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経済学・経済政策

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関連章の確認用として使う。

この章で覚えておきたいこと

所得分配の横断復習で公平性、労働市場、税給付、移転と死荷重へ戻る手書き風図解
  • このページは、A_08の独立論点を増やすためではなく、所得分配の章を横断して復習するための補助ページです。
  • A_08の中心は、効率性と公平性を分けること、労働市場で余剰を読むこと、税・給付で可処分所得がどう変わるかを読むことです。
  • 分配問題では、所得の移転と社会全体の損失を分けます。移転は誰かの負担が誰かの受益へ移ることで、死荷重は社会全体で失われる余剰です。
  • 税制の式では、限界税率平均税率を必ず分けます。傾きで読むものと、税額を所得で割って読むものは同じではありません。
  • 初見の制度名が出ても、誰から誰へ所得が移るか、労働・取引量がどう動くか、格差指標がどう動くかに戻って判断します。

基本知識

効率性と公平性を同時に読まない

効率性と公平性を別の評価軸として分けて読む図解

所得分配の問題では、まず効率性と公平性を別の評価軸として分けます。効率性は、資源がむだなく使われ、余剰の合計が大きいかを見る考え方です。公平性は、所得や負担の分け方が望ましいかを見る考え方です。

市場で効率的な結果が実現しても、その所得分配が公平とは限りません。反対に、公平性を高めるための税や給付が、労働供給や取引量を変化させ、効率性を下げる場合もあります。

見る軸代表的な問い戻るトピック
効率性余剰の合計、死荷重、取引量生産要素市場、税制・補助金
公平性貢献基準、平等、格差指標公正性・公平性の概念
再分配税、給付、可処分所得、ジニ係数所得再分配と税制・補助金

選択肢で「効率的だから公平である」「公平性を高める政策だから効率性も必ず高まる」といった表現が出たら、評価軸を混ぜていないかを確認します。

移転と死荷重を分ける

税収や給付として移る面積と死荷重を区別する図解

税や補助金、給付が出る問題では、誰の所得や余剰が誰へ移るかを先に見ます。税収は政府に移る金額であり、給付は受給者へ移る金額です。これらは多くの場合、社会全体で見れば所得の移転です。

一方で、課税によって取引量や労働供給が減り、消費者余剰や生産者余剰の一部が誰にも移らず失われる部分は死荷重です。死荷重は、政府収入でも給付でもなく、社会全体の純損失です。

労働市場の図では、賃金線を境に労働者余剰と企業余剰を分けます。税制・補助金の図では、消費者、生産者、政府、受給者のどこに面積が帰属するかを分けます。面積問題では、最初に「移った面積」と「消えた面積」を区別すると誤答を減らせます。

平均税率と限界税率を分ける

平均税率と限界税率を傾きと割り算で区別する図解

所得税や負の所得税の問題では、限界税率と平均税率の区別が頻出です。限界税率は、所得が1単位増えたときに税額がどれだけ増えるかです。図では課税線の傾きとして読みます。

平均税率は、税額全体を所得全体で割ったものです。式では T / Y として読みます。基礎控除や定額給付が入ると、限界税率が一定でも平均税率は所得によって変わります。

たとえば、基礎控除付き比例税 T = t(Y - A) では、限界税率は t で一定です。一方、平均税率は T / Y = t(1 - A / Y) なので、所得 Y が大きいほど上がります。

負の所得税 Y_d = Y(1 - t) + A では、当初所得が増えれば可処分所得も増えます。しかし、純給付額は Y_d - Y = A - tY なので、所得が増えるほど小さくなります。可処分所得純給付額を混同しないことが重要です。

弾力性で税負担の帰着を見る

弾力性が低い側ほど税負担が重くなることを示す図解

税を誰が実際に負担するかは、法律上の納税義務者だけでは決まりません。税負担の帰着は、需要と供給の価格弾力性で決まります。

需要が非弾力的なら、価格が上がっても数量があまり減らないため、消費者が負担しやすくなります。需要が弾力的なら、消費者は購入量を大きく減らすため、生産者側に負担が残りやすくなります。

ラムゼイ・ルールも、弾力性と効率性を結びつける論点です。同じ税収を得るなら、数量が大きく変わりにくい、つまり弾力性が低い課税ベースに相対的に高い税率を置く方が、超過負担を抑えやすいという発想です。

ただし、弾力性の低いものに重く課税することは、効率性の観点では説明できても、公平性の観点で常に望ましいとは限りません。ここでも、効率性と公平性の評価軸を分けます。

迷ったときの戻り先

所得分配で迷ったときに公平性や労働市場などの基本図へ戻る図解

A_08の問題は、制度名だけを見ると範囲が広く見えます。しかし、出題で使う判断軸はそれほど多くありません。迷ったら、次のように戻ります。

問題の焦点確認すること戻るトピック
貢献基準、平等、ジニ係数どの公平性基準か、45度線から遠いか公正性・公平性の概念
賃金、労働供給、労働需要需要側か供給側か、余剰の面積はどこか生産要素市場と生産要素報酬
基礎控除、負の所得税限界税率、平均税率、純給付額所得再分配と税制・補助金
従量税、ラムゼイ・ルール弾力性、転嫁、超過負担所得再分配と税制・補助金

「その他」として新しい知識を足すより、個別トピックで学んだ図と式に戻る方が得点に直結します。

この章のまとめ

A_08横断の最終確認として主語、図の軸、式、移転と死荷重を確認する手書き風図解

A_08の横断整理では、まず問題が効率性、公平性、再分配のどれを評価しているかを確認します。効率性なら余剰と死荷重、公平性なら貢献基準やローレンツ曲線、再分配なら税・給付後の可処分所得やジニ係数を見ます。

解答手順は、最初に主語と評価対象を決めることです。労働者、企業、政府、低所得者、高所得者のどこに変化が起きるかを確認します。次に、図なら縦軸と横軸、式なら傾きと割り算、面積なら誰に帰属するかを読みます。

ひっかけ回避では、移転と死荷重平均税率と限界税率可処分所得と純給付額を分けます。どれも名前が似ていますが、計算・図解上の意味は異なります。

最後に、このページ自体に直接紐づく出題参照はありません。このページは、公正性・公平性の概念、生産要素市場と生産要素報酬、所得再分配と税制・補助金の頻出論点へ戻るための確認ページとして使います。独立暗記を増やすより、図と式の読み方を安定させることを優先します。

一次試験過去問での出方

このページに直接分類された過去問参照はありません。そのため、このページは独立暗記ではなく、A_08全体の横断復習として使います。

所得分配全体では、2020年 第23問の貢献基準、2025年 第20問のローレンツ曲線、2018年 第14問・2024年 第20問の労働市場、2022年 第1問の再分配前後のジニ係数、2024年 第21問の負の所得税、2025年 第19問の基礎控除付き所得税が代表例です。
また、2011年 第13問のラムゼイ・ルール、2017年 第11問の従量税の税負担帰着のように、効率性、弾力性、税負担を横断して読む問題もあります。制度名に引きずられず、弾力性、面積、式の傾きへ戻ることが重要です。