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データサイエンス(人工知能(AI)、機械学習、ディープラーニング)

この章で覚えておきたいこと

AI、機械学習、ディープラーニングと評価・リスクの全体像

基本知識

AI、機械学習、ディープラーニングの関係

AI、機械学習、ディープラーニングの包含関係

人工知能(AI)は、人間の知的な判断や学習をコンピュータで実現しようとする広い概念です。機械学習は、そのAIを実現する代表的な方法の一つであり、データから規則性を学習します。ディープラーニングは、機械学習の中でも多層のニューラルネットワークを用いる手法です。

試験では、この包含関係を逆にしないことが重要です。

教師あり学習、教師なし学習、強化学習

教師あり学習、教師なし学習、強化学習の違い

機械学習は、学び方の違いで大きく3つに分けられます。

入力データと正解ラベルを対応させて学習します。迷惑メール判定、需要予測、売上予測などで用います。分類と回帰は教師あり学習に含まれます。

正解ラベルを与えず、データの似方や構造を見つけます。顧客群の自動分類や異常傾向の把握などで用います。クラスタリングは代表例です。

行動の結果として得られる報酬を最大化するように学習します。連続した意思決定が必要な場面に向いており、ゲーム、ロボット制御、経路最適化などで使われます。

過去問では、教師なし学習なのに分類と書かれていたり、強化学習なのに正解ラベルで学ぶと書かれていたりする入れ替えが典型的なひっかけです。

分類、回帰、クラスタリングの違い

分類、回帰、クラスタリングの判断軸

何を予測したいのかで、使う学習問題の種類が変わります。

予測結果がカテゴリです。たとえば、承認か否認か、離職するかしないか、不正取引か通常取引かを判定します。

予測結果が連続値です。たとえば、来月売上、気温、株価、工数、成約金額などを予測します。

正解ラベルなしで、似た特徴を持つデータ同士をまとめます。顧客セグメント分けや商品群の傾向把握が典型です。

分類とクラスタリングは、どちらもグループ分けのように見えますが、分類は正解ラベルを学んで予測し、クラスタリングは正解ラベルなしで構造を見つける点が違います。

ニューラルネットワークとディープラーニングの基本語

ニューラルネットワークの層と基本要素

ニューラルネットワークは、人間の神経回路を模した計算モデルです。複数のノードを層状につないで入力から出力を求めます。

特徴量を受け取る層です。

入力から受け取った情報を変換し、特徴を段階的に抽出する層です。隠れ層ともいいます。

最終的な予測結果を出す層です。

入力の重要度を表す係数です。

出力を調整する補正項です。

線形結合した値に非線形性を与える関数です。これにより複雑な表現が可能になります。

ディープラーニングは、中間層を多層にしたニューラルネットワークを利用します。試験では、中間層の層数が増えることで複雑な特徴表現が可能になる点や、画像や音声などの非構造化データに強い点が問われます。

混同行列と分類モデルの評価指標

混同行列と正解率・適合率・再現率

分類モデルの評価では、混同行列をもとに各種指標を求めます。用語の意味を正確に区別することが重要です。

実際に正であるものを、正と予測した件数です。

実際は負であるものを、正と予測した件数です。

実際は正であるものを、負と予測した件数です。

実際に負であるものを、負と予測した件数です。

主要な評価指標は次のとおりです。

全体のうち正しく判定できた割合です。 (TP + TN) / (TP + FP + FN + TN) で求めます。

正と予測したもののうち、実際にも正だった割合です。 TP / (TP + FP) で求めます。

実際に正であるもののうち、正しく正と判定できた割合です。 TP / (TP + FN) で求めます。

適合率は誤検知をどれだけ減らせたかに関わり、再現率は見逃しをどれだけ減らせたかに関わります。たとえば不正検知や疾病判定では、どちらを重視するかが業務要件によって変わります。

試験では、同じ正解率でも再現率が異なる2つのモデルを比較させる問題が出ます。式を暗記するだけでなく、FPとFNのどちらが増減すると指標がどう変わるかまで理解しておくと対応しやすいです。

回帰モデルの評価指標

回帰モデルのMSE・RMSE・MAEの違い

回帰モデルでは、予測値と実測値のずれを誤差として評価します。近年はMSE、RMSE、MAEの違いが問われています。

誤差を二乗して平均した値です。大きな誤差を強く評価します。

MSEの平方根です。単位が元の目的変数とそろうため、解釈しやすいです。

誤差の絶対値を平均した値です。外れ値の影響をMSEやRMSEほど強く受けません。

実務でも試験でも、MSEとRMSEは大きな誤差に敏感で、MAEは誤差をより素直に平均する指標だと整理しておくと混乱しにくいです。指標の値は小さいほど一般に良いモデルとみなします。

生成AIとハルシネーション

生成AIのハルシネーションと原典確認

生成AIは、学習済みモデルを用いて文章、画像、音声、プログラムコードなどを生成するAIです。業務効率化に有用ですが、出力をそのまま正しいとみなすのは危険です。

ハルシネーションとは、生成AIが事実に基づかない内容を、もっともらしく出力してしまう現象です。誤った文献、存在しない法令、誤解を招く数値などを自然な文章で返すことがあります。

ハルシネーションへの対策としては、次の視点が重要です。

試験では、生成AIの特徴とリスクを問う形で出題されやすく、ハルシネーションを単なる誤字脱字や通信障害と取り違えないことが大切です。

AIへの攻撃手法

AIへの攻撃手法と攻撃対象の違い

AIを活用するシステムでは、モデルそのものや学習データ、入力、プロンプトが攻撃対象になります。代表的な攻撃手法を区別して覚えます。

学習データに攻撃者が不正なデータや偏ったデータを混入させ、学習済みモデルの性能や判断をゆがめる攻撃です。訓練段階を狙います。

人にはほとんど分からない微小な変更を入力データに加え、推論結果を誤らせる攻撃です。推論段階を狙います。敵対的事例ともいいます。

モデルへの問い合わせ結果などから、学習データに含まれていた個人情報や特徴を推定しようとする攻撃です。情報漏えいにつながります。

生成AIへの指示文に悪意ある入力を混ぜ、開発者や利用者の意図しない応答や情報開示を引き起こす攻撃です。大規模言語モデルを使う業務システムで特に注意します。

2025年度第20問では、空欄Aが敵対的サンプル攻撃、空欄Bがモデル反転攻撃、空欄Cがプロンプトインジェクションでした。データポイズニングは問題文側で定義され、学習段階を狙う攻撃として使われています。AI事業者ガイドラインは2026年3月に第1.2版が公表されており、AIリスクは年度更新対象として扱います(2026年6月確認)。

| 攻撃名 | 狙う段階 | 操作するもの | 結果 | 混同しやすい誤答 | |---|---|---|---|---| | データポイズニング | 学習段階 | 学習データ | モデルの判断を汚染する | 敵対的サンプルと同じ推論時攻撃と読む | | 敵対的サンプル攻撃 | 推論段階 | 入力データの微小な変化 | 誤分類・誤認識を起こす | 中間者攻撃と読む | | モデル反転攻撃 | 運用段階 | 入力と出力の関係 | 学習データの特徴や個人情報を推測する | ブルートフォース攻撃と読む | | プロンプトインジェクション | 生成AI利用時 | 指示文・入力文 | 意図しない応答や情報開示を起こす | XSSやSQLインジェクションと同じWeb入力攻撃だけで読む |

試験では、どの攻撃が学習段階を狙うのか、どの攻撃が推論段階や運用段階を狙うのかを切り分けて判断させる出題が考えられます。名称だけでなく、攻撃対象と結果をセットで覚えることが重要です。

この章のまとめ

AI・機械学習・ディープラーニング章の最終確認

一次試験過去問での出方

2020年度第11問では、教師あり学習と教師なし学習の区別、深層学習の位置づけが問われました。学習方法と代表例を正しく結び付けられるかが重要です。

2021年度第13問では、エキスパートシステム、データマイニング、深層学習、強化学習などのAI関連用語が問われました。定義の取り違えを防ぐ整理が必要です。

2022年度第15問では、クラスタリング、分類、回帰の違いが問われました。教師あり学習か教師なし学習かとあわせて判断できるようにしておきます。

2023年度第1回第3問では、ニューラルネットワークの入力層、中間層、出力層、ニューロン、活性化関数などの基本語が問われました。構成要素の役割をそのまま説明できることが重要です。

2023年度第1回第24問と2024年度第23問では、混同行列を用いた正解率、適合率、再現率の計算と比較が問われました。式の暗記だけでなく、FPとFNが各指標へ与える影響まで整理しておく必要があります。

2023年度第2回第10問では、AI、機械学習、ディープラーニングや関連用語の基本整理が問われました。包含関係と学習の種類を素早く判定できるようにしておきます。

2024年度第24問では、生成AIのハルシネーションが問われました。もっともらしい誤情報を出力する現象であることを明確に区別する必要があります。

2025年度第20問では、データポイズニング、敵対的サンプル、モデル反転攻撃、プロンプトインジェクションなどのAI攻撃手法が問われました。攻撃の対象段階と狙いを対応づけて覚えることが重要です。

2025年度第25問では、回帰分析の評価指標としてMSE、RMSE、MAEが問われました。分類指標と混同せず、回帰で使う誤差指標として整理しておくことが必要です。