naritai.app

原価概念

この章で覚えておきたいこと

原価概念で最初に覚える範囲、分類軸、加工費、意思決定原価をまとめた図解

基本知識

原価の定義と範囲

原価は正常な生産と販売に関する価値消費で、製造原価、売上原価、総原価へ広がることを示す図解

原価計算基準でいう原価は、経営における一定の給付にかかわらせて、財貨または用役の消費を把握し、貨幣価値的に表したものです。一次試験では、この定義をそのまま問う問題が繰り返し出ています。

ここで重要なのは、原価が生産だけでなく販売まで含むことです。したがって、原価を「工場で発生する費用だけ」と狭く覚えると誤ります。販売に関して正常に発生する費用も、総原価の範囲では原価に含まれます。

また、原価は正常な状態における経営活動を前提にします。正常な仕損や正常な棚卸減耗は原価に入りますが、異常な事故や盗難による損失は原価から外れます。

原価の範囲は次のように整理すると覚えやすいです。

非原価項目

支払利息、利益処分、異常損失は原価から外し、正常な操業の費消は原価へ入れることを示す図解

試験では「どれが原価に入るか」「どれが非原価項目か」を選ばせる問題が頻出です。判断の基本は、正常な生産・販売活動に関する価値消費かどうかです。

原価に入れない代表例は次のとおりです。

一方で、原価に入る代表例も押さえておきます。

「現金支出があるかどうか」で判断しないことが大切です。支払利息は現金支出があっても非原価項目ですし、減価償却費は現金支出がなくても原価項目です。

形態別分類と直接費・間接費の違い

材料費・労務費・経費は何を消費したか、直接費・間接費は製品に結び付くかで分ける別軸だと示す図解

製造原価の分類は、試験で最もひっかけが多い部分です。まず、材料費・労務費・経費と、直接費・間接費は別の軸だと切り分けてください。

材料費・労務費・経費は、何を消費したかで見る形態別分類です。

直接費・間接費は、特定製品に直接ひも付けられるかで見る分類です。

この2軸は組み合わせて考えます。たとえば、直接材料費、間接材料費、直接労務費、間接労務費という見方をします。

特に間違えやすい点は次のとおりです。

固定費・変動費と加工費

固定費と変動費は操業度との関係で見て、加工費は直接材料費を除く製造費用だと示す図解

固定費・変動費は、形態別分類や直接費・間接費とは別に、操業度との関係で原価を分ける考え方です。

この分類は、後の CVP 分析や意思決定会計につながる基礎なので、原価の分類軸の一つとして必ず押さえます。

加工費も頻出です。加工費は、直接材料費を除く製造費用をいいます。したがって、次の式で整理します。

関連して、似た概念も区別しておきます。

標準原価と予定原価

予定原価は将来の見積り、標準原価は能率管理の基準で、実際価格ではないと示す図解

標準原価と予定原価は、言葉が似ているため毎年のように狙われます。違いは、見積もりの厳密さと目的です。

標準原価のポイントは次の2つです。

予定原価のポイントは次のとおりです。

したがって、選択肢に「実際価格」が出てきたら注意が必要です。標準原価にも予定原価にも、定義上の価格基準として実際価格を入れるのは誤りです。

関連原価、埋没原価、機会原価

意思決定では将来発生し案によって変わる関連原価だけを見て、埋没原価は外し機会原価は考慮することを示す図解

意思決定の問題では、財務諸表用の原価概念とは別に、どの原価を判断材料に使うかが問われます。基準は単純で、将来発生し、代替案によって変わるかです。

判定手順は次の順で考えると安定します。

1. その金額はこれから先に発生するかを見ます。 2. 発生するとして、どの案を選ぶかで金額が変わるかを見ます。 3. 変わるなら関連原価、変わらないなら無関連原価です。 4. すでに発生済みなら、基本的に埋没原価です。 5. 他案を捨てることで失う利益なら、機会原価です。

たとえば、すでに100万円かけて製造した機械を、A社へ120万円で売るか、B社へ130万円で売るかを選ぶ場面では、100万円はすでに発生しているので埋没原価です。一方、A社に売ればB社への130万円の販売機会を失い、B社に売ればA社への120万円の販売機会を失います。これは機会原価であり、選ぶ案によって変わるので関連原価でもあります。

この章のまとめ

原価概念の範囲、分類軸、加工費、意思決定原価を章末で確認する図解

一次試験過去問での出方

2007年 第8問では、標準原価と予定原価の定義の違いが問われました。能率の尺度、予定価格、正常価格という語の使い分けが決め手です。

2008年 第9問では、加工費の式が出ました。加工費は直接材料費を含めず、直接労務費、直接経費、製造間接費で構成します。

2010年 第7問では、原価の定義そのものが問われました。原価は生産だけでなく販売まで含み、財務活動までは含みません。

2012年 第6問、2016年 第6問、2022年 第6問では、原価項目と非原価項目の判定が問われました。福利施設負担額、正常な減耗、減価償却費は原価に入り、支払利息や異常損失は外れます。

2013年 第9問と2017年 第10問では、形態別分類と直接・間接の分類が問われました。外注加工賃は経費、所得税預り金は費用ではなく、直接工賃金でも間接労務費になりうる点が狙われます。

2015年 第6問では、総原価と製造原価の違い、原価計算の目的、費目別分類の考え方が問われました。

2013年 第16問と2023年 第16問では、埋没原価、機会原価、関連原価の判定が出ました。将来変わるかどうかで切ることが最重要です。

引用元