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財務・会計

標準

課税所得と税額の計算

課税所得、法人税等、税効果につながる基本計算を扱う。

この章で覚えておきたいこと

課税所得と税額計算で覚える税務調整・法人税額・消費税・一時差異の要点を示す図解
  • 課税所得は、会計上の利益をそのまま使わず、益金不算入は減算損金不算入は加算として税務調整して求めます。
  • 法人税の基本式は、所得金額 = 益金の額 - 損金の額です。会計上の「収益 - 所得控除」とは考えません。
  • 税抜経理では、消費税は損益に入れず、仮受消費税仮払消費税で処理します。
  • 消費税の納付税額と法人税が課される所得金額は、同じ資料から計算しても式が違います。混同しないことが得点の分かれ目です。
  • 一時差異に税率を掛ける考え方は、益金・損金の話から税効果会計へつながります。

基本知識

課税所得は会計利益から加算減算で作る

法人税の計算では、出発点として税引前当期純利益を使うことが多いですが、そのまま課税所得にはなりません。会計上は利益に入っていても税務上は課税しない項目があり、逆に会計上は費用でも税務上は損金にならない項目があるからです。

会計利益から課税所得へ加算減算で調整する考え方

典型的な調整の向きは次のとおりです。

  • 益金不算入: 会計上は利益に入っているが、税務上は所得に入れないので減算します。
  • 損金不算入: 会計上は費用でも、税務上は損金にできないので加算します。
  • 当期に認められた損金算入: 前期以前に損金不算入だったものが当期に損金になるなら、当期は減算します。

2023年度第1回第6問の形では、税引前当期純利益800,000円に対して次の調整を行います。

  • 受取配当金の益金不算入24,000円は減算
  • 交際費の損金不算入36,000円は加算
  • 前期に損金不算入だった貸倒引当金10,000円の当期損金算入は減算

したがって、課税所得は次の式で求めます。

800,000 - 24,000 + 36,000 - 10,000 = 802,000

符号を逆にすると一気に誤答になるため、計算に入る前に各項目へ「加算」「減算」とラベルを付けるのが安全です。

法人税額は課税所得に税率を掛ける

課税所得が求まったら、法人税額はその金額に税率を掛けて計算します。2023年度第1回第6問では税率20%なので、法人税額は次のとおりです。

税務調整後の課税所得に税率を掛けて法人税額を求める流れ

802,000 × 20% = 160,400

ここで押さえるべき点は、一次試験では細かな別表様式よりも、まず基本構造を正しく追えるかが問われることです。

  • 課税所得を先に求める
  • 税率を後から掛ける
  • 税率を掛ける対象は、会計利益ではなく税務調整後の金額である

2024年度第9問のような知識問題では、青色申告、欠損金の繰越控除、税率区分のような制度論と一緒に出題されます。このときも出発点は同じで、法人税の所得金額を益金の額 - 損金の額で捉えられるかが基本になります。

法人税の制度問題は用語の混同を避ける

2024年度第9問では、計算そのものよりも、法人税の制度を正しい用語で理解しているかが問われました。特に次の点はそのまま選択肢判定に使えます。

法人税の制度問題で確認する益金損金や青色申告などの用語
  • 所得金額 = 益金の額 - 損金の額であり、所得税のような「収益 - 所得控除」ではありません。
  • 青色申告は、自動的に使える制度ではなく、所轄税務署長の承認を受けて行います。
  • 欠損金の繰越控除は、一定の要件の下で認められる制度です。全面否定する選択肢は疑うべきです。
  • 法人税率は売上高ではなく、資本金の額等による区分が関係する場面があります。

この論点では、会計の言葉、所得税の言葉、法人税の言葉が混ざった選択肢がよく出ます。文章を読んだら、まず「これは法人税法上の言葉として正しいか」を確認してください。

税抜経理では消費税と損益計算を分ける

2025年度第3問では、税抜経理のもとで、消費税の納付税額と法人税が課される所得金額を同時に求めさせました。このタイプは、同じ資料から二つの答えを作るため、途中で式を混ぜやすいのが特徴です。

税抜経理で消費税計算と損益計算を分ける考え方

税抜経理では、税込金額を最初に税抜額と消費税額へ分けます。問題の数値をそのまま使うと次のようになります。

  • 仕入単価1,100円 = 税抜1,000円 + 消費税100円
  • 売上単価1,650円 = 税抜1,500円 + 消費税150円

この分解をしたあと、消費税と損益は別々に計算します。

  • 消費税の納付税額は、仮受消費税 - 仮払消費税
  • 所得金額は、税抜売上高 - 税抜売上原価

この順番を守るだけで、税込金額をそのまま損益へ入れる誤りをかなり防げます。

売上原価は期末在庫を差し引いて求める

2025年度第3問では、1,000個仕入れて800個販売し、200個が期末在庫として残っています。ここで仕入高1,000,000円をそのまま費用にすると誤りです。所得金額を求めるときは、売上原価へ振り替わるのは販売した分だけだからです。

販売した分だけを売上原価にし期末在庫を差し引く考え方

税抜ベースで整理すると次の流れになります。

  • 税抜仕入高: 1,000円 × 1,000個 = 1,000,000円
  • 期末棚卸高: 1,000円 × 200個 = 200,000円
  • 売上原価: 1,000,000 - 200,000 = 800,000円
  • 税抜売上高: 1,500円 × 800個 = 1,200,000円
  • 所得金額: 1,200,000 - 800,000 = 400,000円

一方、消費税は次のように計算します。

  • 仮払消費税: 100円 × 1,000個 = 100,000円
  • 仮受消費税: 150円 × 800個 = 120,000円
  • 納付税額: 120,000 - 100,000 = 20,000円

ここで重要なのは、期末在庫の存在は売上原価の計算に影響するが、仮払消費税を期末在庫分だけ差し引くわけではないという点です。2025年度第3問では、この切り分けがそのまま正誤判定になりました。

税効果会計への接続は一時差異の向きで考える

益金と損金が税務会計の入口なら、このトピックではその差が税額へどうつながるかを押さえる必要があります。税効果会計では、会計と税務のズレのうち、将来解消する一時差異に税率を掛けて繰延税金資産または繰延税金負債を求めます。

一時差異の将来の向きから繰延税金資産と負債を判断する考え方

考え方はシンプルです。

  • 将来の課税所得を減らす差異なら、繰延税金資産
  • 将来の課税所得を増やす差異なら、繰延税金負債
  • 金額は原則として、一時差異 × 実効税率

2023年度第1回第6問そのものは法人税額の計算問題ですが、「前期には損金不算入、当期には損金算入」という流れは、一時差異が将来反転する典型例です。したがって、課税所得の加算減算を正しく追えることが、そのまま税効果会計の理解にもつながります。

この章のまとめ

課税所得と税額計算の章末確認として加算減算・法人税用語・税抜経理・在庫・一時差異を整理する図解
  • 課税所得は、税引前当期純利益から益金不算入を減算し、損金不算入を加算して作ります。
  • 前期以前に損金不算入だった項目が当期に損金算入されるなら、当期は減算です。
  • 法人税額は、税務調整後の課税所得に税率を掛けて求めます。
  • 法人税の制度問題では、益金・損金青色申告の承認欠損金の繰越控除資本金の額等による税率区分を用語で判定します。
  • 税抜経理では、消費税は仮受・仮払で計算し、所得金額は税抜売上高と税抜売上原価で計算します。
  • 期末在庫があるときは、仕入高をそのまま費用にせず、売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高で考えます。
  • 一時差異の向きが分かれば、税効果会計で繰延税金資産か繰延税金負債かを判断しやすくなります。

一次試験過去問での出方

2023年度第1回第6問では、税引前当期純利益から益金不算入、損金不算入、当期損金算入を加減して課税所得802,000円を求め、税率20%から法人税160,400円を計算させました。加算減算の符号を取り違えないことが中心論点でした。

2024年度第9問では、法人税の所得金額を 益金の額 - 損金の額 で捉えること、青色申告が承認制であること、欠損金の繰越控除や資本金の額等と税率区分の関係が問われました。制度用語を正しく切り分ける問題です。

2025年度第3問では、税抜経理のもとで、消費税の納付税額20,000円と所得金額400,000円を別々の式で求めさせました。仮受仮払の計算と売上原価の計算を混同しないことが得点の鍵でした。