です。BのMTBFが532時間、MTTRが28時間なら、稼働率は 532 / 560 = 0.95 です。この場合、信頼性はBの方が高いですが、可用性はAの方が高いと判断します。試験ではこのように、同じ数値から別の評価軸を読み分けさせる出し方がよくあります。

直列構成と並列構成

直列構成は全部必要、並列構成はどれか一つでよいと読み分ける図解

システム全体の稼働率や信頼度は、機器のつなぎ方で大きく変わります。試験では、まず「全体が動く条件」を日本語で言い換えるのが有効です。

直列構成は、構成要素のすべてが同時に動いているときだけ全体が動く構成です。したがって、全体の稼働率や信頼度は各要素の積で求めます。

並列構成は、複数の要素のうち少なくとも1つが動いていれば全体が動く構成です。このとき、単純に足すのではなく、全要素が同時に止まる確率を求めて1から引きます。

2024年の過去問では、本回線とバックアップ回線の信頼度が問われました。このとき必要なのは「2本とも使えないときだけ停止する」という読み替えです。a × b は2本とも正常な確率であり、並列構成の全体信頼度ではありません。

2025年の過去問では、同じ稼働率の装置3台を複数の形につないだときの順位比較が問われました。この種の問題では、図を一気に見ずに、まず小さな直列部分や並列部分に分解して順番に計算するとミスしにくくなります。

冗長化と単一障害点

冗長化しても切替装置や共通原因が残ると危ないことを示す図解

冗長化は、同じ役割を持つ機器、回線、電源、データなどを複数用意し、障害時にもサービスを止めにくくする考え方です。代表例は、サーバの二重化、バックアップ回線、電源の二重化、クラスタ構成などです。

ただし、冗長化しただけで自動的に高可用になるわけではありません。試験でも実務でも、次の点を忘れないことが重要です。

つまり、冗長化は「台数を増やすこと」ではなく、「止まってはいけない機能を止めにくくする設計」です。2023年と2025年の過去問では、単なる用語暗記ではなく、どう継続するのかを具体的に理解しているかが問われています。

高信頼化設計の用語整理

予防、継続、切替、安全、誤操作防止で用語を切り分ける図解

この論点は取り違えが非常に多いため、故障前か故障後か、何を守るのか、どう継続するのかで整理すると覚えやすくなります。

試験で特に混同しやすい組み合わせは次のとおりです。

- フェイルソフトは機能を落として継続します。 - フェイルオーバは待機系へ切り替えて継続します。

- フォールトアボイダンスは故障前の予防です。 - フォールトトレランスは故障後も耐えて動かす考え方です。

- フォールトトレランスは障害があっても継続できることに重点があります。 - フォールトマスキングは障害の影響を外へ見せないことに重点があります。

- フェイルセーフは異常時に安全側へ移す考え方です。 - フールプルーフはそもそも誤操作しにくくする考え方です。

2023年、2021年、2025年の過去問では、この違いが繰り返し問われています。用語だけを丸暗記するより、「障害時に何が起きる設計か」をイメージできるようにしておく方が強いです。

TCOと経済性の考え方

導入費だけでなく運用費、保守費、教育費、停止損失まで含めて考える図解

TCOはTotal Cost of Ownershipの略で、システムを導入して終わりではなく、使い続けるために必要な費用全体で判断する考え方です。

TCOに含める代表的な費用は次のとおりです。

中小企業では、初期費用の安さだけで導入判断をしがちですが、障害が多い、復旧に時間がかかる、運用が属人化する、といった状態ではTCOが高くなります。つまり、信頼性と経済性は別々ではなく、停止損失も含めて一緒に考える必要があります。

この章のまとめ

稼働率、構成図、冗長化、用語整理、TCOの最終確認ポイントをまとめた図解

一次試験過去問での出方

2019年はRASISとMTBF・MTTRの対応関係から可用性を計算させ、2024年と2025年は回線や装置の直列・並列構成から全体信頼度や稼働率を求めさせる形で出題されました。計算問題では、式を暗記するより「全部動く必要があるのか」「どれか1つでよいのか」を先に言い換えることが重要です。

2023年、2021年、2025年、2015年は高信頼化設計の用語問題が中心で、フールプルーフ、フェイルソフト、フェイルオーバ、フォールトアボイダンス、フォールトトレランス、フォールトマスキング、フォールバックの違いが繰り返し問われています。似た言葉を雰囲気で覚えず、故障前か故障後か、切替か縮退か、安全確保かで整理しておくと対応しやすいです。