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パワーとコンフリクト(パワーの源泉、政治的行動、コンフリクトマネジメント)

この章で覚えておきたいこと

パワーとコンフリクトで覚える要点を示す図解

このトピックでは、組織の中で人や部門が他者に影響を与える力と、利害や認識の不一致から生じる対立を扱います。試験では、用語の名前だけでなく、主語と依存の向きを読むことが重要です。

基本知識

パワーは相手の依存によって成立する

パワーが相手の依存によって成立することを示す図解

パワーを考えるときは、「力を持つ側」だけでなく、「力を受ける側が何に依存しているか」を見ます。相手が報酬を欲しがる、罰を避けたい、権限を正当だと認める、専門知識に頼る、相手に憧れる。このような認知や依存があるから、パワーが働きます。

上司と部下だけでなく、部門間、専門職と管理者、現場と本部、企業と取引先の間にもパワー関係は生じます。

フレンチとレイヴンの5つのパワー源泉

フレンチとレイヴンの5つのパワー源泉を示す図解

5つの源泉は、選択肢中の手がかりから判定します。

部門パワーは重要性と代替困難性で決まる

部門パワーが重要性と代替困難性で決まることを示す図解

部門パワーとは、ある部門が他部門よりも多くの予算、人員、発言権を獲得したり、他部門からの要求を退けたりできる力です。

部門パワーが大きくなりやすい条件は次のとおりです。

資源依存で最も重要なのは、依存の向きです。部門Aが部門Bからしか必要資源を得られないなら、強いのは部門Bです。部門Aは部門Bに依存しているため、部門Aの相対的パワーは弱くなります。

政治的行動は利益配分への影響行動である

政治的行動を利益配分への影響行動として示す図解

政治的行動とは、公式の職務として明示的に求められているわけではないが、組織内の利益や不利益の配分に影響しようとする行動です。悪い行動だけを指すのではなく、意見が割れる場面で合意形成や資源配分に影響を与える行動も含みます。

政治的行動が生じやすい条件は次のとおりです。

ゼロサムは「勝ち負けが曖昧」ではありません。むしろ、勝ち負けや配分差が明確になりやすいので、政治的行動を誘発しやすいです。

コンフリクトは標準的意思決定の機能不全として見る

コンフリクトを標準的意思決定の機能不全として示す図解

マーチとサイモンは、コンフリクトを標準的意思決定メカニズムの機能不全として捉えました。個人間でも部門間でも、通常のルールや手続きだけでは処理しにくい対立が生じる状態です。

代表的な発生要因は次のとおりです。

共同意思決定が必要で、しかも資源が限られているほど、コンフリクトは起きやすくなります。逆に、目標が明確で、役割分担がはっきりし、資源に余裕があれば、対立は弱まりやすいです。

組織スラックは資源争奪型コンフリクトを弱める

組織スラックが資源争奪型コンフリクトを弱めることを示す図解

組織スラックとは、組織が余裕として持つ資源です。人員、予算、時間、設備、情報処理能力などに余裕がある状態をいいます。

スラックが多いと、部門間で限られた資源を奪い合う必要が弱まり、コンフリクトは発生しにくくなります。逆にスラックが少ないと、予算や人員をめぐる競争が強まり、部門間コンフリクトが起きやすくなります。

ただし、スラックがあればすべての対立が消えるわけではありません。目標や価値観、評価基準が大きく異なれば、資源に余裕があっても対立は起こりえます。試験ではまず、資源不足をめぐる対立はスラックが多いほど弱まる、と押さえます。

コンフリクト対処は自己主張と協力性で判定する

コンフリクト対処を自己主張と協力性の2軸で示す図解

コンフリクトへの対処は、自己主張の強さと協力性の高さで整理します。

協調は、対立点を曖昧にして自然に消えるのを待つことではありません。双方の利益を高い水準で満たす解決策を探ることです。妥協は、双方が少しずつ譲ることです。適応は、一方が相手に合わせることです。

この章のまとめ

パワーとコンフリクトの判断ポイントをまとめる図解

パワー源泉の問題では、相手が何に依存しているかを読みます。報酬、罰、公式権限、専門性、憧れのどれに当たるかを分類し、主語が正しいかを確認します。報酬や罰の価値を判断するのは、力を受ける側です。

部門パワーの問題では、どの部門がどの資源を握っているかを確認します。強いのは、代替困難な資源を握り、相手から依存されている側です。「AがBからしか資源を得られない」とあれば、Aが強いのではなくBが強いです。

政治的行動の問題では、資源配分、昇進、報酬、組織変革など、利益と不利益の分配があるかを見ます。役割や評価基準が曖昧で、不確実性が高く、公式ルールだけでは決めにくい状況ほど政治的行動が生じやすくなります。政治的行動を、必ず悪いもの、必ず倫理的なもの、と決めつける選択肢は疑います。

コンフリクトの問題では、共同意思決定、限られた資源、目標差、認識差、役割曖昧性を確認します。組織スラックが多いと資源争奪は和らぎます。政治的交渉は対立を管理する方法にはなりえますが、必ずしも原因そのものを消すわけではありません。

5類型の問題では、自己の利益をどれだけ主張しているか、相手の利益をどれだけ許容しているかを見ます。双方が満足なら協調、双方が譲歩なら妥協、自分が譲るなら適応、自分を通すなら競争、先送り・距離を置くなら回避です。

一次試験過去問での出方

2012年第15問設問1では、フレンチとレイヴンのパワー源泉が問われました。同一化、専門力、強制力、正当権力、報酬力の定義を区別する問題です。

2012年第15問設問2では、政治的行動が、不確実性が高く目標の優先順位に不一致がある場合の合意形成メカニズムとして問われました。

2018年第17問と2023年度第2回第15問では、リーダーのパワー源泉が問われました。同一視力を単なる同じ資質と読む誤り、報酬力で報酬に価値を見いだす主体をリーダーにする誤りが典型です。

2019年第15問、2021年第19問、2021年第20問では、コンフリクトの発生条件、組織スラック、部門パワーの源泉が問われました。共同意思決定、限られた資源への依存、代替困難な資源を握る側のパワーが中心です。

2022年第17問では、政治的行動が生じやすい条件が問われました。役割の曖昧さ、組織変革、昇進機会の希少性、経営幹部層の行動、ゼロサム配分の読み方がポイントです。

2024年第20問では、コンフリクト対処の5類型が問われました。回避、競争、協調、妥協、適応を、自己主張と協力性の2軸で判定する問題です。