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課税所得と税額の計算

この章で覚えておきたいこと

課税所得と税額計算で覚える税務調整・法人税額・消費税・一時差異の要点を示す図解

基本知識

課税所得は会計利益から加算減算で作る

会計利益から課税所得へ加算減算で調整する考え方

法人税の計算では、出発点として税引前当期純利益を使うことが多いですが、そのまま課税所得にはなりません。会計上は利益に入っていても税務上は課税しない項目があり、逆に会計上は費用でも税務上は損金にならない項目があるからです。

典型的な調整の向きは次のとおりです。

2023年度第1回第6問の形では、税引前当期純利益800,000円に対して次の調整を行います。

したがって、課税所得は次の式で求めます。

800,000 - 24,000 + 36,000 - 10,000 = 802,000

符号を逆にすると一気に誤答になるため、計算に入る前に各項目へ「加算」「減算」とラベルを付けるのが安全です。

法人税額は課税所得に税率を掛ける

税務調整後の課税所得に税率を掛けて法人税額を求める流れ

課税所得が求まったら、法人税額はその金額に税率を掛けて計算します。2023年度第1回第6問では税率20%なので、法人税額は次のとおりです。

802,000 × 20% = 160,400

ここで押さえるべき点は、一次試験では細かな別表様式よりも、まず基本構造を正しく追えるかが問われることです。

2024年度第9問のような知識問題では、青色申告、欠損金の繰越控除、税率区分のような制度論と一緒に出題されます。このときも出発点は同じで、法人税の所得金額を益金の額 - 損金の額で捉えられるかが基本になります。

法人税の制度問題は用語の混同を避ける

法人税の制度問題で確認する益金損金や青色申告などの用語

2024年度第9問では、計算そのものよりも、法人税の制度を正しい用語で理解しているかが問われました。特に次の点はそのまま選択肢判定に使えます。

この論点では、会計の言葉、所得税の言葉、法人税の言葉が混ざった選択肢がよく出ます。文章を読んだら、まず「これは法人税法上の言葉として正しいか」を確認してください。

税抜経理では消費税と損益計算を分ける

税抜経理で消費税計算と損益計算を分ける考え方

2025年度第3問では、税抜経理のもとで、消費税の納付税額と法人税が課される所得金額を同時に求めさせました。このタイプは、同じ資料から二つの答えを作るため、途中で式を混ぜやすいのが特徴です。

税抜経理では、税込金額を最初に税抜額と消費税額へ分けます。問題の数値をそのまま使うと次のようになります。

この分解をしたあと、消費税と損益は別々に計算します。

この順番を守るだけで、税込金額をそのまま損益へ入れる誤りをかなり防げます。

売上原価は期末在庫を差し引いて求める

販売した分だけを売上原価にし期末在庫を差し引く考え方

2025年度第3問では、1,000個仕入れて800個販売し、200個が期末在庫として残っています。ここで仕入高1,000,000円をそのまま費用にすると誤りです。所得金額を求めるときは、売上原価へ振り替わるのは販売した分だけだからです。

税抜ベースで整理すると次の流れになります。

一方、消費税は次のように計算します。

ここで重要なのは、期末在庫の存在は売上原価の計算に影響するが、仮払消費税を期末在庫分だけ差し引くわけではないという点です。2025年度第3問では、この切り分けがそのまま正誤判定になりました。

税効果会計への接続は一時差異の向きで考える

一時差異の将来の向きから繰延税金資産と負債を判断する考え方

益金と損金が税務会計の入口なら、このトピックではその差が税額へどうつながるかを押さえる必要があります。税効果会計では、会計と税務のズレのうち、将来解消する一時差異に税率を掛けて繰延税金資産または繰延税金負債を求めます。

考え方はシンプルです。

法人税等調整額は、繰延税金資産・負債の増減から損益計算書側の税金費用を調整する項目です。一次試験では、次の符号で整理します。

| 変化 | 法人税等調整額への影響 | 理由 | |---|---|---| | 繰延税金資産が増加 | 減算方向 | 将来の税負担軽減が増えるため | | 繰延税金資産が減少 | 加算方向 | 将来の税負担軽減が減るため | | 繰延税金負債が増加 | 加算方向 | 将来の税負担が増えるため | | 繰延税金負債が減少 | 減算方向 | 将来の税負担が減るため |

式で押さえるなら、法人税等調整額 = 繰延税金負債の増加額 - 繰延税金資産の増加額 です。2008年第8問のように、繰延税金資産と繰延税金負債の増減額から税金費用を求める問題では、資産増加を費用増加と逆に読む点がひっかけになります。

2023年度第1回第6問そのものは法人税額の計算問題ですが、「前期には損金不算入、当期には損金算入」という流れは、一時差異が将来反転する典型例です。したがって、課税所得の加算減算を正しく追えることが、そのまま税効果会計の理解にもつながります。

この章のまとめ

課税所得と税額計算の章末確認として加算減算・法人税用語・税抜経理・在庫・一時差異を整理する図解

一次試験過去問での出方

2023年度第1回第6問では、税引前当期純利益から益金不算入、損金不算入、当期損金算入を加減して課税所得802,000円を求め、税率20%から法人税160,400円を計算させました。加算減算の符号を取り違えないことが中心論点でした。

2024年度第9問では、法人税の所得金額を 益金の額 - 損金の額 で捉えること、青色申告が承認制であること、欠損金の繰越控除や資本金の額等と税率区分の関係が問われました。制度用語を正しく切り分ける問題です。

2025年度第3問では、税抜経理のもとで、消費税の納付税額20,000円と所得金額400,000円を別々の式で求めさせました。仮受仮払の計算と売上原価の計算を混同しないことが得点の鍵でした。

2008年第8問では、繰延税金資産・繰延税金負債の増減から法人税等調整額を求める形が問われました。繰延税金資産の増加は税金費用を減らす方向、繰延税金負債の増加は税金費用を増やす方向です。

引用元