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損益計算書

この章で覚えておきたいこと

損益計算書で覚える利益区分、収益認識、契約資産、売上原価、棚卸評価、表示区分の全体マップ

基本知識

損益計算書が示す利益の流れ

損益計算書で売上高から当期純利益まで利益が段階的に流れる図解

損益計算書は、企業が一定期間にどれだけ稼いだかを段階的に示す表です。売上高から売上原価を引いて売上総利益を求め、さらに販売費及び一般管理費を引いて営業利益を求めます。ここまでは本業の収益力を見る区分です。

営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を引くと経常利益になります。ここでは受取利息や支払利息など、本業以外ではあるものの経常的に発生する損益を反映します。さらに特別利益と特別損失を加減して税引前当期純利益を求め、法人税等を差し引いたものが当期純利益です。

この順序を理解しておくと、問題で科目名が出たときに、どの利益段階に影響するかを判断しやすくなります。2025年の過去問では、のれん償却は営業損益計算の区分に入る 一方で、支払利息や有価証券利息は営業外に入ることが問われました。

収益認識の基本原則

支配移転と履行義務充足で収益認識時点を判断する図解

収益認識の出発点は、顧客との契約における履行義務が充足されたか です。代金を回収したかどうかではなく、商品やサービスの支配が顧客へ移転したかどうかで判断します。2021年の過去問でも、この原則自体が正面から問われています。

一時点で充足される履行義務なら、その一時点で収益を認識します。商品販売のように引渡し時に支配が移る取引が典型です。一定の期間にわたり充足される履行義務なら、進捗度に応じて収益を認識 します。2010年の改題過去問では、この「一時点」と「一定の期間」の区別が問われました。

販売形態ごとの頻出論点は次のとおりです。

2022年の過去問では、この違いを使って「いつ売上になるのか」を判定させています。現金の受払いで考えると誤りやすいので注意が必要です。

契約資産、売掛金、契約負債の違い

契約資産、売掛金、契約負債を提供済みか請求可能かで区別する図解

収益認識の問題では、売上の計上時点だけでなく、相手勘定も重要です。2023年度第1回の過去問では、契約資産 と 売掛金 の違いがそのまま出題されました。

まず、履行義務を充足していて、請求権が無条件なら売掛金です。あとは時間の経過で回収できる状態だからです。これに対し、履行義務を一部充足していても、契約上まだ請求できないなら契約資産になります。

一方、顧客から先に代金や予約金を受け取っていて、まだ履行義務を果たしていないなら契約負債です。これは将来サービスや商品を提供する義務を表します。

区別のポイントは次のとおりです。

この整理ができると、複数の履行義務を含む問題でも、収益認識と債権計上を同時に追えるようになります。

売上原価の求め方と棚卸資産の評価

期首、当期仕入、期末棚卸から売上原価を求める図解

売上原価は、当期に売れた商品の原価だけを損益計算書へ出す考え方です。したがって、当期の仕入額をそのまま売上原価にはしません。基本式は次のとおりです。

ここで重要なのが、期末商品棚卸高をどう確定するかです。2020年の過去問では、帳簿数量ではなく 実地棚卸数量 を用い、そのうえで 原価と正味売却価額のいずれか低い方 で評価する問題が出ました。数量論点と評価論点を別々に処理するのがコツです。

実務でも試験でも、流れは次の順に整理すると安定します。

1. 実地棚卸数量で数量を確定する。 2. 棚卸減耗があれば、帳簿数量との差を反映する。 3. 商品ごとに原価と正味売却価額を比べ、低い方で評価する。 4. その結果として期末棚卸高を求め、売上原価へ反映する。

また、2019年の過去問では、先入先出法で売上原価を求めたうえで商品売買益を計算させています。売上戻りや仕入戻しがあると数量整理を誤りやすいので、まず販売可能数量と正味販売数量を確定させることが重要です。

費用認識と人件費まわりの勘定科目

費用認識と法定福利費、給与手当、預り金を切り分ける図解

費用は、収益との対応や期間帰属に基づいて認識します。代表例が減価償却費で、固定資産の取得原価を使用期間へ配分する処理です。現金支出の有無と費用認識の有無は一致しないため、発生主義で考える必要があります。

人件費まわりでは、2024年の過去問で 法定福利費 が問われました。法定福利費は、会社が法令に基づいて負担する社会保険料などです。厚生年金保険料の事業主負担分は法定福利費ですが、通勤手当や住宅手当は給与・手当の性格です。住民税の特別徴収額は会社の費用ではなく、従業員からの預り金です。

この論点は細かく見えても、販管費の内訳や費用区分の基礎として頻出です。次のように切り分けて覚えます。

損益計算書の表示区分で迷いやすい項目

損益計算書の本業、営業外、特別項目の表示区分を判定する図解

表示区分問題では、科目名の印象だけで判断すると失点しやすいです。何の活動から生じた収益・費用かを基準に考えます。

本業に直接対応する費用は、通常は売上原価か販売費及び一般管理費に入り、営業利益までに反映されます。のれん償却は企業結合に由来しますが、日本基準では販管費として扱うため営業損益の区分に含まれます。

一方で、支払利息や有価証券利息は本業ではなく資金運用・資金調達に関わるため営業外損益です。国庫補助金受贈益のような一時性の強いものは特別利益として扱うのが基本です。

迷ったときは、次の順で考えると整理しやすいです。

この章のまとめ

損益計算書の利益順序、支配移転、契約資産と負債、売上原価、人件費、表示区分の最終確認図解

一次試験過去問での出方

2007年、2009年、2010年、2011年、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2020年、2021年、2022年、2023年度第1回、2024年、2025年に出題があります。特に近年は、収益認識の原則、契約資産と売掛金の区別、売上原価計算、損益計算書の表示区分が繰り返し問われています。

2021年と2022年は、支配移転と履行義務充足を基礎にした収益認識の時点判定が中心でした。2023年度第1回では、複数の履行義務と契約資産の処理が出ました。2024年は法定福利費の判定、2025年は営業損益計算の区分が問われており、基礎論点でも科目の意味まで理解しているかが試されています。

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