財務・会計
補助その他
税務会計の周辺論点を、既出論点を確認する。
この章で覚えておきたいこと
- このトピックでは、税務会計の周辺論点を広く追わず、永久差異 と 一時差異 の見分けに絞って確認します。
- 受取配当金の益金不算入 と 交際費の損金不算入 は、将来に反転しないため永久差異です。
- 貸倒引当金繰入額の限度超過 と 減価償却費の限度超過 は、将来に損金算入される余地があるため将来減算一時差異です。
- 将来減算一時差異は、将来の課税所得を減らすので 繰延税金資産 を生じさせます。
基本知識
永久差異と一時差異の違い
会計上の利益と税務上の所得がずれるときは、まずその差が将来に解消するかどうかを確認します。将来に解消しない差は永久差異、将来に解消する差は一時差異です。
- 永久差異: 将来に反転しません。税効果会計の対象外です。
- 一時差異: 将来に反転します。繰延税金資産または繰延税金負債の対象になります。
一次試験では、細かな税法知識よりも、この切り分けができるかが先に問われます。選択肢を見たら、まず「この差は将来に戻るか」を考えるとぶれにくくなります。
永久差異になる典型例
2017年度の過去問では、受取配当金と交際費が永久差異の例として出ました。どちらも当期の税額には影響しますが、後の年度で逆向きの損金算入や益金算入が起きるわけではありません。
- 受取配当金の益金不算入: 会計上は収益でも、税務上は一部を益金に入れません。
- 交際費の損金不算入: 会計上は費用でも、税務上は一部を損金に入れません。
この2つは、税負担率の差の原因にはなりますが、繰延税金資産や繰延税金負債は計上しません。ここを一時差異と取り違えるのが典型的なひっかけです。
限度超過費用は将来減算一時差異になる
貸倒引当金繰入額や減価償却費で、会計上は当期に費用計上しているのに、税務上は損金算入限度額のため当期に全額損金にできないことがあります。このような限度超過額は、将来に損金算入される余地があるので、一時差異として扱います。
このときの考え方は次のとおりです。
- 当期は、会計上の費用の方が税務上の損金より大きいです。
- その結果、当期の課税所得は会計上の利益より大きくなります。
- 将来は、その未算入分が損金になるぶん、課税所得が減ります。
したがって、限度超過額は 将来減算一時差異 です。将来の税金を減らす方向へ働くため、繰延税金資産を増加させます。
選択肢の切り方
この論点は、用語を丸暗記するより、順番に判定した方が安定します。
- 会計上と税務上で差があるかを確認します。
- その差が将来に反転するかを確認します。
- 反転しないなら永久差異、反転するなら一時差異です。
- 一時差異なら、将来の課税所得を減らすか増やすかを見ます。
- 将来の課税所得を減らすなら繰延税金資産、増やすなら繰延税金負債です。
特に 限度超過の費用は、会計が先に費用化し、税務が後から損金算入する 形になりやすいので、将来減算一時差異として整理すると判断しやすくなります。
この章のまとめ
- このトピックで最優先なのは、永久差異と一時差異を分けることです。
- 受取配当金の益金不算入と交際費の損金不算入は、永久差異 なので税効果会計の対象外です。
- 貸倒引当金繰入額と減価償却費の限度超過額は、将来減算一時差異 なので繰延税金資産を生じさせます。
- 選択肢では「税金が減るから繰延税金資産」と短絡せず、将来に反転するかどうか を先に確認してください。
一次試験過去問での出方
2017年度第6問では、税効果会計の正誤問題として、受取配当金の益金不算入と交際費の損金不算入を永久差異、貸倒引当金繰入額と減価償却費の限度超過額を将来減算一時差異として判定できるかが問われました。繰延税金資産を増やすのはどれか、という形で出ても同じ判断軸で対応できます。